賃貸オフィスや貸事務所の原状回復に関するポイントと相場とは?

目次

1.そもそも「原状回復」とは?


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「原状回復」とは、わかりやすく述べると「借りる前の状態に戻す」こと。

これは民法545条1項でも定められており、借主に義務が生じます。一般の賃貸住宅でも、退去時には不動産会社や大家さんの立ち合いのもと、物件の傷み具合や汚れなどを確認し、修復が必要とみなされればその費用を請求されます。

この際よほどの汚損がない限り、入居時に収めた「敷金」からハウスクリーニング代を差し引いて返金されることがほとんどです。賃貸オフィスや貸事務所においても、何らかの設備を増設したり、内装に手を加えた場合、それらを撤去して「始めに借りた状態」に戻さなければなりません。

おおまかなフローは一般の賃貸住宅同様ですが、オフィスの場合はデザインや設備面での改装をしていることがほとんどなので、そのぶん退去にも手間がかかると思っておいたほうがよいでしょう。

2.原状回復についてのガイドラインは存在するのか?


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「借りる前の状態に戻す」と言っても、実はすべてを借主が負担しなければならないわけではありません。

増設した設備や内装は撤去することで無にできますが、借りていた時間、つまり経年劣化や一般的な使用において傷んだ箇所は、原則的に貸主が負担することになっています。

これらに充てる費用は、借主が支払っていた賃料に含まれていると解釈すればよいでしょう。ですが「経年劣化」や「一般的な使用」という表現は曖昧ですね。

その曖昧さゆえ、原状復帰工事をどこまで借主が負担するのかでトラブルになることも。実は、賃貸物件におけるガイドラインは、国土交通省により発行されているものの、オフォスに適応されるかどうかと言われると、正直難しいところです。

国土交通省HP:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

ガイドラインにおいても、あくまで“民間賃貸住宅における…”と触れられており、オフィス規模における原状回復の想定はされていません。
1人~複数人の家族・知人どうしが住む物件と、数十人以上もの従業員が使用するオフィスでは、損傷や改装の度合いも異なりますし、なかなか同じガイドラインに当てはめることは容易ではありません。

また、オフィスや事務所向けの場合、あらかじめそれ専用の特約が設けられていることも多く、「経年劣化」や「一般的な使用」においてもその契約内容に従わなければなりませんので、契約書類を再確認しておきましょう。

ただし、住宅用のマンションやアパートの一室をオフィスとして使用しているなどのケースでは、国土交通省のガイドラインが適応される可能性もあります。いずれの場合も、基本的にはガイドラインより、入居時に交わした契約書の内容が最優先されるという点は同様です。

3.原状回復のポイントとは?


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それでは具体的に、原状回復をしなければならないポイントとはどういった部分でしょうか。

オフィス退去における一般的な例としては、

・持ち込んだ什器など設置物の撤去
・壁や天井に施工したクロス材や塗装
・張り替えをした床材
・交換したブラインドやカーテン
・交換した照明機器
・増設した回線やコンセント類
・トイレや給湯室など水回りの清掃および交換

などがあげられます。まず物件をからっぽにするのは引っ越しの際には当然として、オフィス利用ともなると、回線工事やコンセントの増設など、特に電気設備に手を加えていることがほとんどです。

コンセントを増設している場合、壁側の施工もしなければならないため、内装屋さんと電気屋さんが同時に原状回復工事を進めていくことになるでしょう。

ついうっかりやってしまいがちなのが、最初に備え付けられていたブラインドやカーテン類を紛失・処分してしまったというケース。この場合同等品を用意するなどして弁償しなければなりません。

しかしこの¥原状回復、貸主や不動産会社によっては特例も存在します。

例えば、
・回線環境などが現状のままの方が便利である
・現状の内装材のほうが今の流行に合っている

特に築年数の古い物件の場合、のちの入居者にとって付加価値となり得るポイントは、元通りにされてしまうより「残したままでいいですよ」と、かえって歓迎されるケースも。

思わぬ嬉しい打算があるかもしれませんので、退去の手続きの際に交渉してみるのも一つの手です。

4.原状回復に掛かる費用の目安は?


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これまでの流れで、一通り原状回復作業のフローはご理解いただけたかと思います。それでは果たして、これらの工事をするためにいったいどれくらいの費用がかかるのか…。退去する側としてはもっとも重視したいポイントですね。

しかしこの費用の目安というのは、数多くの退去を目の当たりにしてきた我々でも、実はいちばん説明しにくいものだったりするのです。なぜならば、「面積・改装度合い・傷み具合・築年数・立地」によって大きく差がでてくるためです。

「原状復帰なのに立地?」と思われるかもしれませんが、地価が高いエリアであればあるほど、近隣の工事業者さんの作業工賃も高い傾向にあります。
これまた曖昧な表現になってしまいますが、“一般的な”使われ方をした場合、オフィスの規模に応じて2~10万円ほどになるパターンが多いと言えます。
かなり作りこまれたデザイン性のあるオフィスの場合、その何倍になってしまうケースも少なくありません。

そこで先ほどもご紹介したように、のちの入居者募集にとって付加価値となり得る設備をそのまま残せるかどうかを交渉することで、費用を抑えられる可能性も大いにあります。

また、契約書にはないはずの、「貸主の希望」が混ざった原状回復以上の工事を求められたというトラブルも、退去の際によくある話。なにかと多忙な引っ越しの時期ですが、しっかり目を通して、不明な点は話し合ってから工事に進めるようにしましょう。

また、照明やカーテン・ブラインドの類など、DIYで戻せそうな箇所は自身で済ませておいた方がコストも抑えられます。

5.原状回復をオフィスデザインのプロへ任せるべき理由とは?

出典:https://www.workspace.co.uk/

契約内容に目を通してみると、原状回復の工事会社は貸主の指定会社でおこなわなければならない記載されている場合があります。妥協だらけのまま進めてしまうと、必要以上の修復まで負担させられてしまう場合も。

「契約だから…」と諦める前に、可能な範囲でオフィスデザインのプロの力を借りるのも一つの手段です。引っ越し先の新しいオフィスを任せるデザイン会社に原状回復も任せれば、什器の搬入に二度手間が発生することもなくなりますし、請求書がひとつにまとまる点でも経費管理が楽になります。

業界ではこのように、退去から新オフィスのデザインまで一括しておこなうことを「ワンストップ」と言いますが、大きなメリットとして依頼主さまの負担が軽減されるという点で、近年注目されているサービスです。

また、現状のままで付加価値となり得るポイントを貸主に説得する際も、個々で主張するより間にプロが入る方が説得力も増し、スムーズに納得してもらいやすくなります。

もしも退去に苦労した経験があるようならば、原状回復がしやすいオフィスデザインを依頼するという手もあります。
心機一転、気持ちよく新しいオフィスへ移行するべく、円滑な退去を目指しましょう!

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