100点のオフィスはダメなオフィス。

100点超えってどんなオフィス?デザインの考え方から紐解いてみます。

2 JUL 2015
柳宗理のヤカン

1. はじめに

牛は食事をするときに、南北どちらかを向きます。(不思議!)
ということは、餌箱は南北より東西に伸ばしたほうが牛はのびのび食事をとれるはず。

sign = モノゴト特有のサイン = 牛は南北を向いて食事をとる
de = 扱ってやること = 餌箱を東西に

それが de + sign = デザイン の仕事である。

オフィスデザインにおいても同様で、
人がもつサイン・働くという行為の持つサイン・場の持つサイン・各企業団体特有のサインなど、
あらゆるサインを見つけてやることがオフィスデザインの成功への必須条件です。

そんな話を書きました。

要は、働き方を見つめなおし要件定義をしっかり策定。
完璧に順守しようよ!って話なんですが、
「じゃあ、それができれば理想のオフィスデザインが生まれるの?」
と言われるとそれもまた違います。

今回は「デザインとは?」にもう一歩踏み込んで、
理想のオフィスデザインをみつける足がかりにしてみたいと思います。

2. もくじ

  1. はじめに
  2. もくじ
  3. デザインの基本原則
  4. 原則の弱点
  5. じゃあ、どうすればいいの?
  6. 200点のオフィスデザインを

3. デザインの基本原則

「サインを見つけること。」と同様に、
デザインにはいくつかの基本原則があります。

3-1. デザインの四原則

たとえば理解しやすく美しいビジュアルにするために、私たちは『近接』『整列』『反復』『コントラスト』の4つを意識します。

デザインの基本原則
『近接』『整列』『反復』『コントラスト』基本原則のイメージ図
近接 関連するものをまとめること。
整列 全体の配置を整理すること。
反復 繰り返すこと。
コントラスト メリハリ。味付け。

この4つを知り、実行するだけでなんとなくそれっぽいものができてしまいます。
簡単!すごいですね。

3-2. ヤカンの要求項目

また別のルールに、建築のフレームワーク『パタン・ランゲージ』というものがあります。
単語が集まって文章となり人を感動させる詩が生まれるように、
人の営みを建築の観点から分解したパターンが集まってランゲージとなり、その組み合わせで生き生きとした建物やコミュニティを形成することができる。
そんな理論をまとめた建築・都市計画にかかわるひとつのバイブルです。

パタン・ランゲージ
人々が「心地よい」と感じる環境(都市、建築物)を分析して、253のパターンを挙げた。

その著者であるクリストファー・アレグザンダーは『形の合成に関するノート』で、ヤカンをつくりあげるための要求項目として下記の条件を述べています。

簡単なヤカンのデザインを例にとってみる。彼は、利用するというコンテクストに適合するヤカンを発明せねばならない。それは、小さすぎてはいけない。熱いときに持ち上げにくいものであってはならない。誤って手を放しやすいようであってはならない。台所に収容しにくいものであってはならない。水が注ぎにくいものであってはならない。きれいに注げるようでなければならない。中の湯の冷めるのが早過ぎてはならない。素材が高価すぎてはいけない。沸騰する湯の温度に耐えられるものでなければならない。外側を洗うのが困難すぎるようであってはならない。形が機能を用いるのにあまりに不向きすぎるようであってはならない。それをつくるにふさわしい値段の金属と釣り合わない形であってはならない。時間あたりの人件費ゆえに、組立てに時間がかかりすぎるようであってはならない。その内側は、湯あかをとるのが困難すぎるようであってはならない。水を満たしにくいようであってはならない。たとえ少量の水でも、沸かすのに不経済であってはならない。あまり需要が少ないからといって、そのような需要に対して、適当な方法でつくれないようであってはならない。子供や病弱な人が利用しようとするとき、事故を起こすような間違いやすいものであってはならない。何の警告もなく、空だきが起きるようであってはならない。湯が沸いているとき、ストーブの上ですわりの悪いものであってはならない。

「この21箇条を満たすものがヤカンですよ。」
という条件です。

あなたがヤカンをつくりだそうとするとき、上記の要求項目を満たせばそれだけで立派なヤカンができてしまいます。

デザインにもルールがあり、ヤカンにもルールがあり、守っていけばそれなりにできてしまう。
だれでもできそう!簡単ですね。

4. 原則の弱点

でも、そうやって定量化されたルールに従うことで生み出されたアウトプットには、明確な弱点があります。
上記ヤカンの要求項目に対して建築家・青木淳が『原っぱと遊園地』でズバッとそこについて指摘しています。

彼の論理の展開自体は正確である。しかし、だからこそ、ぼくたちは、二十一項目に及ぶヤカンの要求項目を見て、その時点で、こう問うべきなのだ。この論が結局こういう要求項目に整理されるとすれば、話の前提そのものが間違っていなかったか、と。つくる人なら誰しも、こうした否定的な要求項目では、欠点のないものはできるかもしれないけれど、なにも面白みのないものしかつくることができないことを知っている。そして、それこそが最大の欠点だということも。

原則に従うことが正解であるからこそ、欠点のないものはできるかもしれない。
けれどもそれはなにも面白みのないものでもある。

社員は30名で、会議室が3部屋あって、役員室が2つあって、リフレッシュスペースと……。
要件を満たし、快適に過ごせるよう設計されたオフィスには100点を与えられるかもしれませんが、それだけだと誰が作っても同じ。
そしてそんなオフィスは、ただ働くためだけの場所に成ってしまう。
わたしはそう思います。

5. じゃあ、どうすればいいの?

モノゴトのサインを見つけて扱ってやることも、デザインの原則も、ヤカンを作るための要求項目も、
それらはあくまで最低限のルールにすぎません。
要件定義を守っただけでは、不足はないけれどもどこかつまらない。
そんなモノができあがるはずです。

原則と感覚とぶっこわしのピラミッド
基本原則を最低限とし、そのうえに感覚を上乗せ。

そこに美しいものを取り扱う感覚が上乗せされて、はじめて人が気に入るようなデザインができあがります。
さらに突き詰めていけばなにか殻を破ったような、人間の表現できる限界を超えてしまった『言葉に出来ないけれどもとにかくいい!』人を感動させるものがでてきます。
オフィスで言えば、『ここで働きたい!』『この場所が大好きだ!』『ここにいることを自慢に思う!』なんてことを本気で思ってしまうような環境です。
高いお金をかけてつくるからには、ここを目指さなければなりませんね。

5-1. 『ルールに感覚を上乗せする』って?

たとえば先程のデザインの原則から、『コントラスト』を例にとってみましょう。

コントラストの説明
さっきは色を変えてみました

『コントラストをつける』例にたいして、先程は色を変える表現をしてみました。
左上の四角が目立つようになり、ここに注目してくださいね〜〜!とはっきりわかるはずです。

でもこれ、もっといい方法もあるかもしれません。
もうすこし探ってみます。

コントラストの色々
さまざまな方法でコントラストをつけられます。

大きさを変えてみる、角度を変えてみる、塗りかたを変えてみる、図形そのものを変えてみる、記号をつける、線にする、ぼかしてみる、手描きでぐじゃっと……。
まだまだいくらでも出てきそうです。
そしてそれらの組み合わせもできちゃいますね。

大きな四角を赤く。黄色の丸でもいい。青い線でもいい。

『4つ並んだ四角形のひとつにコントラストをつけて目立たせる』
そのルールにも無限のパターンがあります。

ルールに上乗せする感覚をどれだけ多く持っているか。
そして最適なものを選ぶことのできるセンスがあるかどうか。
そこに人に気に入ってもらえるデザインの鍵があります。

1140c-01
余白や間を調整してみました。

さらに間のとり方や余白の調整だけでいってみるのもありかもしれません。
ヤカンの要求項目を徹底的に洗練させると、それだけで人を感動させるほどに美しくなる場合もあります。
いわゆるヤカンらしいヤカンを突き詰めたものが、最上部の写真、柳宗理のケトルです。
決して派手さはありませんが、使う人のことを考え抜いて、美しく機能的につくられています。

6. 200点のオフィスデザインを

席数や部屋数など、要求項目にある最低限のルールはどのオフィスデザイン会社に依頼しても満たしてくれるはずです。
そこからさらに、美しいだったり快適だったり、そこにしかない感動を与えられるかどうかでその環境の評価が決まってきます。

オフィスデザインを依頼する際、まずは最低限のルールをしっかりと伝え、
その上で展望や社風、叶えたい願いなどから導き出した最適なオフィスデザインを探っていきましょう。
いいオフィスをつくりあげるためには時間もエネルギーも大きくかかりますが、その分のリターンは確実に訪れます。

要件を満たしたオフィスには100点を与えられますが、決して満点ではありません。
150点でも200点でも、1000点でも。
妥協せずに最高のオフィスをつくりあげましょう。
我々オフィスデザイン会社は、そのために存在しています。

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