社員のモチベーションアップにつながるオフィスデザインとは?

一昔前は、「働くスペースと雨風がしのげれば良い」という考え方だったオフィスデザインも、外資系企業の進出や働き方改革により、職場環境の一環として注目され始めています。では、モチベーションを上げるオフィスデザインとはどのようなものなのでしょうか。

目次

1.そもそも、社員のモチベーションアップにつながるオフィスデザインとは?

経営者またはマネージャー職にある人は、どうすればスタッフまたは社員のやる気を引き出せるかを常に考えているものです。実際、社員のモチベーションを上げるマネジメント術は管理職に必須であり、様々な研修やビジネス書をみることができます。

社員のモチベーションを上げるテクニックは、給与や仕事内容、声がけやチームビルディングなど様々ですが、そこに「職場環境」が関係しています。どんなに立派なオフィスで優秀なスタッフが揃ったとしていても、効率が悪い動線でスタッフ同士のコミュニケーションが滞ってしまうオフィスでは、長期的なモチベーションアップにはつながりません。さらに、プライバシーが妨げられる、パワハラが生まれる、女性が過ごしにくいと感じるオフィスデザインでは仕事に集中することができず、離職率アップの原因にもなりかねません。社員のやる気「モチベーション」は、「職場環境」に密接に関係しているのです。

職場環境は雇用条件とは異なり、従業員満足度を高めるひとつの指針です。職場環境は、その職場の雰囲気等のソフトな部分と、インテリアやデスクの配置、空調の快適度などハード面も関係してきます。
中でも、「コミュニケーション」「人間関係」というソフト部分は、従業員満足度に関係し離職率を大きく左右します。

「自分が被害を被ったわけではないが」というぼんやりした理由で離職する社員は、コミュニケーションがうまくいかない、孤独感を感じる、パワハラまたはセクハラ現場を見せられる、常に監視されている気がするなどを感じています。このような離職を食い止めるためには、マネジメントの改善ももちろん必要ですが、ハード面の職場環境から変える必要があります。オフィスデザインを変えるだけで、ソフト面も改善することが多いのです。

では、ソフト面を改善し社員のモチベーションを上げるオフィスデザインとはどのようなものなのでしょうか。実際に検証してみましょう。

・適度な距離感と動線が考えられたオフィス

人には心地よい距離感があります。この距離を越えると、不快感や圧迫感を感じストレスとなります。この距離感を超えたデスク配置をしたオフィスでは、1日の大半を快適に過ごすことは難しいと言えるでしょう。
デスクの間隔が狭いオフィスは動線も悪く、ひとつひとつの動作に障害が生まれます。お互いに見たくないものを見えてしまうことで、諍いが起こることも少なくありません。

さらに、デスクの配置がスタッフのストレスを増大させる場合があります。

とあるシステム開発会社では、効率を考えてデスクを教室のように等間隔で前向きに並べ、一番後ろに管理者を配置し、常に管理者はスタッフの働きを見えるようにしました。スタッフからは背後の管理者が何をしているのかは全く見えず、管理者だけがスタッフたちの動きを見ることができます。
この配置にしてから、このシステク開発会社では離職者が多発し、うつ病の症状を訴えた社員もあったようです。原因は「常に監視されているストレス」です。管理者にその気がなくても、デスクの配置でスタッフのストレスがマックスになってしまった結果です。

オフィスのデスク配置は、適度な空間と快適な距離感、プライバシーが侵されず相互のコミュニケーションが可能であることが必要です。コミュニケーションができるデスク配置と行動を妨げない空間と動線を考慮したオフィスデザインを心がけましょう。

・オンオフが切り替えられるフリースペースの設置

スタッフはオフィスで仕事だけをしているのではありません。休憩は生産性の高い仕事をするには不可欠であり、質の良い休憩が社員のモチベーションを高めるのです。

社員がいきいきと働いている職場には、フリースペースが充実しています。フリースペースでは、休憩のほかに軽いディスカッションができたり、仮眠ができたりするところもあります。ひとりで集中して作業ができる場合もあれば、部署やチームを超えた情報交換の場になったりもします。フリースペースは、スタッフの感性を活発化させる場でもあるのです。

オフィスの休憩所は概して隅や給湯室などに設けられている場合が多いのですが、休憩所を休憩するためだけのものではなくフリースペースと考え、オフィスの中心に据えることも方法です。休憩という機能だけではなく、自由な場所として再検討することによりオフをしっかりとることができ、社員のモチベーションをアップにつながるでしょう。

また、フリースペースを中心に据えることで人が心置きなく集まりやすくなり、コミュニケーションも活発化します。どんな人が集まっているのかも見えるため、会話に参加しに行くことも可能です。管理者はスタッフがどこにいるか把握しやすくなり、フリースペースでのラフなディスカッションを行うこともできます。ラフな雰囲気の話し合いは、リラックスモードで話すことができるため思わぬアイディアが生まれることもあります。フリースペースではチームを超えた情報交換もできるので、生産性もアップするでしょう。

休憩しても良い、コミュニケーションを取っても良い、雑談しても良いという安心感は、従業員満足度をアップさせます。フリースペースを設置するだけで、職場の潜在的な課題を解決できるかもしれません。

・風通しの良いオフィスにする

オフィスの中心にフリースペースを設けることにもつながりますが、四方を見渡し仕切りのないオフィスにすることで、コミュニケーション向上と安心感を促すことができます。パーティションをなくす、あるいは背の低いものにする、会議室や喫煙室をガラス張りにするなど、物理的に仕切りをなくすことで、今日は隣の人が出勤しているのか、それとも病欠なのか有給休暇なのかを把握することができ、隠れたハラスメントを防ぐことにもなります。

多くのハラスメントは、「人から見えない」所で行われることが多いようです。閉ざされた会議室、社長室、給湯室などです。これらがオープンになることで、人の目が抑止力となりオープンな話し合いがされるようになります。問題が浮上する前にコミュニケーションにより解決へとつながることも多く、ハラスメントそのものがなくなることも多いようです。

また、来社するお客様にとっては、オープンな社風は好意的に映るでしょう。不正を行わない安心感と信頼感にもつながります。フリースペースでの自由なディスカッションを見て、活発な企業としてうつるかもしれません。

オープンな空気はスタッフのストレスを軽減させます。人は、人との関わり合いの中で生きています。仕事の場だから無駄話を排除し強制的に集中させようとする環境は、大きなストレスとなるでしょう。

従業員満足度を上げるためには、ソフト面とハード面の両方の改善が必要です。常に効果測定し改善し続けることでオフィスが活性化し、社員のストレス軽減とモチベーションアップを引き出のではないでしょうか。

2.モチベーションがアップするオフィスデザインに男性社員が求めるものとは?

モチベーションがアップするオフィスに、男女が求める環境に違いはあるのでしょうか。

男性は、ものを購入する際見た目やイメージよりも効率性や機能性を重視するものです。これはオフィスデザインでも同様で、男性の多くは「オフィスデザインの見た目のかっこよさとモチベーションは関係がない」と感じているようです。

しかし、そんな男性でも「客先からのよい印象」は仕事の結果に直結すると考えています。自分としては雨風凌げればよくても、客様が来社した時に印象が悪いオフィスであった場合、その後の取引に悪影響を及ぼす可能性があることを危惧しているのです。結果を重視する所はいかにも男性らしい考えだと言えます。

また、男性はコミュニケーションも重視しています。コミュニケーションを重視するのは女性の方が多いと思いがちですが、男性は女性とは違う視点でコミュニケーションを必要としているのです。太古の昔の男性たちは、狩猟に出かけるのはひとりではなく村などのチームでした。大きな獲物をしとめるためには、チームの力がなければなりません。効率よく安全に獲物を捕らえるためには、チームのコミュニケーションが不可欠です。

この記憶は、現代社会でも息づいています。成果を上げるためには、チームのコミュニケーションが必要です。コミュニケーションにより結託力を高めチームの勝利を導こうとしているのです。仕事での成功の予感は、モチベーションアップにつながります。コミュニケーションが活発化しチームビルディングがなされやすいオフィスデザインは、男性にとって必要不可欠な要素なのです。

さらに、男性は集中する時はひとりを好みます。これは、男性の特性上、同時にいくつものことを考えることが苦手なところから来ています。女性は電話をかけながらネイルをしたり、食べ物をつまむことができますが、男性は何かをしながら電話で話すことが苦手です。同時進行は女性にとっては簡単なのですが、男性にとってはとても難しいことなのです。

従って、コミュニケーションを取りやすいオープンさを持ちながら、集中できるブースがあり、効率的な動線と客先から信頼されるデザインのオフィスを、男性は望んでいると言えるでしょう。

3.モチベーションがアップするオフィスデザインに女性社員が求めるものとは?

女性の活躍が社会で進められている昨今、女性社員のモチベーションを高めることは必須です。女性は男性とは違う視点で快適性を求めます。男性がスペック重視なのに対し、女性はイメージ重視です。この違いは、女性特有の感性によるものです。

女性はイメージをとても大切にし、イメージによってモチベーションの状態が左右されます。その日の気分によってもモチベーションのアップダウンが激しく、体調によっては冷静さに欠く日もあります。さらに、女性のコミュニケーション力はビジネスにとっても大きなメリットですが、共感を重要視するため、女性だけのミーティングではいつまでも結論に結びつかないことがあります。コミュニケーションが向上するオフィスが必要なのは男性と同じですが、女性の場合はコミュニケーションの質が違います。共感だけでなく、結果が導かれるような工夫が必要だと言えるでしょう。

このように、女性はイメージによってモチベーションがアップダウンします。この特性をうまく使い、快適で生産性の上がるオフィスづくりを行いましょう。

・モチベーションを上げるイメージや色を取り入れる

女性が大切にしているイメージ。自分が輝けるイメージがあれば、女性のモチベーションは格段に上がります。

そこで、企業のイメージを存分に取り入れたデザインにすることで、常に自身が企業のブランドに似合う女性であることを意識しながら、仕事に取り組むことができます。 キャリアウーマン向けの雑誌や化粧品を扱うのならシックでかっこいいイメージ、メルヘンチックでスイートな女子向けの商品を扱うのなら淡い色や使いに可愛らしい家具など、企業がイメージするドラマの登場人物で居られるようなオフィスデザインが効果的です。

また、ポイントカラーでモチベーションをアップさせるのもおすすめ。やる気が出る赤、女性らしいアイディアを生むピンク、冷静さをとりもどすブルー、社交的で明るいオレンジなど、休憩室や会議室などのスペースに、ポイントカラーを取り入れてみるとよいでしょう。

また、最近ではいわゆる「インスタ映え」も大切な要素です。休憩スペースやオフィス家具、デスク周りなど、ワークスペースにトレンドとおしゃれを取り入れることで、業務にも張り合いが出るかもしれません。

・コミュニケーションを取りやすく、且つ適度な距離感を

女性は他者とコミュニケーションを取ることで自分の居場所を確認し、組織での行動を決めていきます。そして、他者に共感することで、安全に生きていくための仲間を作ります。オフィスでも、コミュニケーションが取りやすいレイアウトにすることで、仲間同士の安心感が生まれます。かといって、グループが車座になる、狭いデスクで向かい合わせにしてしまっては、おしゃべりばかりになり、メリハリがなくなってしまいます。

デスクは集中できる距離と位置にレイアウトして、ちょっとした打ち合わせの時に使えるスペースを、デスクから見える場所に用意するなど工夫が必要です。打ち合わせなどに使うフリースペースは、ある程度オープンにして、他のメンバーの視界に入るようにしておくと安心感が生まれます。

・整理整頓しやすい収納を

女性は整理整頓好きでまめまめしく片付けると思われているようですが、実は手を抜くことも知っているため、整理整頓の環境が整っていないとその環境に順応してしまう可能性もあります。管理者がきれい好きならばよいのですが、忙しい職場では片付けは後回しになり、お客様がいらっしゃるときに大急ぎで片付けはじめるなんてことになってしまいます。こうならないためにも、整理整頓しやすい収納家具が必要です。

出しやすくしまいやすい高さの棚、細々としたものはまとめられる引き出し、扉付きのオフィスラックなど、さっと片付けられて、見た目もスッキリときれいな収納家具があるとよいでしょう。また、女性だけの職場の場合、デスクで化粧直しや身支度をしてしまいがちです。仲間内なら気にしないかもしれませんが、外部の人が見ると見苦しいものです。

この習慣を改善させるため、トイレやパウダールームの近くに小型のロッカーを設置しているオフィスがあります。出社後の化粧直しのついでに、化粧ポーチや生理用品などをロッカーにしまい、帰りはロッカーから化粧ポーチを出して、化粧直しをしてから退社できます。ワークスペースとのメリハリもつきやすく、男女が揃うオフィスにもおすすめです。

4.モチベーションがアップするオフィスデザインに色使いは関係あるのか?

色彩は視覚から人に真理に影響を与えるといわれています。また、スピリチュアル的には、色そのものにエネルギーがあり、そのエネルギーが人の心身に足りないエネルギーを与えるという考え方もあるようです。
このような特色から、色はマーケティングにも取り入れられています。業務やコンセプトに合わせてオフィスカラーを選択し、ロゴやオフィスにその色を使うのもよい方法です。

さらに、オフィスでスタッフのモチベーションをアップさせ、生産性を高める色はあるのでしょうか。ここでは、色別に見るオフィスへの効果をみてみましょう。

・赤は情熱的に、青は冷静に

例えば赤は興奮を促し、愛情や情熱を引き出します。やる気を引き出し、エネルギーが湧いてくる色です。コミュニケーションや行動が活発化する傾向が現れやすくなり、イノベーションを仕掛けるベンチャー企業など、成長曲線を急激に伸ばしている企業が選択することが多いようです。

逆に青は冷静さや知性を引き出すのに効果的と言われています。集中力を高める効果やリラックス効果にも期待できるため、データ分析や頭脳を使う仕事、コンサルティング会社などによい効果をもたらすでしょう。

・フリースペースには白やグリーンを

フリースペースに有効な色が緑と白です。緑は目に優しく、気持ちを穏やかにする効果があります。そのため、フリースペースに使用することで、リラックス効果が生まれます。観葉植物をオフィスに導入する企業が多いのも、緑が持つ色彩効果がよく知られているからです。

白は清潔感があり、オープンなイメージです。開放感があり、自由な発想を助けてくれます。フリースペースや会議室に採用することで、ディスカッションが盛んになり、アイディアも出やすくなります。

・黄色やオレンジは親密感

明るいイメージの黄色やオレンジは、チームで動くときに効果を発揮します。コミュニケーションを助け、親密感をアップさせます。イベント会社などに使用すると、スタッフと参加者が一体感を持ちやすく、成功率がアップするでしょう。また、オレンジは元気になる色でもあります。グリーンと合わせることでフレッシュ感がアップし、すがすがしくリフレッシュできます。制服に利用することで、お客様にも元気な印象を与えます。笑顔が他のスタッフのモチベーションアップにつながるでしょう。

・要注意なピンクは非現実感を引き出す色

女性が選びがちなピンクは、休日やオフ時のモチベーションアップにつながりますが、ビジネスでの利用には注意が必要です。ピンクは、攻撃性を抑える働きがあり、非現実性をイメージさせます。このため、数字やデータなど確実性を扱うオフィスでは注意が必要です。しかし、女性のアンチエイジングには効果的だとも言われています。パウダールームや女性用トイレに使用することで、女性にはよい影響が現れるかもしれません。

色は、その色が持つエネルギーで心理を左右します。企業やスタッフが求めるモチベーションアップはどんなものかを考えて、効果的な色を選びましょう。

5.社員のモチベーションが下がるオフィスデザインとは?

これまでモチベーションが上がるオフィスデザインに関する条件を見てきました。では、モチベーションが下がるオフィスデザインとはどのようなものなのでしょう。

仕事をする上でモチベーションが下がる要因として一番多いものが「人減関係のトラブル」だといいます。確かに、離職する理由のうち多いのがパワハラやセクハラ、いじめ、トラブル。人間関係のトラブルは精神に大きくダメージを与えるようです。

人間関係の悪化は、オフィスのデザインにも原因があります。先にあるように、オープンで風通しのよいオフィスはコミュニケーションが活発化し、オフィスの課題が表面化する前に解決できる傾向にあります。
反対に、閉鎖的で狭く距離が近すぎる場合は、不快感から生まれる反発から、いじめやパワハラが横行しやすくなってしまいます。

パワハラ等のハラスメントは、受けている当人だけではなく、見ている他のスタッフにも影響を与えます。職場環境が悪いと判断され、周りにいるスタッフも同様にハラスメントを受けていると同様の精神苦痛を感じてしまうのです。

働きやすいオフィスは、スタッフのストレスも少なく成果につながりやすくなります。働きが成果につながることで、結果としてモチベーションアップにつながります。

オープンで快適なオフィスデザインとは何か、社内の課題を解決するためには何が必要なのかを洗い出し、スタッフが人間関係でのストレスを生まないオフィスデザインを心がけることが大切です。

6.モチベーションがアップするオフィスデザインの事例紹介

これまでモチベーションを上げるオフィスデザインを検証していますが、オフィスは企業の顔としても重要な役割を担っています。見た目が良いデザインは、お客様に好意的に映るだけでなく、スタッフの意識向上にも効果をもたらします。特に女性は、ハイセンスなオフィスで業務を行うことで、充実感と満足感を実感できるでしょう。モチベーションがアップしハイセンスなオフィスデザインの定義は何かまとめてみます。

・おしゃれで居心地の良いオフィス

いくらオシャレでも、居心地が良くなければモチベーションはあがりません。オシャレ、且つ快適であることが必要です。色や空間の使い方で、快適性をアップさせることができます。観葉植物を置く、壁に絵画をあしらうなど工夫してみましょう。

・企業のテイストに合わせたデザイン

例えば女性向けのアパレルデザインの企業なら、ターゲット層がオシャレと感じるテイストをデザインに取り込むことで、創造性がアップします。コンサルティングを担う企業であれば、信頼性や正確性などをイメージしたデザインで、自覚が生まれ行動にも現れるでしょう。企業カラーを差し色に取り入れるのもよい方法です。常に自社のブランドを意識した行動や思考となり、成果が現れやすくなるでしょう。

・家具にこだわり、遊びを持つ余裕を

オフィス家具というとスチールの色気のないものを思い浮かべるかもしれません。もちろん機能性が高いことは必要ですが、それだけでは殺伐としたイメージになってしまいます。例えばフリースペースにカラフルなソファーやクッションを用意する、会議室にはモダンな円卓を使用するなど、リラックスやコミュニケーションに効果的な家具を利用することで、余裕が生まれます。家具で変化するイメージを感じることは、余裕の表れ。余裕が良いアイディアとディスカッションを生むでしょう。

・カフェ風?リゾート風?テーマを統一したデザイン

最近流行しているのが「オフィスらしくないオフィス」。カフェ風にしたり、小ワーキングカフェ風、リゾートホテル風など、オフィスに見えないオフィスが好まれています。特に、ベンチャー企業やクリエイティビティな発想が必要な企業に多く取り入れられているようです。このようなオフィスらしくないオフィスは、仕事そのものを楽しむことができ、モチベーションをアップさせます。居心地がよく、またリラックスしながら仕事ができるため、アイディアが生まれやすくコミュニケーションも活発化します。人間関係が円滑になる効果も期待できるので、スタッフのモチベーションアップに良い影響を与えているようです。

では、実際にスタッフのモチベーションをアップさせている事例を見てみましょう。

・老舗旅館を改装したオフィスデザイン

株式会社アソビズム長野ブランチは、京・秋葉原に本社を構えるスマホ向けアプリ制作会社。この長野支社が魅力的であると話題です。それというのも、長野県長野市にある同社は、長野市で100年近くも営業を続けてきた旅館をリノベーションしたもの。古民家の和のテイストをそのまま残し、オフィス空間として改装しています。フリースペースは、社員も来客も利用できる「束の間」。サロンスペースになっており、打ち合わせや社員のリフレッシュ空間として使われ、社員同士のコミュニケーションの場となっています。

さらに、業務を行う「執務室」は、デスクを並べただけでなく、古民家の特徴でもある大きな梁を利用しダウンライトで空間の質をアップさせています。外から見える作業スペースは街の景観にマッチし、中で働くスタッフの刺激にもなっています。もちろん、社内にはwifiネットワークが完備され、館内のどこにいても作業ができるようになっています。クリエイターに必要な「気持ちの切り替え」が、いつでもできるようになっているのです。

この長野支社は「クリエイターを育てる」という目的で開設されたと言います。狙い通り、モチベーションアップしたスタッフたちが、着実に成果を上げているようです。

・上質感を演出したオフィス事例

株式会社ビービーシーは、住宅から商業施設まで幅広い実績をもつ総合内装会社。つまり、内装のプロ。そのプロが自社のオフィスを外観から内装までプロデュースしたというわけです。オフィスは1階がレセプションと執務スペース、3階に会議、応接スペースという構成。その全てが高質感のあるラグジュアリーなホテルのような雰囲気に統一されています。特にエントランスは石やタイル、ガラス、金属、木など異なる表情をもつ素材を組合せ、来客者にインパクトを与えています。このインパクトが、高いセンスと技術を持つ「会社の顔」としての機能を果たしています。

同社のオフィスは、内装のプロとして顧客にアピールするための「作品」です。同時にスタッフには企業の誇りと理念を意識づけるものでもあります。このオフィスに通勤し仕事を行うことで、スタッフのモチベーションを高め続けているのです。

オフィスデザインは、業務に大きな影響を与えます。日本オフィス家具協会が2017年3月に発表した「オフィスワーカーから見た、オフィス環境ニーズのトレンド」によると、「オフィス環境の良し悪しは、仕事の成果をあげることに影響する」という質問に「そう思う」「ややそう思う」と答えた人の割合は64.8%と、非常に高い割合を導いています。
また、「オフィス環境の良し悪しは、仕事に対するモチベーションに影響する」という質問では、「そう思う」「ややそう思う」と答えた人の割合は71.4%となり、オフィス環境が企業の業績や、従業員のモチベーションに大きな影響を与えることが示唆されているのです。

見た目の良さを整えるだけでは、企業が抱える課題を解決することはできません。企業が求める人材、イメージやテーマは何か、ブランドや理念などを考えて、オフィスをデザインすることが重要なのです。

7.モチベーションがアップするオフィスデザインはプロに任せるべきか?

これまで見てきた「モチベーションがアップするオフィスデザイン」の定義や考え方。これらを実現させるためには、企業の課題を洗い出し、ブランドとコンセプトをデザインに落とし込み、成果という結果が現れるオフィスを構築する必要があります。

スタッフだけでこれらをデザインに取り入れようとすると、かなり試行錯誤が必要でしょう。どれだけの費用がかかるのか、どこにコストをかけるべきなのかもわかりません。やはり、目的の結果を出すデザインは、プロに頼んだ方が得策ではあります。
では、プロに任せた時のメリットをみてみましょう。

・予算に応じた最適な提案を聞くことができる

オフィスのリノベーションには多かれ少なかれコストがかかります。しかし、湯水のようにお金をかけることができないのも事実です。さらに、お金をかければ良いものができるとは限りません。プロにオフィスデザインを依頼した場合、予算に応じた様々な提案をしてくれます。移転が伴う場合には、居抜き物件などの情報を提供してくれる場合もあります。
できれば、提案からデザイン、内装、施工等をワンストップで行うデザイン会社に依頼することをお勧めします。トータルで提案してもらえるので、予算感が把握しやすく、予想外のコスト発生を避けることができます。

・レイアウトに無駄がない

オフィスは仕事をする場であり、1日の大半を過ごす場所であり、生産が行われる場所でもあります。その目的のために、レイアウトに無駄がないことはとても重要です。無駄がないからといって無機質ではなく、一見無駄に見えても実は大きな意味をなしていたりなど、そんなデザインが行えるのがプロ。人が集まるエリアとくつろぐフリースペースや、会議室、エントランス、給湯室やトイレなど、リクエスト応じてメリハリをつけたレイアウトとデザインを行います。また、一般の人が陥りがちなのが通路の幅。いざ、使い始めたら人同士がすれ違えない、人が通るたびに圧迫感がある…そんな経験はありませんか?一度、デスクを配置してしまうと再びレイアウトするのは相当に面倒なものです。このあたりの絶妙なさじ加減もプロならではの手際で解決できるでしょう。

・業務経験が豊富

オフィスデザイン会社には、様々なオフィスデザインを担ったプロが控えています。企業にとって初めての移転やリノベーション、課題解決でも、オフィスデザイン会社にとってはこれまでの実績の集大成を発揮できる案件となるのです。

オフィスデザイン会社では、日々様々な業種の企業のデザインを行っています。課題解決のためのコンサルティングを行い、デザインとして形にし、美しく現実化させています。今悩んでいる問題は、同じ業種のどこかの会社が抱えていた問題かもしれません。オフィスデザイン会社には、そんな事例や経験が集まっています。相談することで、様々な事例と経験から最適な解決方法を提示してもらえるでしょう。

・居心地のよい空間が創り出せる

デスクの配置や会議室の設営だけがオフィスのプロの仕事ではありません。快適な空間作り、オフィス作りも大切な役割です。観葉植物を配置する、喫煙者のスペースを確保しつつ、非喫煙者の方がたばこの臭いが気にならないレイアウトを心掛ける、水回りが汚れないようにゴミ処理の導線などを整備する…等々。その気配りは細部にまで及びます。社内の方では通常の業務と平行して行う分、なかなかそこまで気配りを行き届かせるのは大変です。住みやすい家と同様、働きやすい環境を創り上げるのもオフィスデザインのプロフェッショナルの役割なのです。

・妥協がない

社内の方がオフィスの立ち上げや引っ越し・模様替えを行うということは、通常の業務と平行する場合がほとんどでしょう。つまり、忙しいのです。忙しいところにさらにこの業務が追加されます。…ということはつまり「これくらいはまあ、いいか」という妥協の積み重ねが生じます。本来なら痛んでいるエントランスの什器を一新したり、床のケーブル類をきちんとまとめたり。そういったひとつひとつの作業を妥協することで、何となく緊張感のないオフィスが完成するのです。その状態では、1カ月もすればあっという間に散らかったオフィスになりかねません。そういった一切の妥協を許さない、許されないのがオフィスデザインのプロフェッショナルの仕事なのです。

オフィスデザイン会社は、その企業のブランドや理念を鑑みてデザインを決めます。それは、ただ見た目が良いだけではなく、機能的でスタッフのコミュニケーションが活発化し、スタッフの満足度をアップさせるプロの仕事です。

快適でセンスあるオフィスデザインは、スタッフの自覚を高めモチベーションを高めます。その高まったモチベーションが結果的に成果となって現れ、企業の業績アップへとつながるのです。

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