目次
- 1.オフィスにたくさんの窓は必要か否か?
- 2.窓が少ないことによるメリット
- 3.窓が少ないことによるデメリット
- 4.採光に気を配るべきか?
- 5.換気にも気を配るべきか?
- 6.窓がないオフィスの場合、気をつけるポイント
1.オフィスにたくさんの窓は必要か否か?
みなさんが今働いているオフィスに窓はありますか?執務をするにあたって適度な光量が必要ですが、その光源は照明によるものと、窓から入ってくる日光の2種類がメイン。窓の枚数が多いオフィスは、解放感に富み空間そのものを広々と見せてくれます。
しかし適切に調光された室内ならば、自然光がなくても作業をするにあたり、別段困ることはないでしょう。それでもやはり物件として人気を得るのは、やはり窓があるオフィス。
畳数や立地、築年数などの条件が同じであっても、窓の有無や枚数で賃料が変わってくることだってあるのです。
今回はそんな「オフィスの窓」について考えます。オフィスの引っ越しを検討されている方、少ない窓でもなんとか工夫を凝らしたいと考えている方、ぜひ参考にしてみてください。
2.窓が少ないことによるメリット
●什器・機材が設置しやすい
窓が多いと、壁際に置きたいデスクや収納棚などの高さに制限が出てしまいます。
部屋に窓がなければ、そのぶん壁面積が多いということになるので、什器や機材のレイアウトの自由度が広がります。
●気密性が高い
これは壁の材質にもよりますが、同条件の造りの建物ならば、窓が少ないオフィスのほうが気密性に優れるため、冷暖房効率がよくなります。
●退色がしにくい
日光にあたるとどうしても色褪せてしまう物がありますね。
日光よりも照明のほうが物の色の退色がしにくい傾向にあるため、資料室や保管室など、大切なものが保管してある部屋には窓がない(日光を遮断している)ことがほとんど。退色のみならず、紫外線による素材劣化も同様です。
●セキュリティ面で有利
防犯ガラスが一般的ではありますが、やはり万が一の際は、割れてしまいかねないガラス窓があるよりも、壁ばかりのオフィスのほうが有利といえるでしょう。
3.窓が少ないことによるデメリット
メリットは物理的な事柄が多かったのに対し、デメリットとして懸念されるのは、ライフスタイルや健康面に関してなど、直接従業員に関わってくる問題もあるようです。
●睡眠の質の低下など健康面へのリスクが高まる
日勤・夜勤などさまざまな働き方があるなか、やはり体のサイクルにもっともふさわしいのは昼活動して夜眠ること。そして昼の活動時間帯には、太陽の光を浴びて過ごすことで自律神経が整います。
日中照明の明かりだけで過ごしていると、睡眠の質が下がり、自律神経の乱れによって体調不良を起こしてしまうケースもあります。
●モチベーションの低下を招く
太陽の光を浴びることで分泌される神経伝達物質「セロトニン」は、人間の精神に平常心や安心感をもたらします。私たちは前向きな気持ちを持てるようになるのも、この伝達物質が満たされているお陰。しかし日光を浴びる機会が少ないと、セロトニンが不足しやる気が起こりにくくなってしまいます。
●コミュニケーション量の低下を招く
上記2つと重複しますが、自律神経が乱れモチベーションが低下すると、人と人とのコミュニケーションも減りがちです。
セロトニンはストレス耐性にも関係するため、温和な気持ちで円滑な人間関係を築くためには、やはり適量の自然光を浴びるなどして、ライフスタイルそのものを改善しなければなりません。
4.採光に気を配るべきか?
窓が少ないことによるメリット・デメリット、双方を比べると、やはり日光の重要性がおわかりいただけたかと思います。懸念されるセキュリティに関しては、システムや強固な防犯ガラスで対処することが可能である上、窓があるオフィスと比べて大きく防犯に貢献したケースも稀でしょう。
日々健康的に働くためには、やはりできる限り太陽の光を取り込むのがオススメ。窓が少ないオフィスにおいても、ちょっとした採光の工夫をすることで、なるべく広範囲に自然光を取り入れることができるのです。
もっとも手軽なのは、窓がある一面から反対側の壁まで背の高い遮蔽物を置かないこと。しかしこれではゾーニングに困ってしまう場合もあるでしょう。
どうしても1つの空間を仕切らねばならないならば、ガラスやポリカーボネートなど、透過性のあるパーテーションを用いるのがベスト。こうすることで、ゾーニングされた向こう側にも窓からの光が透けて見え、空間全体を明るく見せることが可能となります。
また、白に近い色合いの壁紙は、光を優しく拡散してくれるので効果的です。
5.換気にも気を配るべきか?
エアコンの効きに影響がないレベルの適度な換気は、空気とともに働く人々の脳もリフレッシュしてくれますね。さらに近年はコロナ禍も相まって、より一層換気への関心が高まりました。
一般住宅でもなじみの深い「引き違い窓」や「片開き窓」、ハンドルで開閉可能な「オーニング窓」であれば、いつでも手軽に換気することができますが、オフィスビルや高層ビルでは「はめ殺し窓(FIX窓)」と呼ばれる、開閉ができない仕様になっていることも多いもの。
このような開閉不可の窓が採用されているオフィスは、一般的に気密性の高い建物であることが多いため、換気性能については別途空気清浄機などを設けることで対応可能です。設置の際は、畳数に見合ったスペックの機器を選択しましょう。
6.窓がないオフィスの場合、気をつけるポイントは?
ここまでは「窓が少ない」ケースを想定してお話しました。では、窓がまるっきりないオフィスの場合、どういったことに気をつければよいのでしょうか。3項目であげたように、日光が浴びられないことによるデメリットは人間のウェルネスに関わる問題がメイン。
これを踏まえると、代替案として別の方法で快適に働ける環境を整えるのが重要です。
中でもオフィスに相応しいのは観葉植物を配置すること。日の光が入らないのに植物なんて…と思われるかもしれませんが、観葉植物の中には耐陰性に優れた品種も出回っています。
背丈が豊富なのはモンステラやドラセナで、床置きできるものからテーブルサイズのものまであります。
ツル状になるポトスはハンギングや棚上に、テーブルヤシはワーキングデスクの上に添えても邪魔にならないコンパクトさが人気。できれば休業日など、週に1日くらいは日光(直射日光はNG)が当たる部屋に移動することが望ましいものの、普段は照明の光でもじゅうぶん育つ部類です。
インテリアとしても即戦力になりますが、植物の緑は見る者にリラックス効果をもたらし、ストレスを和らげてくれる優れもの。日光に近いメリットが得られるので、窓がないオフィスにこそ真っ先に取り入れたいアイテムです。
7.難しいテーマこそオフィスデザインのプロに任せるべき。その理由とは?
いかがでしょう。
「大きな窓があると広く明るく見える」といった風な、見栄えだけの問題ではないことがおわかりいただけたかと思います。窓の有無や日光の差し込む量、これだけで人間のウェルネスが大きく左右されてしまうのです。
労働環境の善し悪しは、今いる従業員のみならず、将来の雇用にも大きく関わってくる重大なテーマ。長い目で考えるならば、やはり根本的な部分からオフィスデザインのプロに委託するのがベストです。
窓が少ない(ない)といったお悩みの事例は、これまでにも多数携わってまいりました。
ぜひ、明るく健康的なオフィスづくりのお手伝いをさせていただければ幸いです。