社内環境改善に理解のある社長なら、きちんと説明することで許可が得られそうですが、問題ありの生産性に社内環境やオフィスのデザインは無関係と決めてかかっている社長の場合は、説得には時間がかかりそうです。そうは言っても、社長は会社の利益を第一に考える経営者。オフィスデザインが生産性や会社のブランディング、社員の意識向上に寄与するとわかれば、前向きに考えてくれるかもしれません。今回は、理解のない社長のパターン別に対処法を考察していきます。
目次
1.ワンマン社長の場合
ワンマン社長の困ることは、とにかく自分が一番。これと決めたら周囲の意見を聞かずに押し切ってしまうため、巻き込まれるスタッフは大変です。聞く耳を持たないので、どんなにオフィスをおしゃれにリノベーションしたいと希望をしても、興味がなければ言われたことも三歩歩けば忘れてしまいます。
ワンマン社長の特徴:自分流を貫く
「俺(私)の言うことが絶対!他の者は口出し無用!」という社長はワンマン社長です。何を言っても聞く耳を持たず、自分が200%信じなければ絶対に動きません。自分の思いつきやカンで会社を動かすことも多く、まきこまれた社員はへとへとです。それでもうまく会社が回っているのが不思議なのですが、それがますます社長をその気にさせてしまうため、「俺の言うことは絶対に正しい!俺が言えば動けば大丈夫!俺は神に護られている!俺が神だから!」という具合にエスカレーションしてしまいます。
ワンマン社長の特徴:イエスマンを周囲に置きたがる
悪いワンマン社長の典型的特徴が、自分の発言や指示に対してイエスマンの部下ばかりを側近に配置したがる一方、優秀であっても自分に異を唱える人物は遠ざけたり粗末に扱ったりします。
そのため、人材を適材適所で配置することがなかなかできません。イエスマンで上層組織を固めたがるので、スタッフの希望や不満の声が届きにくいということがあります。
ワンマン社長の特徴:意見がコロコロ変わる
自分の揺るぎない信念を持っていると思いきや、さっきまでこだわっていた意見を急に覆して、現場に混乱を招くことも少なくありません。経営に関する事項や会議で決めたことをワンマン社長の一声で中止したり、思いつきや気紛れで意見を変えるため、それに振り回されるスタッフはたまりません。
ワンマン社長の特徴:現場の実情を知らない
イエスマンが多くなればなるほど現場で働く社員の意見は社長の耳に届かなくなっていきます。また、会社が大きくなるにつれ社員数も増えてくれば直接話しができる社員も減り、社長も現場から離れる傾向にあり、結果、現場の実情とのズレが大きくなってしまいます。ワンマン経営を行ってしまう原因がここにできあがるというわけです。
ワンマン社長の特徴:全てを把握したがる
社長1人の時代や社員が少ない時代には全ての状況を把握することが容易でも、社員が多くなるにつれて全てを把握することは難しくなります。そのため、ある程度社員に任せることが必要ですが、定期的な報告以外でワンマン社長の耳にまで届く内容は、現場だけでは収拾がつかなくなった大問題となり、時すでに遅しという場合も多いようです。
このような事態が増えてくると、ワンマン社長の不安は大きなり、普段の細かい業務なども把握したくなってくるのが人情と言えるでしょう。しかし社員からしてみれば細かいことに口をだされたり、細かい点まで報告する義務が出てくるため、煩わしさを感じてしまい、さらにスタッフとの溝を深くしてしまいます。このようなワンマン社長へおしゃれなオフィスデザインにGOをもらうには、ワンマン社長に有効な方法を使わなければなりません。
・社長のやり方や考えを尊重し、むしろ「一番優れている」とおだてる
「社長のやり方には到底及ばないが」と断りを入れた上で、「第三者から新しい方法論やアイデアを耳にした」など、他者から聞いた話として新たな方法論を紹介し、徐々に関心を持たせていきます。ポイントは、ワンマン社長を説得しようとしないことです。さらに、「私はこうすべきだと思う」といったアドバイスではなく、「このような情報を聞いた」という切り口での、あくまで情報提供というスタンスで伝え続け、耳を傾けさせる方法が有効です。
・イエスマンで周りが固まっている場合
周りがイエスマンですから、よもや自分の意見が間違えているなどと思ったことはありません。したがって、今のオフィスデザインが時代遅れだということなど、間違えても口にしてはいけません。この場合は、社長が尊敬している人、信用している人が社長を慕っているからこそ、社長をもっと世間に知らしめたいからこそ、おしゃれなオフィスのリノベーションを勧めているというスタンスでいきましょう。そして、ちょっとでも気持ちが傾いたら、みんなで神輿を担ぎ上げます。とにかく、おだてまくることが大切です。
・人の意見を聞かない、現場の状況を知ろうとしない場合
この場合は、日頃の状況を事細かにメールで伝えます。毎日夕方に決まった時間に状況をめーるするとよいでしょう。直接いうと角が立ったり、言いくるめられてしまうかもしれません。しかし、メールであれば目を通す可能性が高まりますし、証拠として残すこともできます。また、現在のデザインでどのような問題が勃発していて、デザインを改善することでその問題が解決するかもしれないと、権威のある人が言っていた、とメールの末尾にも書くと良いでしょう。
例えば、収納ができずにすぐに散らかってしまうオフィスにやってきた監査担当者が、「片付けてください」と言ったとすれば、その人に協力してもらって「壁面収納にすると広く使えて、見渡しが良くなる」とし、ついでに「照明を変えることでさらに広く見えて開放感にあふれ、整理整頓せざるをえなくなる、ひいては業務効率の向上が期待できる」と、雑談で話していたことも報告しておきます。とにかく、洗脳するように毎日コツコツと伝えることが重要です。意見がこちらに傾いたら、すかさず褒めまくり、神輿をみんなで担いでしまいましょう。
2.ケチな社長の場合
実は、成功している経営者の多くがケチだといいます。これは、経営者としては正しいスタンスです。会社の経費に無頓着であると、リスクヘッジをとることができません。お金に関しては、不必要なものには金を使わないくらいの方が、経営者としては安心なのです。
ケチな社長は、その面では社員からは不人気かもしれません。しかし、利益を生み出すには、売り上げを上げるか、コストを下げるかしかありません。コストを常に意識することによって会社の利益を上げることもできるのです。
実際の成功者は、ムダなことには一切お金を使いません。したがって、社長がケチだということが、むしろ喜ばしいことなのです。
しかし、何もかもにケチであると、せっかくの成功チャンスを逃すことにもつながります。経営者として成功するためには、以下のものに投資できる姿勢が必要です。
・自己投資になると判断したもの
成功する起業家にとって、本やセミナー、勉強会やビジネス仲間との交流会など、ビジネスに関する見識を広げるための自己投資は欠かせません。またブランディングのためには見た目も大切なので、こぎれいに見せるためのブランド品やスーツなどの被服費や、こまめに髪を切るなどの理美容費も必要最低限は使います。
ただし、なるべく安く済ませるためにネット通販やアウトレットモール、クーポンサイトを利用することもあります。自己投資にはお金を惜しまないものの、余分な出費は確実に抑えていくのが、成功者の特徴です。
・スタッフのためになると判断したもの
成功している経営者にとって、部下や仕事仲間、家族など、自分を支えてくれる人たちは、かけがえのない大切な存在です。そのため、こうした大切な人たちを喜ばせたり、労ったりするためにお金を使おうとします。
ケチな社長におしゃれなオフィスデザインへの理解を得ようと思うのなら、おしゃれなオフィスデザインがどのようにスタッフのためになるのかを提言することにつきます。
オフィスの環境が向上することで、スタッフにどのような影響があるのか、おしゃれなオフィスデザインに変えることでブランディングにどのような効果があるのかを説明します。
その際、決して「かっこよいから」「成功している会社に見えるから」など、見栄を張るような言動をしてはいけません。ケチな社長は、役に立たない見栄にお金を払うことを嫌います。役に立ち、明らかにこれから状況が向上する場合にお金を払うと決めているからです。
おしゃれなオフィスデザインで、スタッフがより楽しく快適に一生懸命仕事ができるのかを伝えることで、おしゃれオフィスデザインのリノベーションを前向きに考えるようになるでしょう。
3.超合理主義な社長の場合
合理主義の社長は、常に効率化を考えて行動します。賢い人が多いですが、人情や思いやりといった言葉は合理主義の人にはあまり見えてこないかもしれません。余計なことは一切しない、人の気持ちを考えずに効率と利益だけを求める冷血漢というイメージです。
仕事は一生懸命であり、何よりも自分の会社を大切にしています。お金を第一に考えているので、スタッフの環境には関心がないかもしれません。お金の使い方や、仕事自体に独自の哲学を持っており、すべてに効率化を取り入れた生活を実践しています。
無駄なことはしないという考えだったり、自分の考えに合わない人とは距離を置いたりしています。業界でも変わった社長、冷たい経営者と言われ、孤立している可能性があります。そんな超合理的社長に、おしゃれなオフィスへの理解をなど無理と思うかもしれません。しかし、超合理的社長の性格を押さえることで、理解してもらいやすくなります。超合理的社長は、プロセスよりも結果を重視します。過激な言い方をすれば「手段は選ばず実利を取る」とも言えます。最適を選択することにこだわるのです。
したがって、オフィスデザインを変更することでスタッフや業績の向上に最適であると思わせることが重要です。必要であると確定させることができれば、すぐにでも、しかも最高のオフィスデザインへと変更するように動き始めるでしょう。
また、超合理的な経営者は、必要なものを必要な分だけやろうとします。つまり、無駄なことが大嫌いなのです。やる必要がないと判断した仕事に対して「これはやる意味があるの?」と常に問いかけています。オフィスデザインに関しても、「どうしておしゃれである必要があるのか」「なぜそれが今なのか」を知ろうとします。そして、おしゃれなオフィスデザインが必要なのがどこの部分なのか、事細かに知ろうとします。
さらに、超合理的社長は常に最短主義でもあります。
無駄が嫌いで時間とお金をシビアに考えるので、掛かる時間は短ければ短いほど良いと考えているのです。仕事でも、仕事以外でも最短で結果を出すために計画を立て、実行し、なにかあれば柔軟に変更をする。PDCAサイクルを高速で回すことに長けています。直接仕事に関係ないオフィスデザインのリノベーションともなると、効果を出すためにリノベーションが最適で最短なのかで必要性をジャッジしてくるでしょう。
しかし超合理的社長は、おしゃれなオフィスデザインが最適で最短に結果が出るものと判断した時、お金のことをとやかくは言いません。おしゃれオフィスデザインで業績がアップすると考えた時、リノベーションにかかる経費をリスクとは考えないためです。
合理主義な人は、「必要な」リスクであれば進んで受け入れます。このリスクを取ったらリターンが大きい。そう考えたら即判断できます。金額が大きければより躊躇しそうな場面でも、感情ではなく理性の合理主義な人は機械的に判断を下すことができます。超合理的な社長に理解を求めるのであれば、いかに早く確実に結果を出すことができるのかを、感情的ではなく理論立てて説明することが大切です。
4.オフィスデザインのプロに依頼することに理解がない場合
タイプ別の社長に向けて、おしゃれなオフィスデザインの必要性をプレゼンし、やっとGOサインをもらえたとしても、今度はリノベーションをプロに依頼する壁が立ちはだかります。
特にケチな社長の場合、お金がかかることに難色を示すでしょう。プロに依頼することは、多かれ少なかれ経費がかかります。もしかすると、新たに家具を買い替えたり、壁紙や床の張替えが発生するかもしれません。
その度に、お伺いを立て、ご機嫌を損ねて振り出しに戻るということがあっては、せっかくの苦労も水の泡と化してしまいます。
オフィスデザインのプロに依頼することは、お金がかかるデメリットをうわまわるメリットがあります。例えば、「コスト削減をしながら業務効率も上げていきたい。」「社員のモチベーションアップになるような、おしゃれで機能的なデザインにしたい。」「セキュリティの強化をしたい。」「オフィスデザインに会社のコーポレートカラーを取り入れて、社内や来客者にもっとブランドイメージを高くアピールしたい。」などがある場合も、プロなら限られた予算と期間でイメージ通りに実現していくことが可能です。
反対に、デザインや設計、発注を自分たちでやろうとしても、出来上がった時にイメージと違うということにもなりかねず、結局中途半端にお金がかかったけれども効果が出なかったということになりかねません。
専門業者に提案、見積もり、不動産探し、発注、施工などを一括して依頼できると、時間や労力の削減だけでなく、かかるコストもわかりやすくなります。また、コンセプトを提示することで、プロ目線のアドバイスやアイデアが得られる上に、予算に応じた提案をしてもらえます。
プロは、たくさんの施工をして来ていますし、多くのオフィスデザインの施工実績があります。様々な悩みを解決して来ているので、課題の解決策を提示してくれるはずです。
そこで、プロのオフィスデザイン会社に依頼することを渋っている社長には、以下の説明をしてみましょう。
・プロに頼むことで余計な経費をかけずにすむ。
・最新のデザインや最新の技術を把握しており、最適なデザインを予算内で提示してくれる。
・コストをかけずに最高で最適で最短の結果を出すためには、プロの技術と知識が必要。
ワンマンであったり、ケチであったり、超合理的で冷たく、場合によっては優柔不断で頼りなく、かと思えば一歩間違えばパワハラとも捉えられる言動があったとしても、曲がりなりにも経営者として会社を回しており、スタッフの給料を支払うだけのお金を回しています。社長は社長なりの哲学があり、コストとリスクを考えているのです。
おしゃれなオフィスデザインで結果を出すためには、自分たちスタッフだけでなく、社長もモチベーションアップと生産性向上を目指し、共によりよいオフィスを作ろうとする歩み寄りが必要です。この話し合いこそが、コミュニケーションの第一歩になるのかもしれません。