「戦略的なオフィスデザインとは何か?」について考えてみる

目次

1.戦略的なオフィスデザインの定義とは?


出典:http://www.office-sensei.com/

これらは日々従業員に意識してもらうためだけでなく、世の中へ知ってもらいたいという意識ゆえ。自分たちの会社が“どんな分野で”“どんなビジョンをもって”社会に貢献していくのか…。

文字で表現するのは簡単ではありつつも、当たり前すぎてあまり注目してもらえないことが多いのも実情です。その理由として、「〇〇を大切に」「〇〇を目指す」「〇〇に貢献」etc…大抵どの企業も同じような語感になってしまっているからではないでしょうか。

どんなに〇〇の内容こそ素晴らしくても、誰かの心に留まらなければ企業戦略の上でも意味を成さないことになってしまいます。そこで自社の理念をもっとわかりやすく視覚的にアプローチする手法として、もっとももふさわしいのは、オフィスデザインをもって体現していくことなのです。

2.おしゃれで美しい“だけ”のオフィスデザインは無意味かもしれない


出典:https://www.vault.com/

とにかく同業他社との差別化を図りたいとします。幸か不幸か、まだまだ日本ではオフィスデザインの真価を発揮および理解できていない企業は多いので、今「おしゃれで美しいオフィス」を手に入れることが可能となれば、それはもう一目置かれることは必然でしょう。

ですが、その「おしゃれで美しいオフィス」が自己満足になってしまってはなりません。ただおしゃれにするだけならば、近い将来必ずどこの企業も似たり寄ったりなつくりになってしまい、差別化を図れたのも一瞬だけ…という結末になりかねないのです。

オフィスデザインの話からは少し逸れますが、電車の中吊り広告や街中の看板で、審美歯科の宣伝をよく見かけます。はじめはA院だけが“黄・青”を基調とした看板を打ち出していたとしましょう。ところがそこが爆発的にヒットするやいなや、他の審美歯科医もこぞって“黄色と青を使った広告”を提示しはじめます。すると、街ゆく人の目には同じカラーリングの歯科医ならどこでも同じように見えてしまい、A社ならではの色というよりも、審美歯科の色合いとしてしか認識しなくなってしまうのです。

大切なのは、誰の目にも伝わりやすいようなデザインであると同時に、自社ならではの理念がオリジナルデザインとして独立すること。「おしゃれで美しいオフィス」の条件はもはや当たり前であり、その上に自社独自の付加価値が乗らなくてはならないのです。

3.戦略的なオフィスデザインを実行する上で重視すべきことは?

どんなに素晴らしいオフィスが完成したとしても、その後の生産性向上やサービス提供は従業員の力あってこそ。戦略的…と聞くと数字ばかりを追い求めてしまいがちですが、まず従業員1人1人が、自社の業務内容を消費者目線で理解し、誇りを持てるようにならないと会社全体は輝きません。

ここでは自社への見聞を深めながら、多様性あふれるスタイルで仕事に取り組めるオフィス設計を取り入れた海外大手企業をいくつか見てみましょう。

●Puma SE(ドイツ)

世界的なスポーツ用品ブランドとしても有名なプーマは、社内でもスポーツアクティビティが盛んです。通路にはミュージアム調に自社製品の歴史が展示され、関係者以外がほぼ立ち入ることのないオフィスであっても、ブランドカラーを基調としたインテリアで統一。ですがオープンスペースばかりでなく、飲食店の個室席のようなミーティングスペースも用意されていたりと、従業員の意思を尊重した空間づくりが特徴的です。

出典:https://www.glassdoor.com.hk


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●trivago(ドイツ)

宿泊予約や価格比較サービスで、旅のサポートを提供しているトリバゴ。オフィス内を見渡すと、まるで働く場所ではないかのような斬新なデザイン。部屋ごとにさまざまな国のモチーフが取り入れられ旅をイメージし、会議室は会社のロゴ同様の色合いでビジネスライクに。時に気晴らしになる遊び場や仮眠室がある点も、従業員にとっては喜ばしいですね。


出典:https://www.officelovin.com/


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●Uber Technologies Inc.(アメリカ)

日本の都市部ではUBER EATSでおなじみのフードデリバリーサービスなど、配車ウェブサイトを運営するウーバー。日本の旧時代的なオフィスでは垢ぬけない印象を抱かれがちなホワイトボードも、洗練された空間内ではアイディアの宝庫として、スタッフ間の風通しの良さすら感じられるアイテムに。無機質な天井と木材の什器のマッチングも素晴らしく、常に必要な情報が大画面で得られるあたり、ワールドワイドでいち早く情報をキャッチするウェブサービスのイメージにぴったりです。


出典:https://www.glassdoor.com/



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●Microsoft Corporation(アメリカ)

ご存じマイクロソフト社のオフィス。ブランドマークである4色のビビッドカラーを交えながらも、決してうるさすぎず、明るく風通しのよい空間を演出しています。まるでリビングルームを広げたような解放感のあるインテリアは、動線も自由でさまざまな働き方に対応可能。“革新”を意味するinnovateの電光文字も、言葉の強さほどに威圧感を与えず、けれど日々目にして意識することができるアクセントに。個室の数も多いですが、ホワイトとガラスのバランスが秀逸なため、広々と感じられます。


出典:https://officesnapshots.com/


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4.結論:改めて問いたい。オフィスデザインは企業にとって有益か否か?


出典:https://www.jbhrefurbishments.co.uk/

ご覧のとおり、海外ではオフィスデザインの有益さがしっかりと浸透しています。国内においても、とりわけ外資系企業はエントランスから内部まで、ブランドカラーを取り入れるとともに従業員のQOLをも重視したオフィスづくりがなされていますが、残念ながら、日本企業はまだまだ発展途上。

ある意味では真面目な日本人気質と言えなくもなさそうですが、グローバル化が顕著な今、今後さまざまな企業がオフィスによる自社アピールに注力することは間違いないでしょう。

短期的な生産性だけに着目すれば、一見費用のムダとも思われがちな要素かもしれません。ですが、人々の目に留まり、働く人たちのモチベーション改革も担うことが可能な環境づくりは、長期的に見れば効果は絶大です。

せっかくの企業戦略、広告などの営業活動ももちろん重要ではありますが、労力の源であるオフィスこそ、アプローチのツールとして大変質量の大きなものなのではないでしょうか。

オリジナリティあふれるデザインで競合他社との差別化を図り、景気に左右されない伸びしろを築くことこそが、競争社会で生き抜いていくための秘訣です。

5.追記:戦略的なオフィスデザインはプロに任せるべきか?


出典:https://k2space.co.uk/

先に紹介した大手海外企業のオフィスは、すべてプロの建築デザイナーが手がけたもの。単発的な模様替えではなく、あくまで先々を見据えたオフィス設計をするならば、やはり専門家に依頼するのがベストです。

「いやいや、わが社はあんなに広くないし賃貸一間だから…」という場合でも、その限られた空間をいかに有益に使っていくかがキーポイント。むしろ日本の狭い建築事情だからこそ、細かなスペースも余すことなく、戦略アピールと働きやすさに繋げていくべきだと考えます。

加えて湿度に悩まされがちな日本では、方角や通気性に応じた材質選びも重要です。企業の成長を促すならば、ただおしゃれで美しいモノが創れるだけでは物足りません。“働くための場”に特化したプロにこそ、託してしかるべき案件なのではないでしょうか。

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