変化する働き方に対応したオフィスデザインをつくらないと…

24 JUL 2015

1. はじめに

15年後には独立した仕事請負人、「インディペンデントコントラクター(IC)」が増えると言われています。
こうした新しい働き方が生まれた経緯やICの実態、今後の行方などを追ってみましょう。

2.「 会社に雇用されず、自らも雇用せず働く」人々

ICの多くは高度な専門知識を武器に独立(インディペンデント)し、複数の企業と契約(コントラクト)して働くプロフェッショナルです。実質的に個人単位で自らの価値基準で意思決定し、企業の垣根を超えて、自分を必要とする企業や団体、クライアントなどと顧問契約やコンサルティング契約、専門的業務請負などの仕事をします。

インディペンデントコントラクター協会では、その働き方を「雇われない、雇わない働き方」としています。企業に雇われるのではなく、ベンチャー企業家のように自ら会社をつくって人を雇って事業を展開するというものでもないのです。
一般的なパートタイマーや派遣社員と異なるのは、高度な専門性を持ち、請け負ったプロジェクトに対する業務推進能力を持ち、同時に複数の企業と恵沢ができることです。

近年、企業は本業以外の仕事を積極的にICなど外部の組織や個人にアウトソーシングするようになっています。これによって企業は必要なときに必要な仕事を発注することができ、固定費を抑えた事業運営ができるようになりました。また、企業内にはない情報やノウハウを得られるメリットもあります。

複数の企業と契約するICはその経験を活かした専門的かつ拾い視野で課題を捉えることができるので、新たな発想や仕組みを取り入れるときに役立ちます。しかも、提供される品質レベルや機密の保持は契約に寄って保証されるので、ある意味では社員に求めるよりも確実性が高いのです。

このように、企業がICを活用するメリットが多く、その実態も増えているので、ICの数は確実に増加し続け、米国ではICは1,000万人を超えており、日本でも推計10~30万人がいると言われています。

3. ICTの目覚ましい進展がIC台頭のきっかけに

ICが台頭した背景には、近年のインターネットをはじめとする情報通信の目覚ましい進展があります。オフィスワーカーの活動を社内につなぎとめていた固定的な情報機器から、多機能なモバイルフォン、クラウド上にある情報にいつでもアクセスできる携帯用PCやタブレット端末が安価で提供されたことで、オフィスワーカーはデスクから解放されました。

現在、企業も個人もソーシャルネットワークサービスを使って、自由にメールやグループウェア、テレビ会議を利用することができます。こうした情報環境を使えば、自宅や出張先、移動中でも簡単に情報にアクセスすることが可能であり、必要な情報を共有しながら、オフィスに居るのと殆ど変わらない仕事ができてしまいます。これは同時並行的に仕事をするICにとって非常に良い環境です。
いつでもどこでも社外からアクセスしてクライアント企業とコミュニケーションをとることができ、インターネット上に情報を自由に送受信できる環境を持つことができます。
時間を有効にした働き方が可能になったことが、ICの増加に拍車をかけています。

4. どんな人達がICになるのか。その実態は?

ICの多くは、以前在籍していた季魚との契約を足がかりにしており、前職での仕事が独立後のベースに成ることが多いです。いかに専門知識があっても、企業とトラブルを起こした結果、脱サラしたのではその道が閉ざされてしまいます。円満退社し、仲間と仕事の流儀を共有し、信頼関係を持ち続けることが成功の秘訣なのです。
ICは契約業務を期限内に、定められたクオリティの仕事を定められた報酬で遂行し、クライアントに成果を提供します。それさえ守れば、会社に縛られずに自分の得意とする仕事を選び、働く場所と時間も自由に決めることができます。

一方で、企業内のサラリーマンより厳しい面もあります。未熟さや経験不足による失敗は許されず、一人で仕事をする孤独感や情報枯渇感に悩まされる人もいます。ボーナスや退職金もなく、個人事業なので病気にもなれず、健康管理が極めて重要になります。
また、自分自身が「商品」であり、「信用」が最も重要な事業資源なので、厳格な秘密保持を保ちつつ、知的財産権を守り、実績を公開できる権利も持たなければなりません。そのため、クライアントとの契約には大変な労力がいります。こうした環境に耐える能力と体力、棋力を持ち、自らの充実感や達成感を味わって仕事を楽しみことができる才能がICの条件となります。

5. 企業内でも同様の働き方が求めらる時代へ

日本の非正規労働者の割合は全体の3割、女性では5割を超えています。終身雇用を前提とした労務管理はずでに崩壊していると言っていいでしょう。
きっかけとなったのは、1995年に日経連が発表した「新時代の『日本的経営』」です。この中で労働者を「長期蓄積能力活用型」「高度専門能力活用型」「雇用柔軟型」という3つのグループに分けました。戦後の「終身雇用」「年功序列」といった日本的な雇用慣行を排除し、労働力の「弾力化」「流動化」を強調し、総人件費の縮減を進めました。
この結果、企業では成果主義賃金制度が広がり、大量解雇が行われ、契約社員・派遣社員という非正規雇用が常態化しました。労働者派遣法の1999年の改正で一部の業務を除いて原則派遣が自由化され、2004年の改正では製造業も解禁されました。

成果主義の導入は経営の効率化を追求するものであり、管理職や総合職の社員以外は外部委託や派遣社員で置き換えられるという、企業にとって都合の良い仕組みになりました。企業内の成果主義が個人の評価に直結するため、競争原理が働き経営効率も高まると感がれられたのです。

一方で、社員同士の競争が激化し、仲間意識が失われるという弊害も出ました。企業への帰属意識も薄れ、専門的な技能を持った優秀な社員が竜集してしまったのです。中間管理職も出世欲と組織の軋轢や将来のポスト不足に対する不安に悩まされています。年齢的に転職が厳しい中で突破口として台頭したのがICであり、今後も増加していくものと思われます。

6. 社内ICやIC同士のバーチャル組織も誕生

企業にとってもICの活用はメリットがあります。近年のように変動の激しい事業環境で企業が生き延びるには、イレギュラーな仕事や新事業にも積極的に挑戦していかなければなりません。従来のような固定的な業務分掌に頼った組織図通りの運営では成り立たなくなっているのが実情です。
従来の枠を超えたスキルや知識を社外のICに求める場面は増えており、組織横断的なプロジェクトや社外の人材を巻き込んだワークショップが盛んにおこなわれています。このような企業組織の流動化と外部の活用は今後も進むでしょう。一方で、優秀な人材を社内に留める手段として、企業内のIC化も進むものと考えられます。

企業内において自らの才能を発揮し社内プロとして生きる社員や、自分自身の意志と責任のもとに企業と契約して仕事をする専門的な技能を持った契約社員も増えています。
彼らはIC予備軍であり、企業内で経験を積みネットワークを構築した人が独立しICとして活躍する時代がやってきます。今後はこうしたIC同士が互いにネットワークをつくり、連合を組んでプロジェクトごとに緩い組織を編成するといったバーチャルな組織も出現するでしょう。
知識創造のベースとなり、経営資源と成る、そのようなオフィス空間をどれだけ用意できるかが、事業の明暗を分けると言っても過言ではありません。