目次
- 1.ペーパーレスの導入率は?
- 2.ペーパーレスのメリットとは?
- 3.ペーパーレスを導入する際に注意すべきことは?
- 4.ペーパーレスを本格的に導入する際に求められるオフィスデザインとは?
- 5.オフィスデザインのプロに任せるべきか?
1.ペーパーレスの導入率は?
出典:https://www.isotracker.com/
PC、タブレット、スマートフォンetc…
近年、私たちの職場環境において、ICTツールがすっかり手放せない存在となりました。
(※ICT Information and Communication Technologyの略。情報伝達技術の意)
各デバイスが1社員につき1台以上は与えられるなか、今まで紙で管理していた書類も、データ化して管理する方法へシフトしつつあります。
ペーパーレスとは「紙を減らす」ことを目的としたもので、今まで積み重なっていた書面の山を、PDFなどにデータ化することで、使用する紙の量を削減できるというものです。
現在、日本国内における企業のペーパーレス導入率は、わずか10%ほどといわれています。
もっとも活用されている部門は勤怠管理、ついで稟議書・申請書などのワークフロー、経費精算、見積書・請求書となっている模様。
PDFを活用している企業となればその率はかなり上がるものの、ペーパーレスの条件を「一連の作業を1度も紙に印刷することなく、PCにて直接PDFを作成していること」と定義すると、やはりまだ日本は後進国といえそうです。
2.ペーパーレスのメリットとは?
出典:https://officesnapshots.com/
そんなペーパーレスを導入することで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
●コスト削減
書類のデータ化がはかどれば、複合機にセットしていた紙・インク類の消費量も自然と減ります。
保管にかかるコストも同様。
●生産性向上
デバイスから検索・閲覧できるため、膨大な紙書類の中から必要書面を探す手間が省けます。データの共有化がしやすくなるため、属人化によるデメリットも回避可能に。
●テレワークに最適
コロナ禍により普及したテレワークでも、紙の書類の確認・押印のために出社しなければならない人が多数いました。PDF化とともに電子ハンコも広まれば、すべてをネットワーク上で完結させられます。
●オフィスの美化
今までの書類もすべてPDFに取りこむことで、資料室やデスク周りをすっきりさせることができます。シュレッダーにかける必要がなくなるため、掃除の手間も省くことが可能。
●紛失や情報漏洩のリスクが軽減
紛失の恐れがある紙と異なり、いつでもクラウド上にあるPDFならば紛失する心配もありません。また、重要性に応じてアクセス制限や暗号化などのセキュリティ対策を施せば、盗難や情報漏洩のリスクも少なくなります。
このように、企業側はもちろん働く人々にとっても数多くのメリットが得られるペーパーレス。
働き方改革により従業員のライフスタイルにも多様性がみられる現代だからこそ、書面のデジタル化は有意義なシステムと認識されているのです。
3.ペーパーレスを導入する際に注意すべきことは?
出典:https://www.andoffices.com/
しかしメリットばかりではありません。
便利になった反面で、扱う側が注意しなければならない問題も。
●「ペーパーレスの対象外文書」がある
実はペーパーレスにも法律(e-文書法)が存在し、デジタル化すべきでない書類というものが定められています。例としては「安全の手引き」など、緊急時でも直ち閲覧できなければならない書面。こうしたものは、今でも紙で保管していなければなりません。
●ICTリテラシーの周知
ICTデバイスの操作に慣れていない従業員がいる場合、操作や取り扱いに関する教育をしなければなりません。情報格差やトラブルの原因にもなり得ます。
●電子化した部門の周知
せっかく生産性UPを目論んでも、何がデータ化されていて、何が紙のままなのかが周知されていなければ、結局書類探しから逃れることはできません。
デジタル化における目的・データの場所etc…、これらの共通認識化をはかる必要性が生じます。
●システム障害のリスク
利用しているクラウドサービスや社内サーバーがダウンした際、書類の閲覧が不可能に。導入の際は、可用性の優れたサービスやシステムを選定する、UPS(無停電電源装置)などでデータを守るなど対策を。
あくまでペーパーレスの目的は「紙を減らす」こと。紙を完全になくせばいいというものではありません。
大前提として、全従業員が適切に扱えるようにしなければならないため、不安がある場合は講習会やセミナーなどでフォローする必要が発生します。
また、自社だけがペーパーレスを導入しても、取引先の足並みがそろっていないとかえって非効率になることも。
受け取ったFAXをすぐに持って出かける必要がある業務など、必ずしもデータ化する必要がないケースも存在します。
どこまでデータ化すべきか、事前にしっかり範囲を決めて取り組むことが肝要です。
4.ペーパーレスを本格的に導入する際に求められるオフィスデザインとは?
オフィスデザインにおけるペーパーレスのメリットは、デザインの自由度が広がることに尽きるでしょう。紙の書類がなくなれば、書類棚や引き出しも従来ほどの数はいらなくなります。
つまり、モデルルームのような解放感あふれる、すっきりとした空間を演出することも叶うのです。また、什器の選択肢も広がるため、よりデザインが楽しくなるでしょう。
例えばこんなデザインも。
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たくさんの書類を収納するには、デスクに引き出しが欠かせません。しかしペーパーレスを導入すれば、シンプルなデスクやダイニングテーブルを仕事机にすることも可能です。
書類棚のかわりに、インテリア性重視の飾り棚を置くのもGOOD。向こう側が見えるデザインは閉塞感がなく、適度なパーテーションとして設置するのもオススメです。自社製品を並べるなど、企業イメージをアピールする場所にするのもよいでしょう。
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書類棚がなくなって嬉しいことがもうひとつ。今までほとんど見えなかった壁面も、オフィスデザインとして活かせるようになります。クロス材が見える面積が広ければ広いほど、空間そのものも広く感じられ、キレイで片付いた印象に。
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また、従来の社内資料がデジタルに置き換えられるようになれば、空いたスペースを有効活用するきっかけに。
資料室をなくすor面積を縮小することで、作業スペースを広げる、フリーアドレススペースをもうけるなど、新たなコミュニティの場ができる可能性も秘めています。
5.オフィスデザインのプロに任せるべきか?
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書類がなくなれば、恐らくみなさまが想像する以上にオフィスがさっぱりするはずです。いわゆる断捨離状態となり、それにともなって見えてくるのは、今まで書類棚に隠れて見えなかった床・壁のホコリや汚れ。
湿気を含むとシミになる場合もあり、古いものは拭き掃除でも落とせません。また、紫外線によるヤケも、物があった場所となかった場所では色の差が生じます。
そのためペーパーレス化をきっかけに、オフィスのリフォームを検討する企業がかなりの割合で増えています。
前項でも簡単にご紹介したように、ペーパーレス導入後のオフィスは、従来の常識とはまったく異なるスタイルが主流。
今まで以上に、オフィスそのものが主体となって、企業イメージやコーポレートカラーをアピールしていくべき時代です。
デザイン性と使い勝手のバランス、調光、カラーコーディネートetc…
演出できるパーツが増えたからこそ、一貫性を保つのが難しいですね。不要なモノがなくなる=自由度が上がるため、ついあれこれ手を出したくなる気持ちもありますが…なんでも取り入れすぎてしまうと、せっかくさっぱりした空間が、統一感のないものになってしまいかねません。
その点、プロのデザイナーにきちんと構築してもらっていれば、後々DIYでアレンジするにも基本がしっかりしているため安心です。ペーパーレスを導入する際は、のちのオフィスの活用方法も、ぜひ一緒に考えてみてくださいね。