そこで今回はオフィスとブラック企業の相関関係を見ていきたいと思います。
目次
1.総務のトップがオフィス内の権力者と化している?
ブラック企業でありがちなのが、いわゆる「お局様」が社内の実質的な権力者となっているケースです。社長も黙認(…というよりは反論できない)するほどのパワーがあり、総務部に配属される社員もお局様のお眼鏡に適わなければ生き残れません。高離職率の要因となっていても、当人はまったく自覚がありません。
また、多少なりとも歴史のある中小企業でありがちなのが、社長の奥さんが経理兼総務のトップというケース。反論することは許されない場面も多々あります。社員がこのような方(権力者)に意見することは万死に値するのです。筆者もリアルにそういったオフィスを見てきました。まさに典型的な恐怖政治。ブラック企業のひとつといえるでしょう。
2.全体的にオフィス内が雑然としている
出典:http://nymag.com/guides/2007/officelife/30009/
誰も面倒なことには関わりたくありませんから、必然的に社内が雑然としてきます。前述のような「お局様」が君臨する場合、自分たちの部署やデスク周りだけはきっちり片付いていて、他の箇所は放置…。そんなケースも珍しくありません。なぜなら「言われなくても社員たちが率先してオフィスを片付けないのが悪い!」というのが前述のようなお局様の考えだからです。
しかし下手に片付けようものなら、お局様がお姑様に早変わり(バージョンアップ?)して、あれこれと文句をつけてきます。社員たちのモチベーションが削がれていく光景が目に浮かぶようです。ひとたび社会に出れば、ある程度の理不尽さに耐えなければなりませんが、ブラック企業ともなると、それが常軌を逸したものになりがちです。
3.オフィス内のトイレが汚れている
出典:http://news.health.com/2014/09/23/dirty-bathroom-tips/
2010年に「トイレの神様」という歌がヒットしましたが、オフィスでもトイレ掃除は重要です。ブラック企業の典型的な例のひとつに「トイレが汚れている」ことが挙げられます。たとえば飲食店でも、トイレが汚れているお店は店内も清潔感に欠ける印象がありませんか?居酒屋やレストランなど、1日経てばもう汚れ放題です。汚れていない…ということは、毎日誰かが一生懸命掃除しているはずです。これをオフィスに置き換えてみてください。
規模の大きい企業であれば、ビルの清掃員の方が毎朝丁寧に掃除してくれます。予備のトイレットペーパーも補充してくれます。自分たちが汚したところを清掃員の方が代わりに掃除してくださっているのです。清掃員の方に挨拶ができない企業風土も考えものです。ブラック企業にありがちな例として「慮る」ことに欠けていることがあります。どれほど忙しくても、またオフィス内の雰囲気がよくなかったとしても、せめて「お疲れ様です」「ありがとうございます!」の一声を掛けるくらいの気持ちの余裕は持っていたいものです。
4.オフィスエントランスだけ妙に豪華
出典:http://www.download3dhouse.com/2013/09/13/office-entrance-ceiling-and-walls/
大企業のオフィスのような立派なエントランスに圧倒され社内に通されると、そこに広がるのは雑然としたオフィス内の光景が…。会話というより怒号が飛び交う会議室。何日も帰宅していないようなやつれた社員もちらほら…。これはもう、明らかにブラック企業の気配が濃厚といえそうです。もはや、オフィスというよりは完全に別の施設になってしまっています。
ブラック企業にありがちな例として、見栄っ張りな経営者やその幹部が外見ばかり取り繕って中身が伴っていない…。そんなことも少なくありません。これは社会人経験が少ない方でも本能的に気がつくはずです。いまではインターネットで調べれば、ある程度はブラック企業に関する情報収集ができます。しかし、それは氷山の一画に過ぎないのです。
5.オフィスのキャパシティに対して人が多すぎる
出典:http://stepdev.stephouse.net/2013/10/kind-internet-plan-need-small-business/
狭いオフィスにたくさんの社員を押し込んで、経営者や幹部は広々としたフロアとデスクが用意され…。その格差を明確にすることで「オレたちのように頑張れば、こんな立派な部屋と地位が与えられるんだ」ということを暗に示す…。そんなブラック企業も実在します。
社員たちが早朝から深夜まで一生懸命に働いているあいだ、上層部は会社の経費で贅沢三昧…。そのお金があれば、もう少し広いオフィスに引っ越せることは充分に分かっていても、自分たちの快楽を優先。その先にあるものは…。答えは言わずもがな、です。
6.出社しているひと、休んでいるひとが分からない
オフィス内がパーティションで区切られていたり、席が共有で、社員それぞれの正確な場所が把握できない…。さらには社員の出入り(入/退職)があまりに激しすぎて、いつ誰が休んでいるのか、それとも退職してしまったのか。もはや実態が掴めない。まさにブラック企業あるあるです。
こうなると、オフィスというよりカオス状態です。冬場など、社員の誰かが風邪やインフルエンザのウィルスを持ち込むと、あっという間にオフィス内に蔓延していくという恐ろしい状況になりかねません。学校であれば学級閉鎖や学校閉鎖にできますが、オフィス内にインフルエンザが蔓延して休業などという話しは聞いたことがありませんが、ギリギリの状況に陥ることも少なくないでしょう。
7.リストラ対象であることを暗に知らせる席次表を作る
これも、ある企業で筆者が目の当たりにした事実です。あるとき、営業部の一角に「ファーム」と呼ばれるエリアができました。野球好きだったり、野球の経験者であれば「ファーム」と聞いてピンとくるはずです。つまり「2軍」ということです。営業活動で一定の成果が上げられない社員たちが「ファーム」に集められ、営業部の上層部からきついお灸が据えられるのです。その罵声の中身たるや…。それは聞くに堪えられないものでした。まさに典型的なブラック企業です。
さらに、オフィス内の席次表にも「ファーム」と明記してあるのです。これでは、ファームの席に名前が記されている社員は精神的苦痛を伴うことは明白です。この企業では「ファーム イコール リストラ要員」ということになります。あらゆる手段を講じて自主的に会社を辞めさせようとしているのは明白です。事実、ファームに移ってから数日以内には多くの社員がその会社を去っていきました。
一見するときれいなオフィス。実は侮れない?隠れブラック企業
一見するとブラック企業には見えないのに、実は…というパターン。いわゆる「隠れブラック企業」です。きちんと仕立てられたオフィスを構えて、清潔感もある。社員さんもきちんと挨拶してくれる。社内は活気があるようにも見えるし、雰囲気はとても良さそうなオフィスなのにどうして…といった企業が実在します。
こういった場合、さまざまな理由が考えられます。上層部には目通しが良くて、部下にはきつくあたるようなパワハラ上司がいる。オフィス内の人間関係(いわゆる男女関係)が無法地帯寸前。社員はロクに仕事をせず、面倒な業務は派遣社員の方に押しつける。サービス残業や休日出勤、徹夜の横行。実働時間と給与があまりに乖離している…。他にもまだまだありそうです。
ブラック企業にはさまざまな種類や定義があっても、本当の意味でのホワイト企業はこの世には存在しないのかもしれません。また、ある人にとってはブラック企業でも、他の人にとってはやり甲斐があって、実力を発揮できる場所と考えるケースもあります。社員にとっては「働かせていただいている」。経営側にとっては「働いていただいている」。双方にこの認識があれば世も安泰…と、一筋縄ではいきません。しかし、自分の人生のかなりの時間を割いてオフィスに出社し、ときには夜遅くまで仕事をするのです。これが理想論であることは十二分に承知していますが、この世からブラック企業なるものが一刻も早く消滅するよう、誰かに任せるのではなく、能動的に動いて初めて実現に一歩近づくと思うのです。