オフィスデザインの最新トレンドとは?

 

ベンチャー企業はもちろん、老舗のIT企業も、率先して新たなデザインの試みを行っています。働き方改革で総務省とタッグを組んで推進を行っているMicrosoftは、スタンディング形式の会議を取り入れています。楽天もスタンディングデスクを採用し、どこに座って仕事をしても良いというフリーアドレス型のレイアウトを導入した企業も多かったようです。

目次

1.小規模オフィスを創る際に取り入れたいトレンドとは?

これらのオフィスデザインに共通していることは、「多様な働き方」への対応です。

旧来型の、監視しやすいデスク配置、トップダウンになりがちな密室の会議室、仕事に集中させるためだけのレイアウトには、現在推進されている働き方では機能しづらいものになってきています。

例えば、テレワーク。どこにいても仕事ができ、ミーティングにも参加できるネットを利用したテレワークは、「仕事はオフィスに出勤して行うべき」という概念を一転させました。

在宅でも、出張先でも、旅行先からでも仕事ができるというフリースタイルが、オフィスのレイアウトを変えたのです。

多様な働き方は、オフィスに「機能」よりも「環境」の向上をもたらします。

オフィスは、生産性を上げ働くためだけではなく、快適に過ごす場所であり、生産性を自然にあげる場所として求められるようになったのです。

快適に、且つビジネスの生産性をあげる環境に必要なものが「コミュニケーション」です。特に、小規模オフィスにおいて働き方改革が推進されると、業務によっては自由な反面、孤独な作業になりがちとなります。

小規模オフィスだからこそ、意識せずに自然とコミュニケーションがとれる環境が必要です。「ちょっとよい?」と気軽な会話から始まるコミュニケーションがしやすいオフィスレイアウトが重要でしょう。

では、小規模オフィスに取り入れられるものとして、どのようなレイアウト事例があるのでしょうか。具体的なアイディアを見てみましょう。

・振り向いてすぐに話し合える「島」を作る

議題を決めて解決させるための改まった会議は、冗長しやすく無駄な時間となる場合もあります。そうなる前に、会話レベルのコミュニケーションで早めの対処を考えながら作業をしたほうが効率アップにもなり、問題も回避できます。

そこで、社員が気軽に集まることができるスペースをワークスペース内に設置、カフェスペースとしても使えるようにしたマグネットスペースを作る方法があります。

ミーティングは仕切りや別部屋で行い、ちょっとした会話はカフェスペースで行うというわけです。 こうすることで、リラックスと集中のバランスがとれ、コミュニケーション向上により作業効率がアップしたと言います。

・集中ブースを作る

コミュニケーションを重視するあまりオープンにしすぎてしまうと、集中したい人の気が散ってしまうということにもなりかねません。 そこで、基本的なレイアウトはオープンにしつつ、集中ブースやコーナーを作るオフィスもあります。

どこで仕事をしてもよいというルールにすれば、基本は自分のデスクを持ちつつコミュニケーションをとりながら作業し、集中したいとこには集中ブースに移動することができます。その時にワークによって、作業スタイルを選ぶことができるのです。

オフィスが狭い場合は、集中したい時には、近場のカフェに移動してもよいとしているオフィスもあります。テレワークのシステムができていれば、どこにいても作業や打ち合わせが可能です。

働き方改革で、オフィスのあり方も変化するという具体的な事例ですね。

・上司と社員を分けないレイアウト

旧来のオフィスレイアウトの多くは、部署ごとにデスク(島)が分かれるという島型となっています。この島の窓側に上司が座っていることが多いようです。

しかし、最近の小規模オフィスでは島型ではなく、さらに上司席もないフリーアドレス制を導入しているといいます。

なぜ、島型が多いのかというと、上司と部下の適度な距離と立場を意識したレイアウトにすることで、仕事上の信頼関係性を維持できると考えられていたからです。確かに、立場を意識しやすいものですが、上司にとっては監視がしやすい、部下にとっては常にチェックされているように感じてしまいます。また、上司とのコミュニケーションがとりづらく、亀裂が入りやすいというデメリットもあります。

フリーアドレスにすることで、各々が好きな場所で作業することができ、上司も必要なところで話を聞くことができます。距離が近くなるため、部下のほうも気負うことなく意見を伝えることができるでしょう。

小規模オフィスであればあるほど、上司は「監視する人」ではなく「チームのリーダー」「仲間」です。 オフィスのレイアウトから上司席を撤去することで、リーダーはチームをまとめやすくなり、チームは快適に業務に専念できるのです。

小規模オフィスで生産性を上げ、さらに離職率を下げるためには、スタッフが気持ちよく働ける環境を作ることが何よりも大切となります。心と身体がバランス良く快適で健康でいられるオフィスデザインが、イノベーションを創出し、企業の成長を促すのです。

2.居抜きのオフィスをデザインする際に取り入れたいトレンドとは?

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オフィスデザインは自社の魅力を発信するツールでもあります。特に、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを通じて、採用や広報活動を積極的に行うベンチャーにとっては、個性的で魅力的なデザインのオフィスはブランディングのひとつでもあるのです。

特に2017年は、自社のアイデンティティをオフィスデザインに反映させ企業が増えました。

このようなベンチャー企業やスタートアップ企業にとって、移転時や退去時のリフォーム・現状復帰費用はなるべく抑えたいものです。しかし、オフィスデザインにこだわると、どうしても費用はかさんでしまいます。

そんな費用面の悩みを解決する方法で注目されているのが、「居抜き」でのオフィス移転です。数年前から広がってきた居抜き物件ですが、2017年には一気に注目度が高まった様子です。

こだわりのデザインを導入しつつ費用が抑えられる魅力的な居抜き物件ですが、一方で注意しなければならない課題があります。

一つ目は居抜きに対する「安い」というイメージです。居抜き物件は全て安いわけではありません。入居、退去時共に工事が入らないわけではなく、その条件は借主との契約内容によります。

ここを勘違いしてしまい、ビルオーナーなどの借主の許可を得ることなく、SNSなどで直接居抜き物件を募集してしまい、トラブルが発生してしまった事例もあるようです。

二つ目は「居抜き物件の需要と供給」です。居抜き物件は非常に高いニーズですが、都内のオフィスビルにおける居抜きの空室率は極端に低い状態にあります。

これは、通常のオフィスビルの空室は少ないことが原因です。もともと空室が少ないため、空室の募集はすぐに埋まってしまいます。募集のために魅力的な条件をつける必要がないため、オーナーが居抜きなどの手続きを取りたがらない傾向にあるのです。

しかし、このようなニーズと物件数のアンバランスは、今年から反転するとも言われています。

というのも、都心の大型オフィスビルの建設は近年ラッシュ状態にあり、2018年から2020年にかけても約60万8,000坪もの大量のオフィススペースが供給される予定です。そのため、都心の空室率が全体的に上がると言われており、募集枠を埋めるために賃料を下げたり、居抜きなどの入居しやすい条件をつけたりする状況が予測されます。

そういった状況を予期すると、2018年は居抜き物件を探しやすくなる年だと言えるでしょう。

さて、いざオフィス移転をしようとするとき、トレンドのデザインやレイアウトは気になるところですね。できればコストを抑え、企業のブランドを発信できる流行を押さえたインスタ映えするデザインでありたいものです。

ここで、居抜き物件でもトレンドとオリジナルティが演出できる方法を見ていきましょう。

・ポイントは「壁」!新たな壁を作らずにワークスペースを確保

2017年は働き方改革がオフィスデザインにも反映された年でした。工事費用のコストダウンを狙いながらもオープンでフレキシブルな空間を実現する、合理的なオフィス設計のニーズが増えてきました。

たとえば、社員同士のカジュアルなミーティング、スピーディな意思決定やコミュニケーションを促すためのフリースペースの導入が盛んになりました。また、個室の会議室ではなく、あえてオープンな打ち合わせスペースを作る、さらに来客スペースに可動式のデスクや壁などを導入し、イベント・セミナー時にはこれらを移動したり畳んだりして広いスペースにするなどの工夫を取り入れているITベンチャー企業もあります。

企業によっては社員が働いているスペースを横切りながら来客用の会議室への導線が続いているオフィスもあります。働いている様子やオフィス内の雰囲気を見てもらうことで、企業のサービスやビジョンを感じてもらうことが狙いです。

このような働き方改革が生んだトレンドのデザインは、新たな壁を作らずとも演出できるありがたいものです。衝立を利用したワークスペースとカフェスペース、普段はミーティングルームと来客スペースを分けてイベント時には繋げて広いスペースを取るなどです。視線をうまくずらすための衝立やデスクのレイアウトを工夫することで、トレンドのオープンな空間を作ることができるのです。

会議室、来客スペース、カフェスペースなどを作るために必要な壁を減らすことは、費用の削減につながります。ただし、やみくもに壁を減らせばいいというわけではなく、閉じられた会議室が必要な場合もあるでしょう。居抜き物件の特徴を掴みながら、新たな「壁」を施工しなくてもトレンドを取り入れることができる工夫をしてみましょう。

・トレンドのカフェデザインの要はウッド調

最近のオフィスデザインのトレンドは、カフェデザイン。このカフェ風を演出するのが、「ウッド(木)」です。おしゃれなカフェやレストランをイメージさせるウッド調は、オフィスにおいても内装や家具などでよく取り入れられ、癒しやリラックス感をもたらす働きがあります。

しかし、居抜き物件によっては壁や床の内装工事ができない場合があります。また、そこまで内装に費用がかけられない場合があるでしょう。

そこで、ワークスペースのデスクやオフィス家具に木目調を選ぶという方法があります。カフェのカウンター席をイメージした長い机は、フリーアドレスデザインにもぴったりです。フリースペースをカフェ風にするだけでも、リラックス効果が期待できます。

カフェによく使われている絵画や小物、テキスタイルを利用するのも良い方法です。布のぬくもりは、木材の優しさとマッチしやすく、ホッとした空間を作ります。

デスクワークが長い業種や、クリエイティビティな発想が欲しいオフィスに、カフェスタイルは好まれる傾向にあります。木材のリフレッシュ効果が、良い方向に影響しているのでしょう。

木目調やウッド素材で演出できるカフェスタイルは、大きな内装工事などをしなくても導入可能です。制限がある居抜き物件にも取り入れやすいでしょう。

働き方改革がさらに進む2018年。多様な働き方のスタイルに応じて様々なオフィスデザインが生まれるでしょう。

スタッフ同士のコミュニケーションやリフレッシュは、企業の生産性を上げるためにも重要視しなければならない項目です。居抜き物件だからといってトレンドのデザインを諦めることなく、働き方のスタイルを具現化出来る工夫をしていきたいものです。

3.天井がスケルトンタイプのオフィスをデザインする際に取り入れたいトレンドとは?

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働き方改革でワークスタイルとともに注目され始めたオフィスデザイン。機能や効率性だけではなく、社員の満足度を向上させるオフィスデザインに注目が集まっている傾向にあります。

特に、居抜き物件を借りる時に、トレンドを押さえてブランド発信できるようにリフォームするかは、企業のセンスと工夫にかかっていると言えます。このリフォームで最近人気があるのが、「天井を抜く」です。つまり、スケルトンタイプの天井に人気が集まっています。

2015年頃から、「オフィスだけれどオフィスではない場所」がオフィスデザインに求められる傾向にあります。それは、オシャレなカフェや高級感あふれるホテルのように、見栄えだけを追求したデザインというわけではありません。

これまでのように、監視しやすいレイアウトで並べられたデスク、閉ざされた会議室が用意されている”オフィス”ではなく、働きやすくコミュニケーションが取りやすい、働く意欲が湧くといった、スタッフの満足度を高めるオフィスデザインが求められているのです。

ここでキーワードになるのが、「スケルトン天井」です。

「スケルトン」とは、内装の仕上げ作業を行なっていない状態のことを指します。壁や床はコンクリートむき出しの状態で、配管や配線が丸見えになります。

スケルトン天井とは、天井を覆っている化粧ボードをあえてとりはらい、天井内部に隠されている空調機や配管を露出させている天井のことです。

カフェやレストランの飲食店では以前からよく見られる内装で、天井高が50cmから1m以上高くなるので、より開放的に広い空間に感じることができます。

オフィスデザインでスケルトン天井が流行っている理由として、オフィスというイメージではなく、オシャレなカフェのような空間に変わるということがあるでしょう。

天井を抜くだけなので、リフォーム費用も比較的抑えることができます。また、スケルトン天井にすることによって天井が約80cm程度高くなり、狭いオフィスでも開放感が生まれます。お洒落な空間を演出しつつ、広く感じられるため、スタッフのリフレッシュ効果も期待できます。

ただし、ビルの構造や建築基準法、消防法などによって、スケルトンにリフォームできないこともあります。また有象無象の配線やダクトが敷設されていることがほとんどで、天井を開けてみてみると美しくないことも多く、見た目が美しいスケルトン天井にするために空調・防災・排煙などの設備の移設が生じ、返って高額の費用がかかることもあります。

また、居抜き物件でも原状回復工事をしなくてはならず、費用が余分にかかる可能性もあります。どうしてもスケルトン天井にしたい場合は、オフィスの物件選びの段階で、内装のプロに相談したほうが良いでしょう。

では実際にスケルトン天井を効果的に取り入れる例を検証してみましょう。 最近ニーズの高い居抜き物件ではリフォームを前提とする場合も多く、最初から解体工事をして、スケルトン状態(構造体状態)から内装工事をスタートさせるケースがあります。

こうすることで、オリジナルティのあるデザインを施すことができ、スケルトン天井にする場所や範囲を決めやすくできます。工期や費用がかかることもありますが、もともとオフィス用途ではない物件を利用することができるので、選択の幅が広がるでしょう。

さてここで、とあるベンチャー企業が行ったチャペルを事務所にリフォームした例をみてみましょう。

まず、式場そのものを解体。天井を抜き、造作壁を全て取り、余計な配線等も全て撤去します。天井に新たに必要な配線、ダクターを設置。さらにライティングレールを設置して、スポットライトやベースライトを取り付けると、近代的なカフェ風のオフィスに仕上がります。チャペルの面影を残しつつ、オフィスらしい空間を演出、天井を抜いたことで開放感が生まれました。

昨今のオフィスデザイントレンドは、オフィスの居抜き物件でなくても、オフィスにリフォームすることは可能なデザインなのです。

スケルトン天井は、狭い小規模オフィスにも広い空間に感じさせる効果があります。空調や照明を工夫して、現代的でおしゃれなオフィス空間を取り入れてください。

4.休憩スペースをデザインする際に取り入れたいトレンドとは?

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スタッフの満足度を向上させる、または福利厚生の一環として、社内にフリースペースを設置する企業が多くなってきました。フリースペースとは、”自由に使えるスペース”のことです。

仕事をすることもでき、打合せもでき、来客にも使えるような、多目的なスペースのことを指します。多くは、スタッフがリフレッシュできる休憩スペースとして使われることが多いようです。

休憩するためのスペースなので、カフェのような機能を持たせているオフィスもあります。

大企業にあるような社員食堂のような大規模で独立したものではなく、少人数の会社でも簡単に導入できるカフェスペースです。ドリンクサーバーやコーヒーサーバー、お菓子や軽食などを用意しておき、ランチタイムや休憩に気軽に使えるようになっています。

このフリースペースは、オフィスの顔としても機能します。最近のトレンドとして、オフィスのエントランスに近い場所に設置するフリースペースがあります。

フリースペース自体を、お客様を迎え入れる大きなエントランスホールに設置することで、おもてなしをしつつ、オフィスのブランドを伝えることができるのです。

オフィスによっては、本当のカフェのように会社のロゴをあしらったカップをつかってドリンクをサービスするところもあります。また、ミネラルウォーターのサーバーや、本格的なコーヒーが飲めるエスプレッソマシーン、日本茶からホットチョコレートまで楽しめるドリンクシステムなど、スタッフや来客者がカフェに行かなくてもリラックスできる工夫がされているようです。

新たなトレンドとして注目されているのが、ファミレス型のシート。テーブルとベンチシートがセットになっており、ブースのように使えます。

広いテーブルがセットになっているファミレスシートは、集中して一人で作業をすることもできますし、グループのミーティングにも使えます。ランチをしながら簡単な作業も可能です。多様で自由な働き方にマッチした新しいスタイルと言えるでしょう。

また、背もたれが高めに作られたものもあります。これを組み合わせると衝立を使わなくてもブース感が出せるため、グループミーティングやチームでの共同作業にも使うことができます。

ファミレスシートは、レイアウトによって様々な雰囲気を作ることができます。例えば、コの字型にすることによって、話し相手と正面に対峙するのではなく、横並びや斜めの位置での会話を促します。正面より話しやすい環境を作ることにより、よりフラットなコミュニケーションが可能です。

最近では、社内アウトドアスタイルというトレンドも生まれています。社内のリフレッシュスペースに人工芝を敷いて、アウトドア空間を作ってしまうのです。

アウトドア用のテーブルにテント、ハンモックを設置し、ワークスペーストはまったく違うスペースを作ります。頭がすっかり切り替わることで、リフレッシュ効果を狙っているのです。さらに、テラスやバルコニーに本当にアウトドアスペースを作る企業もあります。テーブルの他にBBQ用のコンロが置かれ、実際にアウトドアを楽しみながら屋外で会議をするという取り組みも始められています。

トレンドのフリースペースはリフレッシュスペースでありつつも、ワークスペースにもなりミーティングルームにもなり得るものです。スタッフのコミュニケーションが向上しクリエイティビティな発想やディスカッションの向上が期待できるような、文字通り「自由な」スペースを作ってみてはいかがでしょう。

5.トイレをデザインする際に取り入れたいトレンドとは?

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オフィスにおけるトイレは、社員が必ず毎日使うものです。それゆえに、清潔さと快適さを両立し、それを保つことが大前提。最近では、機能だけではなくリフレッシュ、リラックスできる場所としても定義づけられています。

オフィスにおけるトイレと洗面所とはどのような役割を持ち、どのようにデザインするべきなのでしょうか。豪華な設備やフレグランスを用意しなくても実現できる、トイレデザインのトレンドを見ていきましょう。

2009年にTOTOが調査した『「トイレ空間」の快適性・清掃性は仕事のモチベーションに影響しますか?』というアンケートデータによると、影響すると答えた割合が46%、やや影響すると答えた割合が38%。実に84%の人が何らかの影響があると回答しています。快適性・清掃性とは、きれいであることと、快適であることはもちろん、設備の老朽化や女性特有の配慮がされていないなど環境面での要素も含まれます。 トイレのデザインは、環境面での快適・清潔性は、快適に仕事をするために重要な事柄なのです。

また、温水洗浄便座式のトイレの使用も快適性に関係します。

内閣府が2015年3月に発表した主要耐久消費財の普及率調査によると、日本国内の温水洗浄便座式のトイレの普及率は77.5%です。自宅でのトイレも普及が進んでいます。ホテルなどではほぼ100%に近い普及率でしょう。

またTOTOの調査によると、オフィスに温水洗浄便座式のトイレは必要かという問いに対して、67%の人が「必要と思う」と回答しています。もはや、温水洗浄便座式のトイレは生活に根ざしているものと言えるでしょう。

さらに、「音姫」のように女性特有の使用に配慮した設備も必須です。同じくTOTOの調査によると、擬音装置が必要と思う割合は91%。ほぼ100%の女性が必要だと感じています。どちらも日本特有のトイレ設備ですが、オフィスに不可欠の設備になっているようです。

また、最近ではトイレや洗面所をリフレッシュスペースと考える傾向にあります。

はたらく未来研究所が行った、働きやすいオフィスのあり方についての調査「女性社員と経営者に実施した意識調査」によると、理想のオフィスに望む第1位は「リフレッシュスペースの充実」となっていて、女性社員の62%がこの回答を挙げています。

実際、休憩室や喫煙室、トイレ、更衣室、食堂といったリフレッシュスペースの現状に対して、女性社員の25%が「とても不満」、40%が「やや不満」と回答しています。他のオフィスと比較で印象が良いと感じたことの自由回答では、「休憩室が広くてくつろぎやすく、トイレがきれいなのがよい」が上がっています。女性の働き方が見直されている現在、トイレや洗面所を含めたリフレッシュスペースの見直しは、大事なポイントなのです。

では実際に、オフィストイレのトレンドを見てみましょう。キーワードは「女性に優しいトイレ」です。

働き方改革が推進されている現在でも、女性はオフィスにいる時間が男性よりも多く、オフィスに対する不満は女性社員から多くでます。その不満の多くが、トイレなどのリフレッシュルームに関することです。

不満がでやすいトイレは、一昔前に多くあるデザインです。暗くて、狭く、意気消沈してしまうようなトイレが多く、女性の場合はオフィスのトイレを使わないで、わざわざ隣のビルやホテルのトイレを借りに行くというようなこともあるようです。

このようなことが続けば、企業の生産性は下がり、スタッフの満足度も下がり続けます。トイレの不満は、会社継続の危機にも繋がるかもしれないのです。

最近では、スタッフの満足度を上げる観点から、トイレは寛ぐ場所、安らぐ場所、気分転換の場所という意識が高まっています。

壁や洗面台などインテリアには木目調の素材が使われ、気持ちを癒すような空間になっていますす。大きな窓を取り付けることで、明るく広々としたリフレッシュルームとなります。反対に、濃いめの木目調デザインに、シックな照明と大きめな鏡で高級感とリラックス感を強調したトイレも好まれます。

ホテルのような空間を演出することでリラックス度が増し、気分を変えてリフレッシュするための空間にもなるのです。

また、広い空間も今時のオフィストイレには不可欠。狭いトイレでは隣に居合わせた人との距離が近くなってしまい、また数を多くできないため、快適とは程遠いトイレになってしまいます。広くすることで適度なパーソナルスペースが生まれ、ゆったりと過ごすことができます。女性の場合は、身だしなみを整えるための大きな鏡や着替えのスペースも欲しいところです。

また、ビルによって1フロア1企業なら、小物の収納ボックスをつけることもよい方法です。女性の場合、トイレに行くときに化粧ポーチやサニタリーなどが必要で、男性の視線をはばかることが負担に感じることも多いものです。収納ボックスやロッカーがあれば、その日に必要なものをトイレに置いておくことができます。どこに行くか知られずに、席を立つことができるのです。

トイレは、社内スタッフだけではなく営業先のお客様も利用します。トイレがきれいだと、その企業のイメージもよくなるものです。トイレの快適さは、企業の信用にも関わってくるかもしれません。

第二のフリースペースともいえるトイレ。文字通りのリフレッシュルームとなるように、トレンドを取り入れてみてはいかがでしょう。

6.2018年のオフィスデザインの最新トレンド予想とは?

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働き方改革が進んだ2017年。テレワークに代表される新たなワークスタイルは、オフィスデザインにも影響を与えました。

テレワークがもたらしたオフィスデザインのトレンドは、オフィスのカフェ化です。自由な場所で仕事ができることで、カフェで作業をする人も増えました。カフェの雰囲気は居心地よく、適度なBGMが集中力を促すこともあり、さらにリフレッシュ効果で発想力の向上も期待できます。オフィスのカフェ化は、このような背景もあるのでしょう。では、具体的にどのようなレイアウトが生まれたのでしょうか。2017年にトレンドだったワークスタイルとオフィスデザインを見てみましょう。

・コワーキングスペース

事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行うワークスタイルのことを言います。コミュニケーションが取りやすく、チームで作業するワークスタイルに向いています。

・フリーアドレス

会社のオフィスで仕事をするが、自席を持たずに自由な場所やデスクで仕事をするスタイル。リモートワークやテレワークが普及したことにより、デスクがスタッフ分必要なくなったことで導入するオフィスも多かったようです。

・フリースペース

オフィスのコミュニケーションや気軽なミーティング、リフレッシュのためのフリースペースの導入が推進されました。仕事の途中で気分を変えることでリフレッシュとなり、また他のチームとカフェタイムにコミュニケーションをとることで発想力の向上が期待できます。オフィスによっては仮眠できるスペースを作り、よりリフレッシュを促す試みがされています。

このように、ワークスタイルの多様化によりオフィスデザインも大きく変化しました。トップが管理しやすいオフィスデザインから、スタッフの満足度アップや快適性、生産性アップなど、従業員が働きやすいデザインへと変換したと言えます。

では次に、2018年に普及されるであろうワークスタイルを見てみましょう。IT技術の普及により、一気にワークスタイルの変革が進みそうです。

・音声検索とバーチャルアシスタント

「OK!Google」で始まるライフスタイルが話題を呼んだAIアシスタント。スマートスピーカーは海外から日本に上陸し、日本でもLINEをはじめとして次々と開発が進められています。スマートスピーカーが家庭に置かれると同時に、オフィスにも普及するであろうAIスマートスピーカー。このことにより、働き方も大きく変わると言われています。

例えば、文字が認識できない障害を持った人も、通常と同じように作業ができます。また、これまでタイピングが苦手であった人も、音声入力が可能となり格差がフラットになっていくでしょう。

家電やオフィス機器との連動ができるようになると(IoT)、これまで部下が行っていたコピーなどの作業もAIが行うようになります。「声」を駆使して仕事を進めることで、人材不足の解消にも繋がることが期待できます。

・オンラインコンテンツやVR、ビデオカンファレンスの普及

テレワークやVRの普及により、オンラインコンテンツによる研修やビデオカンファレンス(ビデオ会議)は普通のこととなるでしょう。

女性の進出が今後ますます増えることで、テレワークなどネットを通じた社内のコミュニケーションやビジネスは進化します。研修や学習などはオンラインコンテンツで自宅や出向先から、VRを使った技術研修、ビデオ通話を使った会議などで、ビジネスの時間の使い方、空間の使い方は大きく変わると考えられます。

次に、これらのオフィスの変革で主流になりそうなオフィスデザインをみてみましょう。 テレワークが進むからこそ、社内のコミュニケーションは重要となります。コミュニケーションの向上やスタッフの快適さを追求したデザインがトレンドになりそうです。

・フリーアドレス型

自由に席を選択する、フリーアドレス型のオフィスは、引き続きトレンドとなりそうです。コワーキングスペースやカフェスタイルなど、より自由でファショナブルになるでしょう。

・マグネットスペースの活用

様々な働き方の導入で、社内にいるスタッフのコミュニケーションが重要視されていきます。しかし、プライベートスペースも大切にする傾向がある現在、デスクの間隔を狭めることは現実的ではありません。

そこで、フリースペースやオフィス機器スペースを人が集まる場所「マグネットスペース」としての活用が進むでしょう。自然に引き寄せられるので、改まったミーティングタイムを設けることなく、スタッフ同士のラフなディスカッションが可能となります。

・話の内容で場所を選ぶ、ファミレスブースやスタンドミーティング

ファミレスブースは、ここ最近急激に導入オフィスが増えたスタイルです。ファミレスによく使われている椅子とテーブルがセットになったもので、背もたれを高くすることでゆるいブース感を演出できます。空間を分けることができるので、中規模なミーティングに最適です。オープンになりすぎず、適度な囲いが安心感をもたらすでしょう。

スタンドミーティングは、マイクロソフト社などIT企業で取り入れられています。立ってディスカッションをすることで、脳の働きが活発化し、早く議題を進めることができます。

テレビ会議など、ネット回線を使う場合は座って行う場合もあるでしょう。スタンディングとシッティングの両方を選ぶことができるデスクが重宝しそうです。

・集中するためのパーソナルブース

コミュニケーション向上のためにオープンなオフィスレイアウトが主流になりそうですが、集中してこもりたい作業の時もあるでしょう。人によっては、外部の情報を遮断しないとインプット・アウトプット(資料作りやデザインなど)ができない場合もあります。2018年はパーソナルブースの充実が進みそうな予感です。

2017年は在宅ワークやテレワークが一気に進んだ年でしたが、2018年は普及の充実と対面によるコミュニケーションの重要性が再認識される年となりそうです。

実際にIBMやYahoo、Google、Appleといった企業は、テレワークの自由さを残しながら社員をオフィスに呼び戻しはじめています。物理的なオフィスとデジタルワークの両方を活用し、対面コミュニケーションとオンライン作業の両方のメリットを取り入れる取り組みです。

2017年のコミュニケーションに焦点を当てたオフィスデザインにより、スタッフの満足度や幸福度は同僚との対面による会話であると理解されたのではないかと思われます。

2018年は、多様な働き方を意識しつつも、「集まる」「交流する」を重視したカフェ型レイアウトに加えて、ファミレス型もトレンドに加わりそうです。自社の目指す働き方やブランド、スタッフの満足度を高めるオフィスデザインを考えてみてはいかがでしょう。

7.余談1:風水に頼ったオフィスデザインを創るのは果たして「あり」か?

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「風水」は、昔の中国で生まれた古くからある占いです。当時は家や村、町の良し悪しを占う時に多く用いられ、身の回りにある「気」をうまく循環させることで、運気をプラスにすると言われています。

この風水は日本建築にも大きな影響を与えています。水回りの配置や日当たりは、住宅を決める時には重要とされ、配置によっては悪い運気に巻き込まれてしまうと言われています。

反対に、風水に沿ったレイアウトにすることで、運気が上向きとなり繁栄が約束されます。オフィスに応用することで、売上アップにもつながるとされ、風水をオフィスデザインに応用する企業もあるようです。ここでは、オフィスと風水の関係性についてみてみましょう。

風水でオフィスレイアウトを決める際に重要なのが「吉方位」です。吉方位を向いて座ることができるレイアウトが良い運気を寄せるといわれているため、デスクはなるべく吉方位に合わせることが大切です。運気が上がる方角を向いて座るようにデスクの配置を考えます。

では、次に各方角における風水の意味を見てみましょう。

・東

若さや音に関する運気を司っています。植物のエネルギーです。観葉植物、ファックスやプリンターといった通信機器を置くといいでしょう。

・西

西はお金がやってくる方角です。オフィスの入り口があると良いですね。

・南

エネルギッシュでパワーに満ちあふれている方角です。エネルギーが流れてくるように、何も置かないようにしましょう。

・北

北は、貯蓄を意味し、水の気があると言われています。背の高いものを置いて、エネルギーが逃げないようにしましょう。

こうしてみると、風水をオフィスレイアウトに活かすことは有りかもしれません。気持ちの持ちようだとしても、ポジティブなエネルギーに囲まれて仕事ができそうですね。

また、レイアウトを変えることが難しい場合は、「水回りを常にキレイにすること」「整理整頓を心掛けること」の2点を気をつけるだけでも効果があると言われています。

風水は気の流れを良くするものです。良い運気を取り入れ、悪い運気を溜めないためには、良い運気がどんどん入ってくる配置が必要です。

水回りが汚れていると、悪い運気が滞ります。さらに悪い運気を呼び込むこともあるようです。キレイに清潔にすることで、悪い運気をどんどん外に流すことができます。

整理整頓は、モノをできるだけなくして、エネルギーの通り道をあけるためです。整理整頓することで、風通しが良くなり日当たりも良くなります。新たな良いエネルギーが入りやすくなるために、整理整頓が必要なのですね。

8.余談2:オフィスデザインに風水を取り入れるときに気をつけたいポイントとは?

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では、風水を取り入れる際に気をつけなければならないポイントはなんでしょう。間違えてはならない注意点をみてみましょう。

・人の背後にドアがあるのはマイナス

背後にドアがあることは風水的に良くないとされています。これは、背後から悪いモノが付きやすく襲われやすいことからです。 実際の仕事でも、自分の背後のドアで人の出入りがあると落ち着かなくなってしまいます。できるだけ、背後で人の出入りが少ないレイアウトを心がけましょう。

・水回りは代表者の席から遠ざける

水回りには悪いエネルギーがたまりやすいと言われています。代表者がトイレの近く、または給湯室の近くに席がある場合、企業の代表者に悪い運気がついてしまうかもしれません。経営者の運気が落ちれば、その企業の継続にも影響するでしょう。代表者の席は、できるだけ水回りから遠ざけましょう。

・入り口前に仕切りを設ける

これは、様々な考え方があります。良い運気が入ってくるオフィスなら、仕切りは設けず、仕切っても背の低い衝立などエネルギーの通りをよくするようにします。

しかし、入り口が鬼門になっている場合は、悪い気が入ってこないように仕切りを設けましょう。また、観葉植物を置くことで、悪いエネルギーを浄化することができます。玄関に観葉植物を置くことには意味があるのですね。

9.最後に

最後に、風水に凝るあまりに本来大切にしなければならないスタッフの働きやすさがないがしろにならない程度にとどめましょう。例えば観葉植物も、気の流れが良くなると同時に、空気清浄になる、癒し効果があるといった理由で取り入れるのなら良いのですが、何が何でも風水に頼って儲けようとすると、執着

のエネルギーが先立ってしまいます。結果、風水の効果が現れずに運気が悪くなってしまうのです。

風水はスタッフのモチベーションアップや占いツールの一つとして取り入れ、日頃から整理整頓の習慣を取り入れるなど、スタッフ全員で「より過ごしやすい良いオフィス」を作ろうとする意識が必要となります。

このエネルギーが、仕事の生産性が上がったり、社員同士の人間関係が良好になったりと、さまざまなメリットにつながります。風水は、気の流れを良くする一つの考え方として取り入れることが成功の秘訣のようです。

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