おしゃれなオフィスには有能な人材が集まるとも言われ、オフィスをおしゃれにリノベーションする企業も増えているようです。そんな、おしゃれなオフィスデザインの要となるのが「オフィス家具」。オフィス家具の選び方ひとつで、おしゃれなスペースになるか野暮ったいものになってしまうのかが決まります。オフィスをおしゃれにする家具はどんなものなのでしょうか。今回は、オフィスの家具の選び方の考察です。
目次
- 1.オフィスの家具とはどのような種類があるのか?
- 2.オフィスの家具をおしゃれにしたいときにこだわるポイントとは?
- 3.オフィスの家具をおしゃれにしたいときに気をつけたいポイントとは?
- 4.おしゃれな家具を決めるとき、ベストな性別や年齢はあるのか?
- 5.素人とオフィスのプロが考えるおしゃれな家具に違いはあるのか?
- 6.おしゃれな家具選びもプロに任せるべきか?
- 7.おしゃれなオフィスの家具の事例集について
1.オフィスの家具とはどのような種類があるのか?
オフィス家具とは、いわゆるオフィス什器のことです。
家庭用家具とは違い、オフィスで機能するべき家具を指します。家庭用家具よりは機能性を重視する傾向にあり、企業の業務の内容に併せてのチョイスが必要です。では、オフィス家具をカテゴリに分けてどのようなものがあるのか見てみましょう。
執務用品
机や椅子などのことです。その他、デスクの下や横のワゴン、引き出しなどの付属品も含まれます。また、お客様の来訪に必要な応接セットも執務用品です。
収納用具
資料や備品を収納する棚や書庫、ラック、ロッカーなどのことをいいます。大きな金庫もお金を収納する収納家具です。
パーテーション
オフィスの会議室の設営や部署を区切るためのバーテーションです。プライバシーを守ったり、フリースペースト業務スペースを分けるなどに使い、インテリアのポイントにもなるものです。
カウンター
オフィスのエントランスに必要なカウンター。大きさは様々ですが、こちらもオフィス家具です。
ウォーターサーバーや冷蔵庫などの家電
スタッフの福利厚生にあたるフリースペースにある家電。こちらもオフィス家具です。最近では、キッチンやマッサージチェア、ルンバもオフィス家具としてカテゴライズされています。
これらの中でも、重要視されているのがデスクと収納家具です。これらはオフィスの業務に不可欠なもの。業務の内容に合わせた機能を持つものを選びましょう。
平机
両側に収納がついていないシンプルなデスクです。引き出しが付いているタイプとついていないタイプがあります。収納が欲しければサイドキャビネットを追加します。
片袖机
平机にキャビネットがついたものです。引き出しの収納が増えます。
両袖机
両サイドに引き出しが付いています。十分な収納スペースと、広々した机上が特徴です。
L字型/コーナーデスク
部屋のコーナーに置きます。パソコンを2台使う必要がある業務にも便利です。
フリーアドレスデスク
最近流行のフリーアドレス制の際に使用するデスク。レイアウトのアレンジが利く多目的デスクです。
ラック付きデスク
引き出しではなくラックがついているタイプ。バッグや本を置く、インテリアアイテムを飾るなど、幅広い使い方ができます。おしゃれなデザインのカタログや雑誌を置いても良さそうです。
パソコンデスク
パソコンを置く目的でつくられたデスク。キーボードテーブルやプリンターを置く台が付いています。台は収納できるものもあり、業務後はすっきりと収納する習慣がつくようです。
オフィスデスクの選び方はノートパソコンと書類が広げられるかが基準です。フリーアドレス制用のデスクも、スタッフの人数分のスペースを考慮する必要があるでしょう。
また、事務作業を行うデスクにはある程度の収納スペースが必要です。ペーパーレストはいえ、やはり引き出しが付いていた方が使い勝手は良くなります。フリーアドレス制の場合は、移動式のキャビネットがあると便利です。
高さ調整できるデスクもあります。これは、最近注目されているスタンディングスタイルでの作業に使うことができます。こちらもオフィスの規模やスタイルによってチョイスすると良いでしょう。
次に、収納家具をみてみましょう。オフィスで用いる収納は、デザインやサイズが統一されたものを組み合わせて使う、システムキャビネットが一般的です。しかし最近では、いわゆるオフィス什器然としたものではなく、家庭用収納家具を使うパターンも増えています。その場合も、やはり機能性とサイズを考慮したチョイスが必要です。
システムキャビネットの種類は、扉の種類によります。扉がオープン型、両開き型、両開きガラス扉、引き違い型などです。
組み合わせて使うので、どのタイプをどう組み合わせて使うのかも考慮します。
重たいものは下に置き、比較的軽いものを上に置くのが一般的ですが、その場合、ファイル関連が上に置かれる場合が多く、書類の性質上鍵が必要な場合もあるでしょう。
また、開き扉は一度に多くの中身を見ることができますが、狭いスペースでは使いづらいというデメリットがあります。スモールオフィスでは引き違いタイプが使いやすいようです。
オフィス収納家具の選び方は、A4の書類が入るかどうかがポイントとなります。家庭用の家具はA4の大きさに合わせていないものも多く、おしゃれな家具を選んだけれど書類が微妙に入らないということがないように選びましょう。
オフィスの家具をおしゃれにしたいときにこだわるポイントとは?
家具がおしゃれならおしゃれなオフィスになるかと言えば、そうは問屋が卸しません。どんなにおしゃれな家具を選んでも、オフィスにそぐわなければ野暮ったいものになってしまいます。おしゃれなオフィスにするにはどうしたらよいかを考えてみましょう。
・広く見せるには目線より低い家具を
小規模オフィスにありがちなことですが、下見の段階ではそこそこ広いと感じられた間取りが、家具を置いてみると狭苦しくなってしまったということがあります。これは、オフィスの面積に比べて家具が見た目に大きかったことによります。
人は、部屋に入った時に正面、または対角線上に目がいきます。そこに背の高い家具があった場合、圧迫感を感じ狭く感じてしまうのです。部屋の間取りが狭い、できるだけ広くフラットに見せたいのであれば、家具は目線より低いものを選びましょう。
目の前に空間が広がることで、敷地面積よりも広く見え、働きやすいオフィスとなります。
・モノトーンがかっこよい時代は終わり?
昭和の頃のバブリーな世代にありがちなのが「モノトーンはかっこいい」という意識。黒と白で統一性をもたせることで、クールでかっこよくスマートなオフィスを目指すようです。
しかし、昨今のおしゃれなオフィスの傾向は「リラックス&フリー」。カフェ風やホテル風など、オフィスらしくないリラックス出来るオフィスがおしゃれとなっています。実は、モノトーンは緊張感を生み出す配色。モノトーンで囲まれた空間は、緊張感が漂いリラックスとは程遠い空間となってしまいます。
統一性はもちろん大切ですが、モノトーンで全室固めてしまうのは快適とは言い難いオフィスになってしまいます。温かみがありリラックスできる空間を演出する家具を選ぶことが、最近のおしゃれなオフィスのセオリーです。
・凝ったデザインの家具は一点にしぼって
デザイン性の高い家具は、それだけで大きな存在感を放ち主張が強いものです。この個性の強さは空間の雰囲気を上げるかもしれませんが、あまり強すぎるとインテリアと調和しない問題が出てくるかもしれません。
あまりに強いものばかり集めてしまうと落ち着きがなくなるばかりか、企業のコンセプトもぶれてしまいます。スタッフのモチベーションも下がってしまいますし、ブランディング効果も半減してしまうでしょう。個性の強い家具は、オフィスのコンセプトや雰囲気、ブランドと合っているのかをよく検討し、取り入れても一点に絞り、その企業のブランドを象徴できるものにするとよいでしょう。
家具も大切ですが、その家具の下で配線が絡まっていては足元が危険な上に埃が溜まりやすくなります。見た目も悪く、ごちゃごちゃした印象になってしまいます。そこで、家具のテイストに合わせた配線ボックスが便利です。大きめの配線ボックスの上に観葉植物を置くなどすると、インテリアの一部として機能します。
自由度の高い家具を選ぶ
企業の事業はこの先ずっと同じとは限りません。スタッフの人数も、ブランドも変わることがあります。この先の変化を考えるなら、オフィス家具は自由度の高いものを選ぶようにしましょう。例えば、デスクはフリーアドレスにする、組み合わせ家具にする、引き出しはキャスター付きのものにするなどです。
おしゃれな家具は特殊なデザインであったり、用途が限定されていたりするものも少なくありません。そこがおしゃれであるのですが、オフィスに用途が限定されたものばかり増えてしまうと、この先インテリアの変化に対応できなくなってしまいます。
おしゃれなオフィスにはおしゃれな家具を選ぶことがポイントです。しかし、オフィスで使うインテリアは、やはり仕事で使うものですから機能性を重視したほうが長く快適に使うことができます。使い勝手がよい家具は、快適なオフィスにつながります。ひいてはスタッフのモチベーションアップとなり、オフィス家具が仕事によい影響を与えることになるでしょう。
次に、おしゃれなオフィス家具を選ぶ上での注意点のポイントを詳しく見ていきましょう。
オフィスの家具をおしゃれにしたいときに気をつけたいポイントとは?
おしゃれなオフィス家具を選ぶときに気をつけることは、デザインだけではなく機能性も確認することです。オフィス家具別にポイントを押さえていきましょう。
デスク選びで重要なことはサイズと収納です。一般的に、パソコンを使うのであれば幅120~140cm奥行は60~80cmが主流です。デザイナーやプログラマーなど、パソコンのモニターを2つ以上使うような部署であれば、70cmもしくはそれ以上のサイズがおすすめです。L時型のデスクも良いでしょう。
収納を考えるのであれば、サイドの引き出しが必要です。大概のものはデータになっているとはいえ、文房具や書類、場合によってはカメラやバッテリーなど、そばに置いておきたいものは案外と多いものです。使い勝手の良いデスクには、やはり引き出しが必要となってきます。フリーアドレス制であればキャスター付きのチェストが良いでしょう。
椅子のチョイスもスタッフの健康維持に重要です。
おしゃれ感を重視して選ぶと、目に優しくない色、腰によくない形状になってしまうかもしれません。腰の部分に負担のない、足を圧迫しないような椅子を選ぶと良いでしょう。また、長い間座っている作業が多いオフィスなら、座面の放射性も重要なポイントです。ちょっとした休憩をするときには、背中を守るしっかりした背もたれが必要かもしれません。
最近は、機能もデザインも兼ね備えたデスクや椅子が多くあります。業務内容に応じて、スタッフが快適に仕事ができる椅子を選びましょう。
収納家具は、収納と機能、加えてオフィスの広さを考慮して選びます。大きめな家具なので、オフィスの雰囲気の要となるものです。オフィスが狭目なら低めのものを、ある程度高さがあって良いものでもあまり大きすぎないものが長く使え、自由度もあります。
カフェ風のオフィスが流行しているため、北欧調の家具やアンティーク風の家具が人気です。こういった家庭向けの家具を選ぶ場合でも、オフィスで機能するかどうかも忘れてはいけません。
基準としては、A4サイズの書類が収納できるのかがポイントとなります。A4サイズのファイルを立てて収納できるのか、奥行きは深すぎないか、引き戸にするのか開き扉にするのか、オフィスの広さと機能性を加味して選ぶことが重要です。
ゾーニングだけじゃないパーテーション
パーテーションは、オフィス内のスペースを分けるためのものだけではありません。動線の変更、防音、セキュリティやプライバシーの強化など様々な機能があります。
パーテーションも、やはりデザインのポイントとなるものです。おしゃれなものを選びたいところですが、オフィスで使うのなら前述の機能が必要となってきます。
パーテーションの高さは、座って仕事をする際の目線と同じ高さになる112~132cmのタイプ、立ったときの目線と同じ高さになる152~172cmのタイプ、立った状態でも顔まで隠れる高さの192~215cmのタイプの大きく3つに分類されます。
これらを組み合わせてオフィスを区切るのですが、いわゆる壁の働きをするものですから、やはり統一性をもたせた方が良いでしょう。おしゃれなものを選ぶのなら、単なるボードではなく木製、ラタン製、布など、雰囲気に合わせると統一感が出ます。
また、広さを感じさせたいのであれば、低めの高さで白っぽい色にすると良いでしょう。家具ではなく、観葉植物をパーテーション代わりにする方法もあります。フラットなオフィスづくりにおすすめの方法です。
オフィス家具はレンタル?購入?それどれのメリット
オフィス家具を揃えるとき、レンタルと購入の二つの方法があります。購入の場合では、新品か中古かも選択肢になります。
購入のメリットは、自分たちで使い倒せることです。手を加えることもできます。注文してオリジナルを作ることもできるでしょう。初期費用がかかりますが、中古で購入する方法もあります。電気製品や収納家具などは中古で揃えやすいものです。
デスクや椅子は、やはり業務の主役になるものですから、できれば機能性を考え新しいものを揃えたいところです。アンティークなもの、デザイン制の高いものなどフリースペースや応接間に使うのであれば、中古を探してみるのも面白いでしょう。
一方、レンタル入手は、初期費用が安く済むというメリットがあります。しかし、長い間レンタルしていると、新品で購入するよりも高くなってしまう結果になります。リース終了後には買い取れる契約もあるので、どのくらい利用するのかを考えて契約すると良いでしょう。
一般的に、5年以上利用予定があるものは購入がおすすめです。居抜き物件には、家具がそのまま残されているものもあります。カフェやスタジオをそのままオフィスにすることもできますので、家具付きの物件を探してみるのも方法です。
オフィスのインテリアを選ぶうえでは、見た目の良さも大切ですが、機能性が確保されているかが重要なポイントとなります。使い勝手は良さそうか、レイアウト変更にも対応できるか、オフィスのコンセプトに合致しているかなど、しっかりと考慮し、その上でレンタルにするか購入にするか、中古を利用するかを考えていきましょう。
おしゃれな家具を決めるとき、ベストな性別や年齢はあるのか?
一口におしゃれといっても、人の価値観はそれぞれです。バブリーな90年代を過ごした人にとってはモノトーンで無機質な空間がおしゃれだと感じたり、2000年代に学生時代を過ごした人にとってはカフェ風がおしゃれと感じたりします。また、IT系などのベンチャー企業は、海外のオフィスデザインを参考にする傾向にあり、Googleやappleなどの冒険的なオフィスデザインに惹かれる場合もあります。
いずれにも共通していることは、おしゃれであることは生活感を消すことです。生活感を消すことで、日常生活と業務との切り替えができ、メリハリが生まれます。スタッフのモチベーションが上がる要素にもなるでしょう。
もちろん、生活感を消すといっても突飛なオフィス家具を配置する必要はありません。個性が強すぎると統一性がなくなり、集中力が途絶えがちになってしまいます。
例えば、食事や休憩をするフリースペースはリラックス効果を重視したレイアウトやデザインにする、反対に業務スペースは業務と関係のない生活感のあるものがおかないなどの配慮をすることです。メリハリをつけることで、おしゃれでありつつ仕事が進む空間となることでしょう。
では、おしゃれなオフィスのためのおしゃれな家具を選ぶときに、適切な年代や性別はあるのでしょうか。
結論から言うと、オフィスのコンセプトやターゲットと同じ年代と性別の人物の意見を取り入れることが重要です。
おしゃれなオフィス家具を職場に取り入れる際は、個人の独断で行うのではなく職場の人間みんなの意見を取り入れることが基本です。しかし、そうなると発言権のある管理職層の意見が通りがちとなり、それこそモノトーンや機能重視の殺風景で無機質なものになってしまうかもしれません。
これでは、他のスタッフにとっては好ましいものでなくなってしまい、職場の空気も良くないものになるでしょう。一番ブランディングしたい年齢や性別のターゲットが好ましいと思うデザインにならなければ、ブランディング効果も半減です。
やはり、ターゲット層と同じ年代と性別のスタッフに意見を取り入れるのが、企業コンセプトに沿ったおしゃれなオフィスデザイン、家具選びに重要であると言えます。
また、男女の比率でおしゃれと思うポイントは違ってきます。男性が多ければ男性向けに、女性が多ければ女性向けのデザインに傾きます。しかし、ここでも少数派の意見を聞き入れ、スタッフ全員が快適と思える家具のチョイスが必要です。
例えば呉服業界はターゲットの多くは女性ですが、スタッフは男性が多く、管理職の多くも男性です。故に、オフィスのデザインも男性が考える伝統的でおしゃれなものになる傾向にあり、女性から見ると「敷居が高い」「冷たい」「くつろげない」ものになってしまいます。
筆者の経験ですが、新オフィスを作るときに若い女性スタッフの意見を取り入れたレイアウト、家具の選定を行ったところ、振袖レンタルの若い女性の在室時間が増えたと言います。
これまで狭くて使い勝手が悪かった事務スペースも、女性目線でデスクやキッチン周りなどのオフィス家具を取り入れたことにより、スムーズにお客様へのお茶出し、スピーディーな着物での事務作業が可能になりました。
やはり、ターゲット層のスタッフが一番現場やブランドやコンセプトを届けたいターゲットの視点で意見を出すことが可能なのです。
また、ターゲット層が男性だとしても女性の意見は重要となります。男性の場合、どうしても自分たちがどう見えるかなど自分中心な視点となりがちです。しかし、女性の場合は共感や共有を重要視してものを考えるため、外部から見て快適か信頼性があるかブランドの向上になるかなどの視点を持つことができます。
したがって、女性の意見を取り入れることで、客観的に企業のコンセプトや雰囲気を見ることができ、オフィス家具もおしゃれで且つ機能性を持つものを的確に選ぶことが可能となるのです。さらに、女性はなにをすれば自分のモチベーションが上がるのかを知っています。女性は、今や企業の大きな戦力です。女性のモチベーションを上げ、仕事がしやすくコミュニケーションが取れることは、オフィスの絶対条件となっています。
人がどんな環境であればリラックスができるのかも良く知っています。そのための家具選びも的を得ているでしょう。
外にブランドを発信したい、オフィスデザインで差別化をしたいと考えているのなら、その企業のコンセプト、ターゲット層と同じ年代と性別のスタッフ、企業全体のモチベーションを上げコミュニケーションの向上を狙ったオフィスデザインなら女性スタッフの意見が重要となります。どんなオフィスにしたいのかを考えて、スタッフも家具も選定しましょう。
素人とオフィスのプロが考えるおしゃれな家具に違いはあるのか?
オフィスのリノベーションや立ち上げは、できるだけ予算を抑えたいもの。スタッフだけでどうにかしようとするのも無理はありません。しかし、スタッフだけで話し合うと意見がまとまらなかったり、声が大きい人の意見だけが走ってしまったり、結局普通のオフィス家具を集めてしまったということになりがちです。
なぜ素人だけでは普通のオフィス家具が集まり、普通のオフィスデザインになってしまうのでしょうか。それは、プロが持っている視点と経験がないことが挙げられます。サイトやパンフレットに見られるかっこいいオフィス家具を集めておしゃれなオフィスデザインにすることは、思いの外大変なことなのです。プロならではの視点を見てみましょう。
コンセプトを作る
プロのオフィスデザイナーは、まずはどういったオフィスにしたいかをヒアリングしてから、オフィスのコンセプトを作ります。スタッフの意見、経営者の意見、お客様からの視点、印象をヒアリングし、意見とデザインの統一性が持てるようにコンセプトを作っていくのです。
例えば、マイクロソフトが新オフィスに移転するときのコンセプトは、「お客様との“つながり”」「最先端のテクノロジー」「働きやすさと快適さ」という3つだったといいます。
また、渋谷のヒカリエにLINEが入居するときに決めたコンセプトは「アナログな遊び心」というものでした。
このように、統一したコンセプトがあれば、家具選びや、カラー、デザインで迷ったとしても方向性を定めているので立ち戻って考えることができます。 コンセプトから離れなければ、統一性があるオフィスになります。家具の選び方も、コンセプトに沿っていくのでテイストがバラバラになることがありません。
しかし、コンセプトがないと「かっこよかった」「おしゃれだった」「目立ちそう」というだけで集めてしまい、機能性も導線も使い勝手が悪く、普通の雑多なオフィス空間になってしまうのです。
また、オフィスデザインを安く済むからということで内装屋さんに任せてしまうケースもあります。内装会社にデザイナーが在中していれば良いのですが、そうでない場合は営業担当がデザインすることもあるそうです。そうなってしまうと、経験があるとはいえ、やはりどこかで見たような、当たり障りのないデザインになってしまいます。失敗は許されないため、冒険ができないのです。
では次に、プロのデザイナーの視点を見てみましょう。
おしゃれのポイントは抜け感
例えばクラシカルなホテルのような内装にしようと重厚な家具ばかりを集めても、重々しくて暗い雰囲気になってしまいます。仕事をするには圧迫感がありすぎ、リラックスすることもできないでしょう。
プロのデザイナーなら、オフィスデザインにクラシカルな要素を入れる場合、中間色でまとめます。導線上には白などの明るい色を取り入れ伸びやかな印象を作り、家具は重厚すぎず、モダンなデザインのものを選びます。
クラシカルな部分は、絵画や応接セット、間接照明などポイントに配置。大切にするのは、スタッフが快適に働ける空間です。クラシカルなものはポイントに絞り、余裕が感じられるクラシカルでモダンな空間となるような家具のチョイスをするでしょう。
差し色の分量を的確に
ポップな印象にしたいとポップで多色使いの家具を集めては、オフィスは雑多で疲れる空間となってしまいます。明るいイメージにしたいと、オフィスのカラーで統一したとしても、分量が適切でなければ目に疲れる配色となってしまい、仕事に集中することができません。
プロが色を主体にした家具を選ぶのなら、ベースの中間色を決めて、そこにポイントとなる色を配分していきます。統一性が保たれるポイントカラーは、3色までで、そのうち2色は補色の役割です。ベース、ポイントカラー、補色をベストな配分を考え、そこから家具を選んでいきます。
オフィスには、観葉植物を置く場合もあり、それは快適な空間に良い効果があると言われています。この観葉植物の緑も、立派な補色です。グリーンは何にでも合うカラーではありますが、観葉植物を入れた場合のカラー配分も考慮してレイアウトを考え家具を選んでいきます。
プロのカラー配分は、人が快適に過ごせるベストな状態へと促します。したがって、プロが選ぶ家具がどれだけカラフルだとしても、その空間にシックリときて、なぜか統一感が生まれるのです。
収納家具は導線を考える
オフィスをカフェ風にしようとスタッフみんなで集めた家具。しかし、収納は思いの外ないし、使いづらいし、重たくて移動できないし、などと、素人だけで集めるとこういうことになりがちです。
収納家具は、デスクの次にオフィスの要となるもの。機能性、収納力を考慮してから購入しないと、狭くて使いづらく動きにくいオフィス空間になってしまいます。
プロの収納家具の選び方は、まず業種やスタッフの人数、資料の量、残すべき書類の種類や量を細かくヒアリングし、そこから将来必要になる収納面積を考えていきます。
同時に、オフィスの面積とデスクのレイアウト、会議室や応接室のレイアウトを考慮し、どこにどんな収納家具が必要なのかを考えます。
導線の確保は、快適で効率の良いオフィスに絶対条件です。したがって、導線を考えながら家具をチョイスしていくのです。
導線を考えると、家具の高さや奥行き、扉の種類、引き出しの有無、コンセント付き、照明付き、キャスターの有無など、細かい条件が浮かび上がります。ただ雑多な中から家具を選ぶのではなく、細かい検索項目が生まれるので、ポイントを絞った家具選びが可能です。
不特定多数の中から、なんとなくおしゃれな雰囲気で家具を選んでいては、統一感がない上に使いづらい、動きにくいオフィスレイアウトになってしまいます。オフィスデザインのプロは、現在の状態から将来の姿までをこれまでの経験や知識から算出して家具を選びます。
プロは、これら知識と経験を持っているが故に、同じような家具を選んだとしても、配置や収納量、自由度の高さに差が出てくるのです。
おしゃれな家具選びもプロに任せるべきか?
このように、使い勝手がよく、さらに業務効率を妨げないオフィス家具は、ゾーニングや動線、コミュニケーションのとりやすさなどさまざまな要素が含まれています。これらを見抜き選択できるのがプロです。
プロは、家具だけに目を向けているのではありません。その企業のスタッフの動き、コミュニケーションの必要性、年齢層や性別、業務から生まれる資料や書類の量、客層、ターゲット、ブランドなど、多角的な視点を持ってオフィス家具を選んでいくのです。
また、ロッカーや傘立て、シューズボックス、ソファ、家電、掃除機、空調機、洗面台、キッチンなど、オフィスで必要な家具は業務用什器だけではありません。オープンしてみたら不足しているものが現れ、その度に買い足していくと、レイアウトや導線は崩れ、機能性もデザインも統一性が保てなくなってしまいます。
プロに依頼するメリットは、これら機能的な課題の解決の他に「ブランディング効果のあるオフィス」「コミュニケーション効果のあるレイアウト」「狭いオフィスでも快適に過ごすことができる収納」「社員のモチベーションがアップするデザイン」などの要望や課題をヒアリングし解決策を提案してくれることです。
プロのオフィスデザイン会社は、課題や要望を解決するレイアウト、そこに配置するべきオフィス家具を的確に提案してくれます。
ただ見た目だけで家具を選ぶのではなく、機能性、ブランド効果までしっかりと意識して選ぶことで、快適で使いやすい、且つおしゃれで有能な人材が集まるオフィスデザインと、その空間を演出するオフィス家具を選ぶことができるでしょう。
おしゃれなオフィスの家具の事例集について
では実際におしゃれなオフィス家具と、オフィス家具が配置されたインテリア事例をみてみましょう。
デスク編
まずはデスク編です。日本製よりも海外製品の方がおしゃれなアイテムが多い印象。中でもヨーロッパは洗練されたアイテムが多い印象です。日本も、これからこういった製品が増えてくるのかもしれません。
出典:出典:http://www.andreuworld.com/product/Uves?sw=&typ=10
出典:http://www.arper.com/ja/content/blogcategory/mid/24/id/36/slide/3273
出典:http://www.lapalma.it/main/product.aspx?p=49
出典:http://www.fritzhansen.com/jp/pk71-nest-of-3-small-tables
オフィスチェア編
定番のアーロンチェアやコンテッサをはじめ、かっこよくておしゃれなオフィスといってもさまざまなアプローチができそうです。インテリア全体の調和を考えつつ、悩ましくも楽しい選択肢ばかりです。居心地のいいこだわりを持つインテリアでまとめられたオフィスなら、仕事もはかどりそうですね。
アーロンチェア
出典:http://sasa-z.com/deskchair-2-123
コンテッサ
出典:http://asaoka2525.ocnk.net/product/116
デューク
出典:
出典:http://www.7-wood.com/ss_list02.html
aeris
出典:http://www.aeris.de/en/oyo/
アガタA
出典:http://www.kokuyo-furniture.co.jp/products/office/agata/
Punto
出典:http://www.chair-kingdom.com/fs/isuoukoku/special09/punto_04/
エルゴヒューマン
出典:http://item.rakuten.co.jp/of9/ehp-lpl/?scid=af_pc_link_txt&sc2id=304437184
次に、実際におしゃれな家具を配置したオフィスを集めてみました。
「おしゃれ」「かっこいい」「こんなところで働いてみたい!」思わずそう叫んでしまいそうなインテリアを持つオフィスの具体例をです。海外はもちろん、日本のオフィスも、急速に洗練されていっているのが分かります。
ワンフロアに詰め込めるだけデスクを並べて、仕事をしてきた身には別世界の光景としか思えないほどです。やはり、おしゃれで洗練されたオフィスデザイン事例の鉄板は、Google、microsoftが挙がりますね。
Cockpad
出典:http://blog.kushii.net/archives/1350951.html
NHN Japan
出典:http://blog.kushii.net/archives/1281700.html
出典:http://www.fubiz.net/2010/01/04/facebook-office/
出典:http://one-project.biz/2013/02/12/google-office-in-tel-aviv.html
出典:http://www.home-designing.com/2012/07/twitters-new-headquarters-in-san-francisco
Evernote
出典:http://retaildesignblog.net/2013/07/23/evernote-office-by-oa-redwood-city-california/
ミクシィ
出典:http://www.mdn.co.jp/di/articles/2412/
明日香出版社
出典:http://work-design.co.jp/showcase/detail.php?c_no=228
YouTube
マイクロソフトオフィス – ナッシュビル
出典:https://officesnapshots.com/2017/08/14/microsoft-offices-nashville/
オフィスデザインを決めるとき、どうしても見た目を優先してしまい、おしゃれな家具ばかりを集めてしまいそうになります。しかし、それでは機能性やスタッフの働きやすさ、快適さの課題を解決することはできません。
おしゃれなオフィス家具を選ぶのなら、企業のブランド、コンセプト、ビジョンを把握し多角的な視点を持つことが成功の秘訣と言えるでしょう。