1. はじめに
2020年といえば、そう東京オリンピックの年です。
新国立競技場のデザイン案見直しにボランティアスタッフのユニフォームのアレさに佐野研二郎さんのロゴのアレとそこから波及したアレとコレと。
いろいろ問題が掃いて捨てるほど沸いて出てきています。掃いて捨てたいですねほんとに。
幾何学ロゴつくったら「パクリだ!」なんて言われそうで怖い世の中になりそうです。
さて、それは置いといて2020年といったらコレ!というのが別にあります。
ワークスタイル変革元年になりそうなんです。
2013年に政府は「世界最先端IT国家創造宣言」内で、
「2020年までに週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を10%以上に」
「2020年までにテレワーク導入企業数を2012年度比で3倍に」
「第一子出産前後の女性の継続就業率を 55%、25 歳から 44 歳までの女性の就業率を 73%まで高める。」
という数値目標を掲げました。
政府の宣言に数値目標の具体性もあり、大企業を中心に働き方の見直しが始まっています。
少子高齢化が進み生産年齢人口が減り続ける中、他企業に負けない労働力を確保し続けるにはどうしたらいいのでしょうか。
その一つの答えが、育児や介護で働ける時間が限られる社員に仕事を続けられる環境を提供すること。
今いる社員に快適な労働環境を提供することは、未来の社員である優秀な学生へのリクルーティングにも繋がります。
社員を会社に縛り付け、効率の悪い働き方から脱却できない企業は今後優秀な学生から敬遠されてしまうかもしれませんね。
「じゃあ、どんな働き方に変えたらいいの?」
今回はそこの部分についてテレワークの面から書いていこうと思います。
2. もくじ
- はじめに
- もくじ
- テレワークって?
- 懸念点と解決方法
- 実際の事例
- おわりに
3. テレワークって?
そもそもテレワークってなんなんだって話です。
日本テレワーク協会webサイトにはこう記述されています。
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
国土交通省の定義はこうです。
1週間に8時間以上、職場以外でICTを使って仕事をする人
日本でテレワークを導入している企業の大半は、週に1日~2日に限定して在宅勤務を認める制度で運用されています。
「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語であり、働く場所によって『自宅利用型テレワーク(在宅勤務)』『モバイルワーク』『施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)』の3つに分けられます。
在宅勤務とは、自宅にいて、会社とはパソコンとインターネット、電話、ファクスで連絡をとる働き方のこと。
モバイルワークとは、顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使う働き方のこと。
サテライトオフィス勤務とは、勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用した働き方のことです。
一社専用で社内LANがつながるスポットオフィス、専用サテライト、数社の共同サテライト、レンタルオフィスなどの施設が利用され、都市企業は郊外にサテライトオフィスを、地方企業は都心部にサテライトオフィスを置きます。
モバイルワークやサテライトオフィス勤務なんかは、実は自然にやっちゃってるかもしれませんね。
この中の在宅型テレワーカー数を10%以上に。というのが政府の数値目標です。
4. テレワークのメリットって?
よしテレワーカー数を増やしたいのはわかった。
でもそれってどんなメリットがあるのさ?
と気になるところ。
まず挙げられるのが先ほども少し書いたように、優秀な人材の確保ができること。
ある大手企業では社員の意識改革のためにテレワーク制度を導入。
フリーアドレス制度などと合わせてそれまでと違うワークスタイルを提案実行しました。
その結果、翌年から新卒での入社希望者が30%も増えたという事例があります。
働き方というのは特に女性の求職者にとっては重要で、
『結婚・出産しても働き続けられる企業』であることが会社選びの大きな基準になっているため、良い人材が集まりやすいのです。
現在の日本では、働く女性の62%が「第一子の出産時に会社を辞める」という選択をしています。
それまでの人材育成に相当な投資をしている30歳前後の世代に辞められるのは、企業にとって大きなマイナス。
ただしこれは、辞めざるを得ない働き方・社会の状況に置かれているから。
週1~2日でも在宅勤務ができる環境であれば、出産後も女性が働き続ける可能性は大幅に高まるというわけです。
選択肢の提供ですね。
フリーアドレスを導入してオフィスを小規模化することによるコスト削減や、障害者雇用の推進、防災対策など、
テレワークによる在宅勤務の導入は企業経営にとって多面的なメリットがあります。
6. テレワークの実際の効果
日本テレワーク協会の調査結果より、実施企業で実際に出た効果をいくつか紹介します。
資料作成や企画等、集中して頭を使う業務の効率が上がる、通勤時間が削減される等といった意見がテレワーカーから挙がっており、数値的な効果までは表れていないが期待感はある。
テレワークがあることによって離職を思いとどまった例があることから、潜在的なニーズは多くある。
障害者が就業機会を獲得することにつながっており、人材活用 が促進されている。
優秀な人材を発掘して確保できていることで事業拡大につながり、 売り上げが伸びている。
テレワーカーの増加により、在宅勤務者用のパソコンや ソフトウェア導入等のコストがかかったが、テレワークにより、 オフィス賃料や通勤費などのコストセーブを図ることができた。
テレワーカーは普段より在宅で勤務しているため、非常災害時に も事業を継続することが可能である。
育児期の親は増えているが、育児を理由とした退職者数は 極めて少ない。(過去5年間に1名)
従業員数に対して、机の数を7割程度のみとしており、その分のオフィススペースコストの削減につながっている。
5. 懸念点と実際のところ
というテレワークなのですが、新しい働き方ですのでそこには当然さまざまな懸念点が心配されています。
その結果導入に踏み切れない、導入しても活用しきれない企業も多数。
どんな点が心配されているのか、その心配はホントのところどうなのか。
いくつかみていきましょう。
5-1. 在宅勤務ではダラけて生産性が落ちるんじゃないの?
テレワーク実施企業へのアンケート調査では「集中して業務ができ、生産性が上がった」という回答が多数を占めます。
テレワーカー本人だけでなく、上司や周囲の同僚たちの意見も同様です。
電話や同僚との会話など作業が中断されがちなオフィスより静かな自宅の方がデスクワークに集中できることからの結果です。
在宅型勤務では「サボっていると思われないよう、きちんと結果を出さなければ」という意識が高まることもあります。
家事をしっかりと終わらせてから隙間の時間で仕事をする。家に帰ってから思い出したあの仕事をささっと片付けられるなど。
業務にも家庭にも不安のない良い状態をつくりだせることも大きいです。
5-2. 仲間とのコミュニケーションが減っちゃわない?
現在日本のテレワーク在宅勤務は週に1日~2日程度のもの。
コミュニケーションが減るという感覚は薄いようです。
それでも自宅でひとりで仕事をしていると、孤独感や寂しさを感じモチベーションが低下しかねません。
そういった状況を改善するため、仮想のオフィスレイアウトをデスクトップ上に表示し
離れた場所にいる社員同士があたかも机を並べて仕事をしているように感じられるソリューションもあります。
在宅勤務でも上司や同僚とのつながりを感じられるようにするためのものです。
チャットやウェブ会議機能も備え、会議中にはメンバーのアイコンが画面上の会議室に移動するなど、リアルの行動を再現します。
「一緒に働いている」という意識を持ちやすくすることで、社員が孤独感を抱かないようなサポーターです。
5-3. 部下のマネジメントが非常にやりづらそう…。
目の前にいない部下をマネジメントするのは非常にやりづらいものです。
ウェブ会議システムを利用することで、遠方のオフィスとも会話によるコミュニケーションは行えますが、
やはり直接顔を合わせて話すのに比べると、情報量は格段に減ってしまいます。
そこで仕事にメリハリを付けるという意識が必要になります。
ホワイトカラーであれば、1日のうち20%くらいは一人で集中的にデスクワークをする時間があります。
それを一週間分まとめて、週1日の在宅勤務で処理をするという形にすれば、効率よくテレワークを導入できます。
他の4日をオフィスで顔を合わせて仕事をするなど、企業ごとのバランス感覚を磨いていきましょう。
5-4. 導入してもうまく使えなさそう。
在宅勤務制度を導入したものの、実際に制度を活用する社員が少なく、有名無実化している企業はたくさんあります。
これを解決するために大切なポイントは大きく2つ。
新しい働き方の事例を社員に示すことと、マネジメント層が率先して活用すること。
「新しい働き方が可能になりました。」
それだけ言われても実際の所どう活用したらいいかなんてなかなかわかりません。
テレワークでの働き方を実際の社員の行動に合わせたタイムテーブルで具体的に示すことでイメージを得やすくできます。
そしてそれらをマネジメント層や上司に実践してもらうこと。
「時間に対する意識が高まりメリハリをもって働ける。」「通勤時間をずらすことでラッシュの負荷を避けられた。」
なんて意見を上司から聞かせてもらえれば若手社員も気軽に活用しやすくなります。
5-5. 家でも仕事ができると、働きすぎちゃわない?
四六時中仕事ができる環境が整うがゆえに、勤務時間外でもメールに反応してしまったり、
資料を作ってしまったりして、ついつい労働時間が伸びてしまう。
なんてきめ細かい対応ができすぎてしまう懸念はあります。
「在宅勤務を利用する日は残業をしない」などというマネジメントを徹底することは必要です。
5-6. 導入のためのコストが気になる。
ワークスタイルソリューションの競争が激化し数が増えたことで、導入コストが大幅に下がっています。
日本テレワーク協会のwebサイトでソリューション・サービスの紹介がされています。ご参考に。
7. おわりに
テレワークが普及し週に2~4回の出勤にとどまる社員が多くなると、オフィスそのものの形態も大きく変わってきます。
2020年以降のオフィスは働く場所ではありつつも、「集まる場所」としての役割が大きくなってくるのではないでしょうか。
同僚や上司との会話からインスピレーションやモチベーションを得たり、家ではできない実際に顔を突き合わせたミーティングなど。
コミュニケーションの場としての機能が重要になってくるでしょう。
デスクの数は社員数の7~8割にとどまり、ミーティングスペースやリラックススペースが広くとられアイデアの創発や偶発を狙うオフィスが主流となるはずです。
働き方がかわることでその受け皿となるオフィス空間も当然変化します。
これからオフィス移転やオフィスデザインを検討する企業様は、未来の働き方にも目を凝らしてみるといいかもしれません。
それでは。