15年後、「オフィス空間の主役」は誰?

15年後にわたしたちはどんな働き方をしているのでしょうか。予測しオフィスづくりに役立てようと思います。

17 JUL 2015
打ち合わせをする男女

1. はじめに

一般的な働き方が、ここ数年で急激に変化してきました。
この動きは今後もしばらく続くはずで、
いままで常識とされていたとか、いいとされていた考えから自分の頭を更新してあげないと、
クライアントに本当に喜んでもらえるものが作れなくなりそうです。
ということで、記事を何回か分使って15年後のオフィスの在り方を考えようと思います。
その一回目、いってみましょう。

わたしたちの働き方の急激な変化の原因は、ICTの進化です。
そして働くことの意義が生きることから貢献することへと変化しようとしている現代。

これから伸びてくるであろう問題解決型のビジネスには、多岐にわたる情報収集と社内他部署との連携が必要になります。
そのためには社内のみならず、社外の専門家や異業種企業、ユーザーとの連携も重要になってくるはず。
インターネットやSNSからの情報収集はもちろんのこと、人間そのものに蓄積された情報を引き出すためには顔を突き合わせてのコミュニケーションが欠かせません。
こうした中で、これから先は「個」の価値をクローズアップした働き方が主流になるだろうと予測されています。

これからのオフィス
「個」を受け入れられる度量のあるオフィスが主流になる気がします

そうした働き方を見据える中で、オフィスデザインとしてできることってなんでしょうか。
優れた能力をもつ社外の「個」を惹きつけ、社内の優秀な人材の流出を防ぐ意味でも、リアルな「場」をいかに心地よく快適に設えられるか。
そんな人の集まる場としての評価が大きなウェイトを占めるようになってくるはずです。

わたしたちが作る場を使う人に喜んでいただくためにも、その対象を知っておきたいものです。
ということで、今回は15年後、「オフィスの主役」は誰かを考えてみようと思います。

2. もくじ

  1. はじめに
  2. もくじ
  3. 出社するのは週に2~3回という働き方
  4. 生涯現役で働く環境
  5. ソーシャル系が新しい働き方を招く
  6. 縛られたくないデジタルネイティブ世代
  7. 女性が働くのは当たり前に

3. 出社するのは週に2~3回という働き方

ICT技術の進化で在宅勤務やサテライトオフィスなどが進めやすくなり、都心のオフィスに毎日出射する必要性は減ってきています。
特に内勤の職種はセキュリティ技術が進めば在宅あるいはサテライトオフィスで働くことが充分に可能になります。

現在でもすでに秘書や総務、営業事務などをアウトソーシングしている企業もあり、「アウトソーシング先は海外」なんてケースもあります。
海外の秘書がスケジュールの調整やアポイントメントを取り、必要に応じてインターネット電話でミーティングをおこなっているクラウドソージングの事例も出現しています。

秘書業務の代行サービス
秘書業務の代行サービスなども生まれています

日本では会社にいる時間で給与を計算するなど、ワーカーを時間で縛る管理志向が強いが、グローバル化や知的生産性が重視される中でこうした管理システムも変更されていくと予想されます。

一方、日本人の組織への帰属意識や顔を突き合わせてのコミュニケーションを重視する文化は残り、「集まる場」としてのオフィスは残るだろうと思われます。
デジタル機器を自在に使いこなし、バーチャルな相手とコミュニケーションをとるデジタルネイティブ世代でさえ、オフラインミーティングなどのリアルな場のニーズは高いです。
直接顔を合わせる機会を持つことで、個別作業が効率的に進むという効果もあります。
週に何度かオフィスに通うというスタイルはなくならないと予測されます。
画面越しでは拍手はできても握手はできない。
まだまだリアルなコミュニケーションは必要とされています。

4. 生涯現役で働く環境

15年後には団塊の世代が75歳を超え、高齢化率は31.6%み達すると推計されています。
労働力を確保するためにシニア世代の能力や人脈を積極的に活用する企業が増え、実質的に定年制度が無くなる可能性もありうるのです。

社会参加に意欲的な団塊の世代がその道を切り開く可能性は高いはず。
ICTを使いこなしながら、在宅勤務やサテライトオフィスなどを利用して、「生涯現役」で働くシニア世代が増える可能性は十分に考えられます。
こうした働き方を志向するアクティブシニアは「いつまで、どのような形で仕事を続けるか、続けたいか」という明確なビジョンを持ち、在宅ネットワークや自営へきりかえるためのスキルやネットワークを築いていくと予想されています。

5. ソーシャル系が新しい働き方を招く

15年後の中心世代の中には「ソーシャル系」と言われる人たちが増えています。
「ソーシャル系」とは社会貢献意欲が強く、リアル・バーチャルに関わらず、思いを共にする人たちと行動するタイプの人たちです。
「氷河期世代」「ゆとり世代」は、学生時代に阪神大震災(1995年)、米国の同時多発テロ(2002年)、リーマンショック(2008年)、東日本大震災(2013年)など、未曾有の災害や社会不安を目の当たりにしてきました。

また、青春時代をまるごと「失われた20年」のなかで過ごしており、既存の社会システムを疑問視する傾向が強いです。
大手企業などで安定した働き方をするよりも、社会に貢献できる生きかたや働き方を模索する動きが盛んな世代です。地方へUターン・Iターンして地域活性化の中心を担う人材になるといったこともこの世代の特徴です。

このような人たちはひとつの会社に障害とどまるより、独立起業したり、企業に属しながら個人でプロボノ活動を続け、いくつもの名刺を持って社会活動をする傾向があります。社会的な「共通善」の実現を人生の目的とし、働く場も都心の重厚なオフィスより、中古ビルや空き店舗、空家などをリノベーションしたコワーキングスペースを好む傾向にあります。

6. 縛られたくないデジタルネイティブ世代

ソーシャル系とほぼ同じ世代で、「C世代」という世代にも注目しましょう。彼らは「コンピュータの(Computer)の傍らで育ち、インターネットなどのバーチャルな世界で知人と繋がる(Connected)コミュニティ(Community)を重視する。変化(Change)を厭わず、自分流を編み出す(Create)ことを得意とする。」デジタルネイティブです。

ソーシャル系と同様、既存社会システムの崩壊に直面したことで「お金儲け=幸せ」という価値観を持たない人が多い傾向にあります。

最新のICTを使いこなし、高度な技術を持つ物同士が国の内外を問わず、思想や利害を共にする人々とネットワークを組んで協働するような働き方を好み、ネットワークとPCさえあればどこでも仕事ができる環境を活かして、組織や場所や時間に縛られない働き方を実践していくでしょう。

7. 女性が働くのは当たり前に

日本社会は「男性は外で働き、女性は家を守る」という価値観が根強く、専業主婦と働く女性は対立軸として見られることもありました。
しかし15年後には家計を支えるためだけでなく、社会を支えるとか、自己実現を目指すという意味からも女性が働くのが当たり前の時代になるだろう。オフィス空間も女性を特別に優遇することから一歩進み、「オフィス空間にさまざまな年代の女性がいるのが当たり前。」という設えにする必要があります。
現在はまだ専業主婦に育てられた世代が中心だが、15年後には共稼ぎ家庭で育つ世代が増えてくる。男女を問わず、働き続けることへの抵抗は少なくなっているはずです。