そこで今回は、来訪者視点から見たおしゃれなオフィスデザインを検証します。おしゃれなだけでなく、清潔感も感じさせる「快適」なオフィスデザインのチェックポイントをみてみましょう。
目次
- 1.来訪者の第一印象は受付のデザインで決まる!
- 2.廊下も実はチェックされている!
- 3.会議室は常にきれいに。おしゃれな演出をお忘れなく!
- 4.来訪者と社内スタッフの共有スペースであるトイレは特に注意!
- 5.ときには担当者の席へ行くこともある!オフィス内も要注意!
- 6.意外と忘れがちな喫煙ルームも気をつけて…
- 7.(まとめ)自分が来訪者として他のオフィスに行くときのことを思いだしてみる
1.来訪者の第一印象は受付のデザインで決まる!
オフィスの受付やエントランスは、お客様が最初に訪れる、いわばファーストコンタクトの場所です。受付はオフィスの顔であり、ブランドを決定づける場所と言っても過言ではないでしょう。
実際、おしゃれで人気のあるオフィスは、共通してエントランスを意識してデザインしています。ホテルでも、エントランスは重要な場所なのです。おしゃれな受付の定義は、有人無人は関係ありません。無人であってもおしゃれであり、洗練され、使いやすいデザインにすることで、不安を与えることなく快適で特別感を感じる空間にすることができます。
さらに、企業のエントランスならば、理念やブランドを伝え、付加価値を感じることができる空間を演出することが必要です。繰り返しになりますが「エントランスはファーストコンタクト」。第一印象が後の印象を決めるのですから、ブランディングは重要な要素となります。
ブランディングや企業のコンセプトを伝える方法はいくつかありますが、使用するカラーで視覚的に印象付けることは最も簡単な方法です。
企業のイメージカラーやコーポレートカラーをエントランスの壁に配置するだけで、企業のイメージを伝えることができます。同時に、色が与える印象をお客様にも与え、その企業のイメージも認識させます。
ブルーであれば「クール」「清潔」「知的」「冷静」「IT」、オレンジならば「親近感」「利便性」「明るさ」、グリーンならば「安心感」「中性的」「エコ」「癒し」などです。
色に統一性やメッセージ性を持たせることで、第一印象は格段にアップするでしょう。
次に、企業理念やマインドなど、形に見えないメッセージをデザインに施すことも、おしゃれ度をアップさせる方法があります。
お客様は、受付に訪問して案内されるまでの少しの時間、エントランスで過ごすことになります。この時に見えている景色を、今から入る企業がどういうコンセプトでブランドを持っているのかの判断材料にしています。この記事をご覧になっている方も経験があるのではないでしょうか?意識的にやっている場合もありますし、無意識な場合もありますが、「にぎやかな社風」「落ち着いて重厚なイメージ」「鋭角でクール」など見ているのです。
視覚的なグラフィックを利用すると、潜在的にも顕在的にも企業のイメージを伝えることができます。壁紙や絵画やポスターなど比較的安価で簡単に取り入れられるのも魅力的です。企業のキャラクターやオブジェを配置しているケースもあります。デジタルサイネージで映像を流し続けるのも良い方法です。
また、最近の働き方改革の影響で、エントランスを来客スペースや商談スペースをつなげたオープンにしたデザインが流行しています。スタッフのワークスペースやリフレッシュのためのフリースペース、セミナー開催やイベントまでもできるホールタイプのエントランスにしているオフィスもあります。スタッフが、どこでも作業や打ち合わせができるようにしているのと、コミュニケーションの活発化が期待できるデザインで、特にクリエイティビティな職種のオフィスに多いようです。
エントランスがこのようなオープンスペースになっていれば、お客様もその場で打ち合わせやセミナーが可能となり、スタッフや他の取引先の様子や関係を感じ取ることができます。企業の空気感やイメージを感じることができるため、商談もオープンにスムーズに進みそうです。
企業のアイデンティティを表現し、さりげなくブランドをアピールし、且つ居心地がよい空間ができれば、それはおしゃれな受付空間だと言えます。加えて快適でリラックスできるデザインなら、受付に十分なスペースを確保できないオフィスでもおしゃれなエントランスにすることができます
では、具体的にどのような受付デザインであれば「おしゃれ」と感じるのか見てみましょう。
・企業の理念やコンセプトが感じられる
企業の理念や方向性、願いや社会貢献に対する考え方、倫理観など、言葉では表現できないイメージを伝えることはとても大切です。それは、人間の第六感が感じ取るものであり、「なんとなく違和感がある」と相手が感じてしまえば、その後の商談はうまく進めることは難しくなります。
反対に、「根拠はないけれど、同じベクトルに向かっていけそうな気がする」と感じられる場合は、多少の困難もうまく乗り越えていけるようです。
・ブランディングが表現できている
ロゴやキャッチコピー、商品や優位性など、オフィスのブランドは様々な手法で拡散されるものです。これらをオフィスの受付デザインに取り入れることで、訪問者に対してブランドの価値や雰囲気を感覚的に理解してもらうことができます。
有効なのは、色彩や素材です。壁や床、ワンポイントにブランドイメージカラーを使うことで、統一感が生まれ洗練されたイメージとなります。素材によっても演出が可能です。布を使った家具は柔らかいイメージとなり、金属はクールで丈夫な雰囲気を伝えることができます。
自社の理念が「環境への貢献と日本文化の発展」だとすれば、エコや環境問題を表現して緑ある社会をイメージできるグリーンをメインカラーにすることができます。さらに、日本文化をイメージさせるのなら、淡いピンクをあしらうことで「春の桜」を想像させ、爽やかで穏やかな陽の光を感じさせることができるでしょう。
反対に、イノベーションを仕掛けるIT企業であれば「ブルー」に「シルバー」、または「エメラルドグリーン」などが有効です。パープルは高貴な色として使われるので、高い技術を他者との差別化にしている企業ならポイントカラーに使用しても良いでしょう。また、グラフィックや映像は、ダイレクトにイメージを伝えることがでいます。空間をうまく使い、ストレスが生まれないような配置であることが大切です。
・引き算デザインがうまい
スペースが限られているのであれば、デザインを引き算してスマートでクールな配置をしてみましょう。例えば、無地の壁にインパクトの強い絵画がひとつだけあるエントランスは、絵画のインパクトが訪問者に強く残ります。その結果、絵画の持つイメージが企業の第一印象となるでしょう。
エントランスに大きな観葉植物をひとつだけ置いている企業もあります。その植物(ほぼ樹と言えるほどの大きさですが)の周りにはベンチが設けられ、訪問者や社内のスタッフが自由に腰掛けることができます。
居心地の良さを考えた洗練されたインパクトは、おしゃれなデザインに不可欠なのです。
・無人の受付ならデジタルでさらにわかりやすく
受付にスタッフがいる場合は取り次いでもらえますが、無人の場合はお客様自身で呼び出し電話なり、部署を探さなければなりません。案内板を置いておく方法もありますが、変更になった時には修正するにも費用がかかってしまいます。
そこで、案内板をタブレットにしてみましょう。タップすることで案内が出るようにしておく、または音声が流れるようにしておくと、無人でも親切なご案内が可能です。修正や更新が出た場合も、データ変更なら簡単です。
・内線電話も企業のイメージに合わせたおしゃれなものに
無人の受付では内線電話が必須です。この内線電話をおしゃれにすると、印象がぐっと良くなります。クールでシャープなデザイン、懐かしさのあるアンティークなデザインなど、企業の雰囲気に合わせてチョイスしましょう。小物へのこだわりは余裕の証です。
受付スペースやエントランスは、企業の第一印象を決める場所。同時に、企業のブランドや理念を伝える場所でもあります。 どのようにみられたいのか、何を伝えたいのかを明確化し、おしゃれな受付を演出してみましょう。
2.廊下も実はチェックされている!
受付から会議室や来客室へ向かうまでの「廊下」もとても大切な空間です。ここは、これから話し合うであろう担当者へと向かう前にイメトレや考えをまとめる時間を過ごす場所。受付やエントランスの印象がアップしても、廊下で落ちてしまっては意味がありません。
狭い廊下をおしゃれに演出するには、ホテルやおしゃれなショッピングモールの廊下を参考にするとよいでしょう。具体的には、次のポイントとなります。
・壁紙や床にこだわりを持つ
床や壁紙は視覚的に占める面積が大きく、雰囲気を大きく変化させることが可能です。白い壁に無機質なピータイルという昔ながらのオフィスではなく、カーペッドや壁を木目調やコンクリートなど素材感が出るものにすると、今風な雰囲気を出すことができます。
色の濃いカーペッドは重厚な雰囲気に、淡い色で木目調の壁紙にするとカフェ風なデザインになります。
・照明を工夫する
おしゃれなホテルやレストランでは、照明を効果的に使いそのスペースの雰囲気を演出しています。具体的には、間接照明やペンダントライトを取り入れる、照明の色温度を変えることで、おしゃれな廊下を演出することが可能です。
これまでのオフィスの照明と言えば寒色の蛍光灯一辺倒でしたが、エントランスや廊下、フリースペースは暖色系の柔らかい照明を使うとよいでしょう。照明を変えることでリラックスできる空間となり、ワークスペースとも分けることができます。
・観葉植物を取り入れる
オフィス内にグリーンを取り入れることはオフィスデザインのトレンドです。グリーンがあるだけで、明るく開放的な空間となります。グリーンには目の疲れを癒し、リフレッシュ効果があります。空気を清浄にする働きもあり、よい気分のまま商談スペースへ進むことが可能です。
3.会議室は常にきれいに。おしゃれな演出をお忘れなく!
会議室は来訪者と長時間過ごすメインスペース。ここは気を抜かずにおしゃれな演出をしなくてはなりません。会議室は、会議や商談をする場所です。従って、開放感やリラックス効果がありすぎても困ります。適度に改まった雰囲気を出しつつ、おしゃれなポイントを押さえてデザインするとよいでしょう。
また、エントランスと同様、会議室にも企業のブランドや風土が見えるデザインにすることで、商談の間もコンセプトを意識することができます。更に、最近トレンドになっている、開放感を演出するデザインも効果的です。閉塞感がありすぎないプライバシーが守られる空間作りの工夫が必要となってきます。
具体的な会議室のデザインポイントを見てみましょう。
・家庭用のインテリアを使用する
オフィス用の家具は事務的で見た目は冷たいイメージとなりがちです。おしゃれな空間を演出するためには、家庭用の家具から選ぶと効果的です。
カラフルなソファを置いたり、会議用のテーブルにダイニングテーブルを使用したりすると、個性的な空間を演出できます。資料を入れてある本棚も、スチール家具よりも家庭用の木製のものに変えるだけで、温かみのある空間となります。
・おしゃれなブラインドやパーテーションを使う
味気ないブラインドやパーテーションは、視界を覆う面積が大きいため、使用することで一気に昔ながらのオフィスに変貌してしまいます。どんなにおしゃれな家具を揃えても、ブラインドが事務機器一辺倒であると、旧来のオフィス空間になってしまうのです。
最近は、木製のブラインドやカラーのブラインドが出ています。ナチュラルな印象やポップな印象、クールでシャープなイメージなど安っぽくならずに窓際を演出することができます。
パーテーションも同様です。家庭用のナチュラル素材を使ったものは、観葉植物と相性が良くおすすめです。
デザインではないですが、香りで演出する方法もあります。会議ではコミュニケーションと柔軟なディスカッションが大切です。そこで、コミュニケーションが活発化する柑橘系の香りや、熱くなった頭をクールダウンして集中力を高めるミント系の香りを使うことで、煮詰まりがちな商談もスムーズに進めることができるかもしれません。おしゃれで快適なイメージを演出することもできます。
4.来訪者と社内スタッフの共有スペースであるトイレは特に注意!
トイレは隠れたブランディングスペースです。快適な施設には快適なトイレが必ずあります。同様に、快適でおしゃれなオフィスは、トイレもおしゃれで快適でなければなりません。
とはいえ、空間が限られていることも多いので、制限が多いのは事実です。それでも、少し工夫をすればお洒落なトイレ空間を作ることは不可能ではありません。
オフィスにおけるおしゃれなトイレはどのような役割を持ち、どのようにデザインするべきなのでしょうか。豪華な設備やフレグランスを用意しなくても実現できる、おしゃれなトイレデザインを見ていきましょう。
2009年にTOTOが調査した『「トイレ空間」の快適性・清掃性は仕事のモチベーションに影響しますか?』というアンケートデータによると、影響すると答えた割合が46%、やや影響すると答えた割合が38%。実に84%の人が何らかの影響があると回答しています。快適性・清掃性とは、きれいであることと、快適であることはもちろん、設備の老朽化や女性特有の配慮がされていないなど環境面での要素も含まれます。 トイレのデザインは、環境面での快適・清潔性は、快適に仕事をするために重要な事柄なのです。これが来訪者となれば、企業のイメージにも影響することは間違いありません。
快適で清潔でおしゃれなトイレのデザインに不可欠なのが、女性の声です。女性は清潔でおしゃれであることに敏感です。また、女性にとってはメイクを直す場所でもあるため、比較的長い時間トイレを利用することになります。女性が過ごしやすく快適であると感じられるトイレが、おしゃれで印象のよいトイレとなるのです。
例えば、一昔前に多くある暗くて、狭く、意気消沈してしまうようなトイレでは、女性はそのトイレを使いたがりません。わざわざ隣のビルやホテルのトイレを借りに行くというようなこともあるようです。
これでは、企業の印象は悪くなってしまいます。トイレの不満は、会社継続の危機にも繋がるかもしれないのです。
そこで、ホテルやおしゃれなカフェのトイレを参考にデザインしてみましょう。同じような快適な空間を作ることができます。例えば、壁や洗面台などインテリアには木目調の素材を使うことで癒しを演出できます。大きな窓を取り付けることで、明るく広々としたリフレッシュルームとなります。反対に、濃いめの木目調デザインに、シックな照明と大きめな鏡で高級感とリラックス感を強調したトイレも好まれます。
また、できるなら広い空間にリノベーションするとよいでしょう。狭いトイレでは隣に居合わせた人との距離が近くなってしまい、また数を多くできないため、快適とは程遠いトイレになってしまいます。広くすることで適度なパーソナルスペースが生まれ、ゆったりと過ごすことができます。女性の場合は、身だしなみを整えるための大きな鏡や着替えのスペースも欲しいところです。
さらに、収納スペースを多くすることですっきりとした空間となります。トイレットペーパーや掃除道具はできるだけ見せたくないもの。収納家具を家庭用にすることで、おしゃれなスペースとなります。
こだわりの雑貨を取り入れるのもよい方法です。この場合は、雰囲気を統一するとうまくいきます。例えば、和風の演出をしようとするのなら、和柄のタオルや竹素材の小物などを使います。フレグランスも、桜やヒノキなどを使うとよいでしょう。
5.ときには担当者の席へ行くこともある!オフィス内も要注意!
オフィスのデザインは、スタッフのモチベーションや生産性に影響します。従って、業績を上げるためには、オフィスデザインを考える必要があるのです。そして、来訪者はスタッフたちの働き方を見ています。働きやすいコンセプトが見えるオフィスでは、スタッフは生き生きと働いている姿を見ることができるでしょう。この印象は、その後の商談にも影響します。商談後は、担当者のデスクで仕事を進めることがあるかもしれません。
スタッフの働きやすさを考えたおしゃれなオフィスデザインは、来訪者に見えても見えなくても隙なく考える必要があります。
では、機能的でおしゃれなワークスペースとはどのようなものなのでしょう。いくつかのポイントを見てみましょう。
・社員が働きやすいオフィス
オフィスは社員が人生の大半の時間を過ごす場。洗練されたおしゃれなオフィスは、「社員が働きやすい環境」を追求しています。社員同士がストレスにならない動線がレイアウトされ、作業に集中したり、肩肘張らずにくつろげるリラックススペースやミーティングスペースを作っている企業も多くなっています。
・一貫したコンセプトを持つ
オフィスのおしゃれさは全体のバランスで決まります。1つ1つおしゃれなインテリアを取り入れていても、一貫したデザインのコンセプトがなければバラついた印象になってしまうからです。
「緑と光があふれる、明るく開放的な空間」や「アメリカのガレージのようなヴィンテージなオフィス」などといった具体的なコンセプトがあると、コンセプトに沿って導入するインテリア、壁や座席のレイアウトがおのずと決まって、まとまりのあるおしゃれなオフィスが出来ます。
また、企業ロゴや名刺、サイトデザインに使われている色を取り入れ、コーポレートイメージと一貫させてイメージを作り上げているオフィスもあります。オフィスと制作物のデザインを一貫させることは企業のブランディングにつながり、来客へのアピールや採用にも効果的なオフィスになります。
2、おしゃれなオフィスを作る7つの要素
では、ここでは実際にオフィスをおしゃれに見せる方法をお教えします。多くのおしゃれなオフィスが取り入れているノウハウなので、参考にして下さい。
・ニュートラルなカラーを使う
極端な配色は避け、白やグレー、セピアカラーなどのニュートラルな配色をベースに、黒やグリーン、レッドなどのアクセントカラー、さらには、壁や床、カウンターなどのワンポイントにウッドや金属などの素材感をプラスするとおしゃれな印象になります。
・観葉植物を取り入れる
オフィス内にグリーンを取り入れることは近年のオフィスデザインのトレンドです。味気ない事務的な雰囲気にならず、オフィスが明るくなります。グリーンには目の疲れを癒し、集中力を向上させる効果があり、リフレッシュ出来る空間を演出できます。
また写真栄えするため、コーポレートサイトなどで内装をアピールする際に効果的です。手入れが大変なので、造花のグリーンを使っても問題ありません。一般的な鉢植えで観葉植物を取り入れるのもいいですが、壁面緑化や、天井に配置するなどオフィス全体に大胆に取り入れると、よりおしゃれに見えます。
・照明を変える
照明は、オフィス全体の雰囲気に関わる重要な要素です。間接照明やペンダントライトを取り入れる、また照明の色温度を変えるだけでもおしゃれになります。
照明の色は、暖色系であればリラックス出来る落ち着いた雰囲気を演出できます。
従来のオフィスでは、明るさから脳を活性化するといわれていた寒色系の昼光色が普通でしたが、おしゃれなインテリアを取り入れているオフィスでは、昼白色と呼ばれる暖色系の照明を取り入れることが増えてきました。
インテリアショップやおしゃれな飲食店などでも、暖色系の色味が使われていることが多く、リフレッシュスペースやエントランスなどは照明の色を変えることで空間にメリハリをつけることも出来ます。
・壁紙や床の素材を変えてみる
視覚的に床や壁紙が占める面積が大きいため、ここを変えるだけでもかなり雰囲気が変わります。ウッド調にするとカフェ風、コンクリートの打ちっ放しにするとクールなイメージとなります。企業イメージや業種に合わせて、快適なものを選びましょう。
・家庭用のインテリアを置く
全てを家庭用にするには無理がありますが、一部の家具を家庭用に変えるだけでおしゃれな雰囲気になります。本棚やサイドテーブル、フリースペースのソファやテーブルは、揃えやすく値段も様々あるため選びやすく、手軽にイメージを変えることができるでしょう。
6.意外と忘れがちな喫煙ルームも気をつけて…
2003年に施行された「健康増進法」以降、今や分煙・禁煙が当たり前の時代です。企業では分煙・禁煙対策が進められ、企業によっては全面禁煙という場合もあるでしょう。喫煙者は喫煙所を探してそこでしか吸えなくなるなど、なかなか厳しい時代のようです。
しかし、JT(日本たばこ産業)が2016年5月に実施した「全国たばこ喫煙者率調査」の結果によると、全国の喫煙者率は19.3%と出ています。特に男性の喫煙率は29.7%と、調査以来最低の数字となっていますが、喫煙者が存在することも事実です。
喫煙者に配慮する喫煙ルームですが、非喫煙者の意見にも配慮しなければなりません。喫煙者にとって見れば、タバコはコミュニケーションと集中力を高めるものであり、癒しであっても、非喫煙者にとってみれば、健康を害するサボりを助長する不愉快なものでしかありません。
さらに、受動喫煙は非喫煙者にとってみれば我慢できないものです。臭いだけでなく、健康を害するのですからたまったものではありません。企業はオフィスの受動喫煙防止の対策を徹底しなければならないのです。
2003年に厚生労働省により施行された「健康増進法 第25条:受動喫煙の防止」によると、「受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と定められています。さらに、「職場における喫煙対策のためのガイドライン」によれば、「全面禁煙か空間分煙が望ましい」とされています。
また、受動喫煙防止の対策を十分に行われていない環境で、受動喫煙による健康被害が発生した場合、会社がその責任を負うこととなっています。禁煙・分煙対策を行うことは、今や当たり前のことなのです。
帝国データバンクの調べによると、「全面禁煙」の企業は23.7%にのぼり、完全分煙を行っている企業は55.2%となっています。全面禁煙は、観光業や飲食業が多く、最近では販売業にも多く見られます。IT企業にも多く見られ、この先増えていく様子です。完全禁煙を企業のブランドと捉える向きも出てきており、喫煙室自体が少なくなっていくかもしれません。
とはいえ、喫煙者にとって「社内全面禁煙」とは非常に厳しい状態です。特に来訪者にとっては、緊張している上に喫煙する場所がないとなると、再訪に二の足を踏むかもしれません。
非喫煙者にとってみると、「嫌煙」も権利であり、来訪者が出す煙も不快なものです。タバコのことで関係がギクシャクしてしまっては、先の商談にも影響します。
このことから、喫煙室のあり方は、快適なオフィス空間を作るためには避けて通れない問題なのです。
お互いの権利を満足させるためには、完全分煙がベストです。社内の全く別のところで喫煙のためだけの部屋を作る他、外のスペースやビルに設けられたスペースを利用することもあります。
この場合、喫煙者・非喫煙者の双方が快適となるメリットがありますが、喫煙者が喫煙スペースまで移動する時間がかかる、非喫煙者からみると喫煙するたびにサボりに行っているように感じるといったデメリットがあります。特に来訪者にとってみれば、別の場所まで移動するのは慣れていれば良いですが、初回訪問では移動しにくいでしょう。
同じ空間で移動しなくても済むのが「空間分煙」です。分煙機能が徹底している設備を非喫煙者も使う休憩スペースに配置します。「分煙キャビン」など高機能の分煙設備の設置により、キャビンの扉を開けていても外に煙が出ずに、同じスペースでも完全分煙を実現できます。
これなら同じスペースなので、非喫煙者ともコミュニケーションが可能です。リラックスして話し合うことで、新たなアイディアが生まれるかもしれません。しかし、非喫煙者にとってみれば、喫煙している姿を見るだけでも不快と感じる人もいます。受動喫煙する可能性が低くても、同じスペースで煙を見ているだけで不安になったり臭いに敏感になったりするかもしれません。
そこで、ガラスで仕切る方法があります。ガラスで仕切ることで視覚的に煙が入ってこない安心感があり、喫煙者が何をしているのかも見えます。喫煙者にとってみても、姿が見られているのでサボっているという誤解を避けることができます。実際にサボりたくなったとしても、見られている意識があるため喫煙が終わったらすぐに席に戻るようにもなるでしょう。
もちろん、どんな分煙方法にしたとしても、清潔であることは絶対条件です。吸い殻を見せない工夫、灰皿は常にきれいにしておくことは当たり前。喫煙スペースだからこそ、徹底した清掃を心がけましょう。
また、分煙設備を作るとき、厚生労働省が管轄する「受動喫煙防止対策助成金」を活用することができます。喫煙者、非喫煙者、両方の希望と権利が満たされるスペースでありたいものです。
分煙と喫煙スペースは、企業のブランドにも影響します。分煙が徹底していることで、喫煙に対する意識とスタッフの健康に留意している企業であると見られるでしょう。喫煙スペースがないから外で、というままにしておけば、周辺のオフィスや住宅にも迷惑をかけてしまいます。
ブランディングされたおしゃれなオフィスにしたいのであれば、社内での分煙対策が必須なのです。
7.(まとめ)自分が来訪者として他のオフィスに行くときのことを思いだしてみる
筆者は商談や打ち合わせといえば、客先のオフィスを訪問するのが圧倒的です。訪問する日時を決め、相手の企業のブランドや理念の情報を集め勉強し、それから訪問します。
なので、訪問する前にはその企業に対するイメージがある程度固まっています。女性が多いアットホームな雰囲気、最新技術を開発する技術者集団、トレンドを発信するクリエイティブ集団など、企業サイトや商品を見て、コンセプトカラーやスタッフの性格も想像しているのです。
この状態で訪問したときに、最初に印象づけるのはやはりエントランス。受付です。狭くても清潔でわかりやすい受付は、訪問を受け入れられているようで安心します。担当者が来るまでのソファがあると、ワンクッションとなり頭も整理できます。落ち着いた状態で担当者と会うことができるため、エントランスに椅子があるオフィスは印象が良いです。
反対に、スリッパが段ボールに雑多に詰め込まれている、床が汚れている、傘や靴ベラが片付いていない、クールだけと使い方が全くわからない内線電話があるエントランスだと、それまでの印象がいくら良くてもランクが下がってしまいます。
メディアによく出ているIT企業でも、スリッパが放り出されているスペースでは、本当はいいかげんな社風なのかもしれないと思ったり、使い方がわからない内線電話を置いている企業は、クライアントのことを考えないオフィスかもしれないと考えたりします。
エントランスのデザインは、思いの外来訪者の印象に影響を与えます。サイトのデザインをクールにすることも大切ですが、受付をおしゃれに快適にすることは同じくらい大切なのではないでしょうか。
また、打ち合わせスペースにもなる会議室は、オフィス然としたスペースでも筆者の場合はあまり気にしないのですが、狭いまたは閉鎖的なデザインだと不安になります。閉塞感が感じられる空間は、逃げられない、または相手のペースに飲み込まれるといった漠然とした危機感をもたらします。特に女性の場合は顕著でしょう。
打ち合わせスペースが開放的で、落ち着いたデザインであれば、話しやすくコミュニケーションも円滑になるようです。観葉植物があることで清々しい空気を感じるため、快適に過ごすことができます。花があればその花から会話が広がるので、季節によっては花が咲く観葉植物も効果的かもしれません。
また、打ち合わせスペースには、企業の理念やブランドが感じられるものがあると、それを見ながらコンセプトをずらさずに商談を進めることができます。雑多に置かれているのではなく、おしゃれに効果的にさりげなく置かれていることで、印象もアップします。話のきっかけにもなるため、会議室にこそコンセプトを演出するスペースではないでしょうか。
さらに、これは好みかもしれませんが、照明は明るめの方が良いです。資料をきちんと読むためにも、カラー見本を正しく読み取るためにも照明は大切です。これは業種によるかもしれませんが、機能性を重視したデザインを心がけるのが良いと感じます。
オフィスのデザインは、スタッフの仕事ぶりにも影響します。おしゃれで洗練されたオフィスで働くスタッフは、モチベーションも高く生産性も高く、何よりも自信を持って働いているという印象です。快適であるということは、内省的にも対外的にも重要なオフィスの条件なのです。