これは、女性が今のオフィスに満足していないということを示しています。女性は、イメージや感覚によってモチベーションが上下します。
男性にとっては及第点のオフィスであったとしても、女性からしてみると、行きたくないと感じているかもしれません。また、男性ばかりのオフィスでも、客先や取引先の女性がやってくる場合があります。取引先の女性が「このオフィスには2度と来たくない」と感じた場合、今後のビジネスにも影響してしまうかもしれません。
では、女性が「嫌」と思ってしまうオフィスデザインとは、どのようなものなのでしょう。今回は、男性視点ではわからない、女性に嫌われてしまうオフィスデザインの事例を紹介します。
その1:不快な匂いがこもっているオフィスは許せない
男性同士でいると、男性特有の「匂い」は気づかないかもしれません。しかし、女性はその匂いに敏感です。
匂いの元は、汗であったりタバコであったりいろいろあります。
体臭に混ざる汗の匂いは、好きな人の匂いでもあまり良いものではありません。ましてや、仕事でしか関係のない異性の汗の匂いは、本能的に避けたいものなのです。
また、タバコの匂いは、タバコを吸っている人は気づきにくいものですが、タバコを吸っていない人にとって、異臭と同じです。布用の消臭スプレーを社内に常備しておくと良いでしょう。
不快と感じる匂いをすべてなくすことは不可能です。しかし、オフィスのデザインを工夫することにより、匂いをこもらせなくすることは可能です。
風通しを良くする、空気清浄機を置くなどの他に、観葉植物で空気を浄化する方法もあります。緑があることにより、癒し効果も期待できます。花が咲くタイプは見た目が華やかとなり、女性の印象もアップします。
その2:距離が近すぎるデスクはNG
女性・男性を問わず、人はパーソナルスペースを超えて近づいてくるものに警戒心を抱くようです。女性は、この警戒心が特に強く働きます。異性との距離が近すぎると、そこで不快感が生まれるのです。
向
かい合わせのデスクでは、向い側と隣に常に他人がいることとなり、パーソナルスペースは狭く感じられます。しかし、視線がずれるデスクレイアウトにすることで、視線が絡むことがなくなるため、パーソナルスペースは広く感じます。
また、休憩スペースが業務スペースから丸見えであることも、ストレスを感じる要因となります。休憩時間や一息つくときには、誰でも気が抜けるものですが、女性はそういった姿を異性に見られたくありません。そこまでオフィスの男性に気を許していないからです。
女性は、パーソナルスペースを超えられることと、異性の視線にさらされることにストレスを感じます。もちろん、男性は見ているつもりも、見るつもりもないでしょう。このような女性の感覚に、理不尽と感じるかもしれません。
しかし、身に覚えのないことで女性に嫌われても損です。デスクを視線が絡まない配置にする、デスクやデスクの間隔を広くする、休憩室や女性がよく使うスペースにはパーテーションを置くなどの工夫をすることで、男女共快適に過ごすことができるでしょう。
その3:トイレとロッカールームは気づかれずに行きたい
女性が行きたくないトイレは、「汚いトイレ」と「業務スペース内に入り口があるトイレ」です。
汚いトイレは、トイレに行くことを我慢するほど不快です。やはり、清潔に保たなくてはなりません。そしてもうひとつ、「業務スペース内に入口があるトイレ」も、トイレに行きづらいものです。これは、トイレに行く姿を見られたくないという心理が女性にあるからです。
できればトイレは、業務スペースから遠い場所にあり、さらに「トイレに行くのか、外に用事に行くのか、給湯室に行くのか、会議室に行くのかわからない」という状態になることが理想です。
同じ理由で、ロッカースペースやロッカールームが、男性が通る場所にあってはなりません。女性はロッカーに様々なものをしまっています。化粧を直すだけではなく、生理用品やストッキングの替えなど、男性にとって必要のないものも入っています。
そういったものを見られない・見ないためにも、トイレとロッカールームは男性の視線が届かない場所に設置するか、パーテーションで区切るのがよいでしょう。
その4:空間の快適さイコールモチベーションの高さ
空間の快適度は、温度・見た目が関係してきます。特に空調の温度は、男女の間で最も揉めるところでしょう。
女性は寒がりです。これは、外回りであるかないかの違いではなく、皮下脂肪の違いです。脂肪は筋肉に比べ温度を通しにくいため、一度体が冷えると温かくなるまでに時間がかかります。女性は男性に比べ皮下脂肪が多いため、温度調節がうまくいかず、冷房で体が冷えると温かくなるまでに時間がかかるのです。
また、冷えは女性特有の症状に良くないと言われています。冷えから来る体調不良も少なくありません。温度はこまめに調整し、女性が集まるスペースにはパーテーションで区切る、直接冷房の風が当たらないようにするなどの工夫が必要です。
さらに、オフィスがおしゃれで綺麗な空間であれば、女性のモチベーションは上昇します。機能性の高さだけを考えた味気ない空間や、昔の刑事ドラマに出てくるような雑多で片付いていないオフィスだと、女性のテンションは大きく下がります。
女性のモチベーションやパフォーマンスは、空間のイメージや快適さで浮き沈みすると言っても過言ではありません。
空間を広くとる、デスクなどのオフィス家具をおしゃれなものに変える、大きく変えることが難しければ観葉植物を置いてみるなど、ひと工夫を意識すると良いでしょう。
快適な空間にするためにどこを重要視するのか、女性と男性では大きく異なります。男性が「業務ができて、雨風しのげれば良い」と思っていても、女性はそこに付加価値を望むものです。女性の心理も考えたオフィスデザインにすることで、男女ともに快適と感じるオフィス空間となるでしょう。