1. はじめに
サイケな魚が釣れました。
わりと怖いです。
さて今回は、魚のお話です。
ではなく、デザインのお話です。
魚も少し出てきます。
「オフィスデザインってなんなの?」
と聞かれることがあります。
企業ごとの目標や、理念や、展望からベストな働き方を導き出して。
その働き方を具現化できるようなオフィスレイアウトを組んで、家具を選定して。
ぱっと一言で伝えられればいいのですが、どうにも伝わりづらいようです。
そこで今回は少しだけ深く掘り下げて、
「こんな思想のもとオフィスのレイアウトや意匠、導入する家具なんかを考えていますよ。」
ということを、言葉の成り立ちからお伝えできればなと思います。
これをちょっとだけ意識してオフィスデザイン会社に要望を出していただけると、スムーズに事が進むのではないかと思います。
なによりわたしたちのテンションが違いますねきっと。
2. もくじ
- はじめに
- もくじ
- OFFICE DESIGNって?
- DESIGNって?
- SIGNをみつける
- で、オフィスデザインです
- ちなみにですが
3. OFFICE DESIGNって?
「オフィスデザインってなんなの?」
一番乱暴な説明をしてしまいますと、オフィスデザインって言ったらそのまんま OFFICE を DESIGN することです。
話の都合上英単語で綴りました。
「何言ってるんだコイツ。」と思われたかもしれませんが、横文字を使いたいだけとかではございません。
もう少しだけ、お付き合いくださいませ。
辞書をひいてみると、OFFICEとは、
office
① 会社官庁などで主に事務的な仕事をするところ。事務所。「―街」
② 官庁。役所。
と、あります。
早い話が事務所や職場ですね。
これについては説明不要かと思います。
一方 DESIGN とは。
デザインといったら色やカタチを決めて、カッコいいものをバーっとつくって…。
「色や形や配置に美的な工夫をすること」といったイメージ持たれている方も多いかもしれません。
ですが、それって最後のアウトプットの部分だけで、実際はその前の膨大な準備段階まで含めてデザインだと思っています。
包丁にぎって調理するだけが料理人か、自分の足で食材を探してまわってレシピを開発してまでしてやっと料理人と呼べるのか。
のような違いでしょうか。
こちらも辞書をひいてみると、
design
(名)スル
作ろうとするものの形態について,機能や生産工程などを考えて構想すること。意匠。設計。図案。「自分で―した服」
作ることではなく、構想すること。
100点レベルの素晴らしい解説です。さすが辞書。
この解説を使うのならば、オフィスデザインとは、
「オフィスの形態について,機能や施工工程などを考えて構想すること。」
となります。
なんとなく近づいた気もしますが、まだちょっとわかりづらいかもしれません。
DESIGNについて、その意味をもう少し紐解いてみましょう。
4. DESIGNって?
Designの語源はラテン語のDesignareで、つくられかたはde+signです。
deは,from, out of, descended from, derived from, concerning, because of, according to, in imitation of, などの意味で、「する」とか「扱う」でいいと思います。
てことで、Designは signを扱うこと。
じゃあ、signってなんだろう。
また辞書を引いてみると、
sign/saɪn/
〖原義は「身振り」〗
(名動)signal, (名)signature
名詞複~s/-z/
1 CU «…という» 表れ, しるし(→signal類義); 前兆, 兆し «that節» ; 気配, 痕(こん)跡, 形跡 (!しばしば否定文で) ; 〘医〙(医者が判断する)徴候(→symptom); U⦅米⦆(野獣の)足跡
しるしや兆し、痕跡など「それをそのものをたらしめる記号」のようなものです。
ですので、デザインとは「そのものをたらしめる記号」を「扱ってやること」となります。
なんのこっちゃわからないので、signについて簡単な例をあげてみます。
5. SIGNをみつける
signとは。を理解するために、こんな遊びをしてみます。
頭の中に、A4のコピー用紙を一枚と、よく書けるペンを一本用意してください。
そしたらそこにいまから言うものを、
3秒でササッと描いてみましょう。
描くものはそう、
ここで登場します。
魚
です。
どうでしょうか。
描けましたか?
おそらくですが、あなたが頭の中に描いた魚は頭が左側を向いているのではないでしょうか。
日本人の場合は、でしょうか。
誰に習うでもなく、ほとんどの人が魚の頭は左というイメージを持っているようです。
これが魚の持つサインであり、これをみつけて扱ってやるのがデザインの仕事です。
魚の頭は左側を向いているが自然であるので、スーパーの鮮魚コーナーをでは魚の頭は左を向けて陳列することがほとんどです。
もし右側に頭をおいて陳列したら。
買い物客が、頭ではなんとも思っていなくとも、心のどこかでモヤモヤっとした気持ちを与えてしまうかもしれません。
そういったちょっとしたストレスの積み重なりで、魚を買うことをやめてしまうこともあるかもしれません。
鮮魚コーナーの目的は魚を売ることですので、魚の頭を右にして陳列するのはいいデザインとは言えませんね。
魚以外にも
世の中にあるあらゆるモノやコトが特有のサインをもっています。
たとえば、牛が食事をするとき。
なぜだか理由は不明ですが、世界中のどこに住む牛でも南北のどちらかを向くそうです。
もし牧場を経営するのならば、給餌用の長い餌箱は南北に伸ばすか東西に伸ばすか。
牛にストレスを与えず、のびのびと過ごしてもらうためには。
餌箱の向きには、はっきりとした正解があります。
サインを知っているか見つけることができたのならば、より効果的なデザインをうみだすことができます。
腰高の平たい板に足が四本ついていればそれは椅子であると認識しますが、
背が高くなり面積が広がれば、それは机になるかもしれません。
二輪ならバイクで、四輪なら車で。浅く広ければお皿で、 深く狭ければグラスで。
そうやってsignをみつけだし、紐解いて、ストレスなく快適に行動してもらうように整理整頓して組み立てる。
それがサインを扱うこと。
de + sign designなのです。
6. で、オフィスデザインです
人の働き方やオフィスにも、本当にさまざまなサインがあります。
企業ごとの固有の働き方やからsignをみつけだし、適正に組み立てて最適化する。
そんなことを考えながらオフィスのデザインに取り組んでいます。
カッコいいからガラスにしようぜ!とかではなく、
パーツや配置、大きさにも色にも、全てのものにそれなりの理由があります。
すべてのオフィスデザイン会社が、その組み合わせで生まれる理想的なオフィスを目指しています。
「ここのこの部材、どんな意味があるの?」なんて些細な疑問でも投げかけてみると、腑に落ちる面白い返答が返ってくるはずです。
それもまた、デザイン会社と組むオフィスデザインの楽しみのひとつですね。
7.ちなみにですが
魚の頭を左にして描くひとが大多数。
は、まぎれもない事実なのですが、
ここではさらに多くの人に左向きの魚を思い浮かべてもらうために、記事最初の画像を左向きのちょっと印象的な魚にしています。
気持ちや感動を自然に誘導するのも、デザインの基本のひとつです。
デザイン、意外とおもしろいんです。