目次
6.微妙なさじ加減が必要。オフィスデザインのプロに任せるべき。その理由とは?
1.自席では集中できない!?その理由とは
やらなければならない仕事は山積みなのに、いかんせん集中力が続かない…。こうしたお悩みは、誰しも経験があるのではないでしょうか。
自分が注意散漫なのか、疲れているのか、はたまた環境が悪いのか?「超一流」研究で有名なアメリカ人心理学者、アンダース・エリクソン氏によると、そもそも人間が1日のうちに集中できるのは4時間なのだそう。
さらに別の研究によれば、スマホやPCで「マルチタスク漬け」になっている現代人は、1つの事柄に対しわずか数秒しか集中できていない、といった報告もされています。
これを長いとみるか、短いとみるかは人ぞれぞれ。しかし、ことさら自席で集中できない場合は、いまいちどオフィス環境にも着目してみましょう。
オフィスのデスク配置は、円滑なコミュニケーションが図れるよう、「島型」などの対面式を採用しているのが一般的。執務中、パッと顔を上げればすぐに仲間と意見を交わすことができるため、チームワークにおいては非常に便利です。
ですが反面、自分1人だけで作業に集中したいとなると、対面式には「声をかけられやすい」「周囲の動きが視界に入りやすい」などといったデメリットも。
自席で集中できない要因には、こうしたコミュニケーション推進型のデスク配置が関係しています。
2.集中できる環境にもタイプがある
近年、自席とは別に「集中席」をもうけるオフィスが増えてきました。ひとことに集中席といっても、その種類はさまざま。ここでは主な3つのタイプをご紹介します。
●個室タイプ
デスクの周囲をパーテーションで囲み、文字通り個室(簡易的なもの)をを設置するタイプ。
周囲の視線をシャットアウトすることが可能なため、1人で仕事に没頭するのにふさわしい空間です。
●カフェタイプ
周囲を遮るものはありませんが、自席から離れ、気分転換をしながら働けるスペース。
それなりに雑音こそ聞こえるものの、カフェへ1人客として入店して作業をするような感覚になれるため、ゆったりとくつろぎながら目の前の仕事にだけ専念できます。
オフィスによってはリラックススペースと兼ねるケースも。
●図書館タイプ
まるで図書館のように「私語厳禁」なタイプ。
ほかの人も同じテーブルに着座しますが、周囲も黙々と仕事をしていて静かなので、適度な緊張感が得られます。
3.フリーアドレスは有効なのか?
「集中」というと「1人」で「静か」になれる場所でなければならないイメージがあるかもしれません。ですが、カフェなどの飲食店で仕事をする人がいるように、必ずしも周囲を遮る必要はないのです。
例えばカフェタイプの集中席ならば、コーヒーや軽食取りながらリラックスすることにより、自席で感じていた「モヤモヤ感」を払拭させることが可能です。
また、図書館タイプの集中席では、誰にも邪魔されず、かつ周りの人たちも黙々と頑張っている姿を見ることで、気持ちを引き締めて働けます。
座席が指定されていないオフィスをフリーアドレスと呼びますが、カフェタイプ・図書館タイプもその仲間といえるでしょう。反対に、自席を集中席とする場合には、フリーアドレスはコミュニケーションの場として活用されます。
「1人」「静か」の両方を満たさずとも、「気分転換」「緊張感」といった心の緩急は、集中力向上に繋がります。
4.個室にすればok?それとも?
1人で黙々と作業に専念できる個室型は、主にエンジニアやプログラマー職に人気です。それ以外の職種の人も、ここぞという場面に単独集中したい人は多いでしょう。
1人とはいっても、最近はミーティングや商談をオンラインでおこなうことも増えてきました。個室タイプの集中席ならば、こうしたシーンでも周囲の映り込みや雑音を気にせず済みますし、話の内容も頭に入ってきやすくなります。
従業員の大半が個室タイプにふさわしい場合、別途コミュニケーションスペースを設ける必要があります。しかし、必要な人数分のブースを設置するとなると、パーテーションやパネルのスペース分の面積を消費するため、オフィスにある程度の広さがなければなりません。
オフィスの面積と従業員規模に応じて、適量の座席数を用意できるかどうか、専門家と相談するのがよいでしょう。
また、仕事に集中したいと思う反面、「サボりたい」誘惑にかられてしまうのも人間です…。
他人の視線を気にせず過ごせる個室タイプは、ときに悪用されてしまうパターンも。
また、目視でどの従業員がどこにいるのか判断しにくデメリットもあります。集中席は生産性向上あってこそなので、個室型の集中席は、どれくらいの閉鎖感・解放感をもたせるべきか、デザイン面での考慮も重要です。
5.会議室のデザインにも配慮を!
集中できなくて困るのは、単独作業時だけではありません。会議においても、ついつい集中力が途切れてしまい、内容が耳に入ってこないこともあるものです。
会議室の座席タイプには複数種類がありますが、ここではそれぞれの座席配置がどのようなシーンにふさわしいかをご紹介します。
●スタンダードタイプ
一般的な会議室によくみられる、1つの大きなテーブルをみんなで囲むタイプです。全員が向き合って着席するため、対等に意見を交わしやすいのが特徴。
もっとも盛んにコミュニケーションが図れる配置です。
●カンファレンスタイプ
一見スタンダードタイプに等しくも思えますが、大きな違いは対面の人との間に距離がある点です。ロの字型に着席することで、全員がお互いの顔を見渡しやすいのがこのタイプ。とりわけ重役会議において重宝されます。
●セミナータイプ
出典:https://stock.adobe.com/
全員が演壇のある一方向を向く、講堂のような配置タイプ。互いに意見交換をするよりも、講師や司会など、登壇者を介して進行する会合に向いています。
登壇者は全員の顔を見渡しやすく、参加者は聴くことに専念できるのが特徴です。
6.微妙なさじ加減が必要。オフィスデザインのプロに任せるべき。その理由とは?
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集中するための秘訣そのものは、実はそこまで難しいことではありません。人それぞれ「1人になる」「カフェスペースへ移動する」など、しっくりいく方法が見つかればそれを実践するのみです。
ですが、集中できる環境をオフィスに取り入れようとすると、難易度のハードルがいっきに上がってしまいます。従業員1人1人に望むスペースを与えられるほどの広さがあれば別ですが、現実的には不可能です。
限られた面積で企業のイメージやデザインを損なわず、新しく空間を生み出すためには、オフィスデザインを専門とするプロの力が必要となってくるでしょう。
くわえて今はリモートと出社、2つのスタイルでの労働が混戦している状況。オフィスをこれからの時代にマッチさせ、より有用な場所とするためにも、事前にしっかり調査を踏まえたうえでの施工をおすすめします。